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2018/07/06

KRPPRESS特集:iPS細胞が拓く未来② 「iPS細胞とCiRAについて」 iPS細胞のキホン

細胞は、どうやってできるの?

 私たちの命の始まりは、たった1つの受精卵です。受精卵はお母さんのお腹の中で分裂を繰り返し、次第にそれぞれの細胞が役割分担(分化)をしながら、200種以上の細胞になります。

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 体中の細胞には同じ遺伝子セット(ゲノム)が入っていますが、細胞によって使える遺伝子が違います。そのため、通常皮膚や神経など、一度、分化してしまった細胞は、他の種類の細胞へと変化することはありません。再び受精卵に戻ることもできません。

iPS細胞って、何がすごいの?

 一度分化してしまった細胞を、受精卵のような体中の細胞をつくりだせる細胞へと、簡単に変化させることはできないと言われてきました。ところが、2006年に山中伸弥博士らのグループが、たった4つの遺伝子をマウスの皮膚細胞に入れることでi PS細胞(人工多能性幹細胞)ができたと発表すると、世界中の研究者から驚きをもって迎えられました。

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 体の細胞から、体中のさまざまな細胞になれる能力を持ったiPS細胞を、シンプルな方法でつくり出したためです。2007年にはヒトiPS細胞を発表し、2012年にはジョン・B・ガードン博士と共に、ノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

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ノーベル賞受賞決定の記者会見の様子 2012年10月8日(左:松本紘 京都大学元総長 右:山中伸弥 所長)

広がるiPS細胞の可能性

 受精卵が分裂を繰り返してできる胚盤胞の内部にある細胞塊をとりだして培養すると、ほぼ無限に増殖し、体中の細胞に分化する能力をもったES細胞(胚性幹細胞)を得ることができます。ES細胞のような能力をもった細胞を、分化後の体の細胞からつくることを目指してできたのが、iPS細胞です。iPS細胞はほぼ無限に増えることができ、体中の様々な細胞に分化できる能力があります。

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 iPS細胞の誕生により、細胞移植などの再生医療や病態の再現、創薬、治療法開発などの可能性が大きく広がりました。病気やケガなどで失われた細胞の働きをiPS細胞などからつくった細胞で補うことがあります。例えば、失明の原因となる加齢黄斑変性という眼の病気の患者さんにiPS細胞からつくった網膜色素上皮細胞を移植する臨床研究が2013年からスタートしています。

 2014年には理化学研究所が世界で初めてのiPS細胞を使った網膜細胞の移植手術に成功しました。また、患者さんからiPS細胞をつくり、患者さんの病気に関わる細胞へと分化させ、その培養皿に様々な物質をかけて、薬の候補を見つける創薬の分野でも、急速に開発が進んでいます。

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写真提供:京都大学 iPS細胞研究所

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