2018/07/13

KRPPRESS特集:iPS細胞が拓く未来⑥ 「研究開発を加速させるモノづくり企業」CASE2 マイクロニクス(株)

先進の自動化・システム化技術で、iPS細胞関連分野に貢献する

iPS細胞関連の医療機器を中心に、それを支える周辺分野まで顧客のニーズを自分たちのアイデアでカタチにする事業のベースとは。代表取締役社長八木良樹氏に伺った。

分析機器の設計・開発で培ったスキルが医療分野で生きる

もともと私は分析機器メーカーに勤めていて、そこで分析機器の設計と開発をしていました。そこからスピンアウトしてマイクロニクスを起業したのですが、当初決めていたのは、今までの経験を生かしながらも、もといた会社と同じものは作らないということ。そして分析機器の前処理とデータ処理を自動化する装置を作り始めました。1983年のことで、今年で創業35年です。

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全自動の「網膜色素上皮細胞培養システム」について説明される八木良樹氏


 得意とする攪拌、濾過、分注、遠心といった前処理技術や、解析、分析技術を生かし、経験を積み重ねていく中で、あるとき、医療機器を作らないかという話がありました。学童用の尿の分析装置で、尿中の糖やタンパク、潜血などを検査するために、尿試験紙の変化を光学式で読み取るものです。もともと大手の会社が作っていた跡を継ぐという形でしたが、これが医療機器の分野へ進むきっかけとなりました。

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 けいはんな学研都市での産学連携プロジェクトにもいくつか参加し、同志社大学や京都大学、大阪大学、奈良県立医科大学、東京工業大学などいろいろな大学の先生方と一緒に研究開発を行いました。そうしたつながりから、科学技術振興機構(JST)の「S-イノベ:iPSを核とする細胞を用いた医療産業の構築」に参画。大阪大学の紀ノ岡先生とともに、iPS細胞の大量培養に関する周辺機器の開発に携わりました。このとき、理化学研究所の高橋政代先生がiPS細胞由来の網膜色素上皮細胞について研究されており、そこで使用される培地交換の自動化装置を弊社で作ったのです。それが再生医療分野、とくにiPS細胞関連分野への参入のスタート。10年ぐらい前、本当にiPS細胞研究の草創期でした。

ものづくり企業×再生医療柔軟性と対応力で異分野へ参入

 弊社の事業は、3つの分野を柱に展開しています。臨床検査機器などを開発・製造する医療検査・バイオ関連部門。新しい生産技術に対応した設備に独自ノウハウで応えるファクトリーオートメーション部門。そして濾過、攪拌、定容、抽出など研究室で行われる作業の自動化システムを鉄鋼、化成品、製薬各社に提案するラボラトリー・オートメーション部門。もともとが工学部系のものづくり企業ですから、再生医療分野に参入するにあたり、そもそもiPS細胞はどういうもので、培地交換とはどういうことで、それを回収して成分変化をどのように見るかといったことをひとつひとつ先生方に教えてもらいながら進めました。

1_MICRONIX_200.jpgのサムネイル画像(株)マイクロニクス本社


製薬メーカーからの依頼で、ロボットアームをつかった日本初となる自動培養装置を作るなど、医療機器の製作を通じて再生医療に携わってきました。オートバンク、ワークステーションなど、そのほとんどが製薬メーカーとの仕事です。細胞培養のほか、iPS細胞を使った薬効の分析・解析など、まだ見ないiPS細胞の実用化に、弊社のスキルが貢献できるという期待感は大きいですね。多くの会社は、自社の技術を生かそうとiPS細胞関連の製品を開発しますが、弊社では逆。お客さまのニーズを、私たちのアイデアで形にしたい、ものづくりをしたいと考えています。自分たちの技術をベースにして、柔軟に対応していくこと。それが、今後ますます進化するiPS細胞関連市場で活躍するために必要なのではと考えています。

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