2018/07/13

KRPPRESS特集:iPS細胞が拓く未来⑤ 「研究開発を加速させるモノづくり企業」CASE1 タカラバイオ(株)

革新的なバイオ技術の開発を通じて、再生医療に新たな展開を

 タカラバイオが磨いてきた「試験管の中で遺伝子や細胞を扱う技術」を用いて貢献するiPS細胞関連領域や、自社開発が進む遺伝子治療プロジェクトについて、代表取締役社長 仲尾功一氏にお話を伺った。

事業のスタートは国産初のバイオの研究用試薬から

 タカラバイオが持っている根幹の技術は、体の外、つまり試験管の中で遺伝子や細胞を扱う技術です。
 宝酒造〈現・宝ホールディングス(株)〉のバイオ部門からスタートしたとき、得意としたのは微生物を扱う技術でした。微生物を使った医薬品の分野は先行企業がすでにあったこともあり、自分たちにしかできないことをやろうと考えたのが、研究用試薬のビジネス。とくに遺伝子工学、バイオテクノロジー分野の研究用試薬で、日本ではどこもやっていない中、1979年に国産初のバイオの研究用試薬(制限酵素)を開発、販売しました。当初4品目からスタートした研究用試薬は今や7000品目以上。試薬単体ではなく、一連の研究をするための試薬をセットにして、必要なプロトコルごと提供しています。また、再生医療等製品の研究・開発から製造までを受託して包括的に支援するCDMO事業も展開。一方、自社プロジェクトとしてがんをターゲットにした遺伝子治療薬の臨床開発を進めています。

AOK_4604.jpg遺伝子・細胞プロセッシングセンター内での作業

 現在、受託サービスが大きく伸びていますが、会社全体の技術力の基盤である研究用試薬の開発も堅実です。弊社にはもともと、プロトコルを提供するという方針があります。つねに新しいプロトコルを開発して、先端の研究をしている先生に、もっと新しいキットやサービスを提供する。そんなアクティビティは、ずっと続けていかなければならないと思っています。

CiRAとの共同研究でiPS細胞製造に新しいルールを

TAKARABIO04.jpg右が主に再生医療等製品の開発支援サービスを行う遺伝子・細胞プロセッシングセンター

 国内のバイオ試薬の領域ではトップランナーだという自負があります。私自身も農学部の学生だった頃、研究室で目にする宝の製品といえばお酒ではなく試薬でした。山中伸弥先生やCiRAの研究者の方々にも、我々の製品、試薬をたくさん使っていただいています。
 昨年、CiRAさんが進められている再生医療用iPS細胞ストックプロジェクトを、さらに安全で品質の保証されたものにするための共同研究に参加しました。研究というより企業の観点から、より品質の高いiPS細胞を継続的に製造するために必要な製造管理・品質管理基準の整備、新たな出荷試験項目の規格値の策定など、一緒にディスカッションしながら弊社の遺伝子治療プロジェクトでの経験・ノウハウを取り入れた新しいルールを作り、一定の成果をもって今年3月に終了しました。
 CiRAさんとは、iPS細胞を利用した創薬技術の研究もいくつか共同で行っています。先述した弊社の遺伝子治療は、2018年度中に承認申請を行う計画で、承認されれば日本で第1号のがんの遺伝子治療薬になります。どの事業も、弊社ならではの「遺伝子や細胞を試験管の中で扱う技術」が生きるもの。この技術をさらに生かし、その応用編のひとつとしてiPS細胞関連領域でも使っていただきながら、研究者の先生や製薬メーカーさんなどと一緒に、今後も切磋琢磨していきたいと考えています。そうした研究者の困りごとに解決策を提供する" N o . 1ソリューション・プロバイダ"として、これからもお役に立ち続けてまいります。

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