2019/02/12

KRPPRESS特集:ものづくりは人づくり⑥ 「"可視化"と"共有"をキーワードに、全員で人間力向上を目指す」(株)ナンゴー

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厚生労働省「グッドキャリア企業アワード2018」表彰式の様子

人間力の向上につながる取り組みが厚生労働省から高評価

 一品ものの金属全般精密機械加工と、ものづくりの効率化に欠かせない各種治具・省力化機械の設計・製作。弊社の事業は、金属を熟知した職人が磨き重ねてきた技術と、40年以上にわたって自動車産業に携わる中で鍛え上げられてきた技術提案力に裏打ちされたものです。特許技術である「ナンゴー彫り」(3Dステレオグラム)をはじめとする独自の技術力が、得意とする「少し大きめ」の中物機械加工や剛性を要する加工などさまざまな機械加工を支えています。また旋盤/MCなどひととおりの設備を自社内に揃え、一貫したものづくり体制を整えていますが、会社のさらなる成長には社員の成長もおろそかにすることはできません。小さな会社だからこそ、社員一人ひとりが向上することが会社の向上に直結し、社会への貢献にもつながります。

ナンゴー彫り.jpg立体造形で3Dステレオグラムを表現する「ナンゴー彫り」

 試行錯誤しながらさまざまに取り組んだ結果、厚生労働省が実施する「グッドキャリア企業アワード2018」においてイノベーション賞を受賞しました。これは、社員の自己研鑽への全面的なサポートと、社内コミュニケーションによる自律的取り組みへの支援という、弊社の体制が評価されたものです。取り組みのひとつが、スキルレベルを可視化するスキルマップ。各自のスキルレベルを自分自身と上司で評価して現状を把握し、研修支援などに結びつけます。研修にかかる費用は原則、上限を定めず全額会社負担とし、社員が積極的に受講したいと声をあげやすいようにしています。受講するのは技術セミナーばかりではありません。とくに、「人間力」向上を目的としたセミナーの受講を積極的にサポート。社会人としての力をしっかり身につけることで、経営理念である「仕事を通じて私たちは向上する」に向かうことができると考えるからです。研修参加後には報告会を行い、学んだ内容を部署内で共有すると同時にアウトプット。知識の習得と技術力向上のために毎月1回行う加工に関する社内テストとあわせ、着実な能力の定着を図る体制を整えています。社内テストは、単に問題に対する正解を知ることで終わるのではなく、主体的に考えられる能力を身に付けるのに、より効果的な方法で実施しています。

 日頃感じているほかの社員に対する感謝の気持ちを手書きでしたためる「サンクスカード制度」も、人間力向上を目指す取り組みであり、そのベースとなっているのはやはり経営理念。サンクスカードを送る側は相手の良いところを見るという前向きな姿勢になれますし、送られる側も感謝されることでさらにポジティブに行動するようになります。社員同士のコミュニケーションツールのひとつですが、そこから生まれる行動と意識が、自律的な取り組みへつながっているのではないかと思います。

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サンクスカード掲示板

小規模だからこその工夫を重ねた職場環境はまだまだ進化途上

 そもそも弊社は社員14人というとても小さな会社です。少人数で機械加工のあらゆる業務に当たっており、大企業のように人材育成に十分な人手を割くことはなかなか難しい問題です。そうした中で私たちにできることは、社内のサポート環境の整備と効率化であると考えました。たとえば、職人技という個人保有の技術、各自の気づき、ノウハウなどをデータベース化して蓄積。会社全体で共有することにより、未経験者でも短期間でさまざまな加工技術を習得していけるので、効率よく教えていくことができます。さらに、各自が抱えている業務内容を全社員が共有できる独自の生産管理システムを構築。相互にフォローできるので、生産性の向上はもちろん、研修受講中で不在の社員の仕事も停滞することがありません。これらの仕組みは、むしろ小規模な会社だからこそできること。社員全員が多能工化を目指す弊社ならではの、小規模であることを逆手にとった省力化のカタチです。

 弊社では、ここ5年で5人を採用しましたが、誰ひとり辞めていません。定着率は100%です。「こんなものをつくってみたい」「こんな研修に行きたい」など、声をあげやすくチャレンジする意欲に応える、風通しの良い社内環境とキャリア支援の取り組みは、社員全員でアイデアを出し合いブラッシュアップを重ねたものです。だからこそ、新たに入社した人にも満足してもらえるのではないでしょうか。

 また、弊社の製造現場(工場内)は男性社員ばかりです。しかし、より働きやすい環境にするためには女性目線で見ることも必要なのではないかと感じており、現在、女性採用に向けての環境整備を進めているところです。女性や高齢者もともに働くために課題は多々ありますが、「失敗してもいいからとりあえずやってみよう」という社長の方針のもと、多能工を目指し、各自が成長し続けていると実感でき、良い職場環境であると自負しています。

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株式会社ナンゴー 技術部 野田 公平氏

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