これから求められる最新研究施設~プラナス×KRP事例紹介!~
目 次
- プラナス株式会社:「妄想と越境、そして変態へ」〜魅力ある共創環境づくり〜
- はじめに
- ハードからムードまで
- 境界線は引かず越境する
- そして変態へ
- 京都リサーチパーク株式会社:「ここで、創発。」~チャレンジするひとに魅力的な交流の舞台を~
- イノベーションが生まれる「まち」
- 「そのひらめき、すぐ研究。」オープンイノベーションを促進するターンキーラボ健都
- 「創発の瞬間」を、より多くの方へ
プラナス株式会社:「妄想と越境、そして変態へ」〜魅力ある共創環境づくり〜
はじめに
新型コロナウイルスやウクライナ侵攻のあるなしに関わらず現代は、不安定で変化が激しく、予測困難であり複雑で明確ではない"VUCA"の時代。分析的な戦略では限界があるということが誰もが感じている。またオンライン化が進みラボやオフィスでの出会いや日常の交流を通した偶発的なアイディア創出が減少するなか、各組織はどのようにイノベーションを創出しているのか? さらに時代はIoT/AI/ロボットなどを中心とした第4次産業革命に突入しておりパンデミックによってその産業はさらに加速され、Society4.0の情報社会からSociety5.0の創造性社会に変化している。
Society5.0においての創造的活動がIoT/AI/ Robotなどが中心となり人間の手を離れていくなか、人間に残された最後の資本は機械では持ち得ないバカけた『空想』や『妄想力』ではないだろうか。 本講演では「今後の共創環境とはどのような役割を担い、どのような場であるべきか」をメインテーマに、これまで数多くの研究所やイノベーションセンターを手掛けてきた一級建築士事務所プラナスの代表より組織や事業を変態に導くさまざまな事例や法則を実際に手がけたプロジェクトを交えてご紹介した。
コタ株式会社 KYOTO Lab
https://planus.co.jp/project/cota_kyoto/index.html
https://planus.co.jp/project/domremy/index.html
ハードからムードまで
「トップからイノベーションを起こせと言われて...」
私たちへの相談の多くはこのように始まる。そして現状の職場環境を調査すると多くはおよそ50年前の高度経済成長期の頃の雰囲気で時間が止まっているような環境が多い。環境が新しいことに挑戦しようというマインドセットに大きな影響を与えることは行動心理学的にも明らかである。
環境とは建築空間という"ハード"だけではなくそこに漂う"ムード"も大切だ。特に大企業においては均質的な人材が多く、高く評価される人材もロボットやAIのような処理能力が高く合理性を追求するといった人であったりする。しかし心や感性という人間性を中心にしない職場環境や人材育成の結果、現代では過労死やメンタルヘルスといった社会問題が生まれている。
Society5.0においての創造的活動においてはもっと『人間らしさ』や『感じるチカラ』、『妄想』する人たちが評価される組織にならなければ、その組織を覆う悲壮的なムードは消えないだろう。そうなれば「イノベーション? なんで俺が?」という言葉が出てくるのは当然である。だから私たちプラナスでは"ムードデザイン"も大切にしている。
例えば、いつも何気なく研究者が着ている作業着もムードに影響する。均質的で深刻なレベルで"イケてない"服に毎日腕を通して誰が気分が高揚するだろうか?
さらに気分転換に食べるお菓子やコーヒーもそうだ。ハイレベルな知的創造活動において『感じるチカラ』が大切になり、それには五感を総動員する必要がある。
そこで僕らは国産デニムで着るひとそれぞれに色落ちの仕方が変わる作業着をデザインした。またナッティーな高い香り漂うスペシャルティーコーヒーやカカオにこだわったチョコレート、気分によって選べる天然精油100%のアロマなどプロデュースし、研究者の第6感を無限大にしひらめきの瞬間をうみだすことにこだわっている。
日東化成株式会社 Chemical Design Lab
https://planus.co.jp/project/nittokasei/index.html
オリジナルデニムラボウェア
https://www.orientalgiken.co.jp/latest_products/labwear.html
境界線は引かず越境する
「面白い妄想から生まれるアイディアからイノベーションが生まれる」
ノーベル賞博士アインシュタインの言葉である。日本の科学技術がかつてのような勢いを失いイノベーションを起こせずにいるのはファンタジーな妄想が評価されず、より即効性や時代性のある技術しか評価されなかったのが大きな要因ではないだろうか。妄想が大きくかつクレイジーであればあるほどイノベーションが生まれやすくなるはずだ。しかしそれを実行するには組織を越境した異分野との共創が必要となる。
高い成果を生み出す共創活動には共創する人数との相関関係があることや、共創者との物理的な距離が重要であるというハーバード大学やベル研究所のデータに基づき、私たちはこれまで建築的なさまざまなアプローチを試みてきた。また、日本人にとって理想的な共創環境の要素として「ひとつ屋根の下で、同じ釜の飯を喰う」ことも大切だろう。我々が仕掛けた大田区蒲田の町工場のイノベーション事例として、金属加工における各種ハイレベルな技術を有する7つ会社を集め外部への技術発信と飲み会のできる場と7社を束としたブランドを作りスケールフリーな組織体として変態した事例や、自身が経営している研究設備メーカーのオリエンタル技研工業の越境、変態への試みの事例などを本講演では紹介した。
METALISM(メタリズム)
https://planus.co.jp/project/metalism/index.html
6oo(シックスハンドレッド)
https://six-hundred.com/
そして変態へ
壮大でクレイジーな妄想こそがイノベーションにつながり、あらゆる変態の原点となる。 アルゴリズムでは予測・解析不可能な時代。正解のない中で自ら課題を発見し、正解を妄想し、組織や事業を創造・変革する必要がある。そのために私たち一人ひとりがもつ潜在的妄想力を磨き、自身もポストヒューマンとして変態しながら社会全体にもうねりを生み出すことに挑戦しなければならないのではない。魅力ある共創環境とはそのすべてのアクティビティを柔らかく寛容するハードとムードが両立していなければならない。
次世代医療開発センター HBI
https://planus.co.jp/project/click/index.html
赤城乳業株式会社 AKAGI R&D FUTURE LABO
https://planus.co.jp/project/akagi/index.html
京都リサーチパーク株式会社:「ここで、創発。」~チャレンジするひとに魅力的な交流の舞台を~
イノベーションが生まれる「まち」
京都リサーチパーク地区は、18棟のビルからなる一大ビジネス拠点です。大阪ガスの工場跡の再開発プロジェクトで、産学公連携による「知のコンビナート」を京都に作ろうと、1989年に開業しました。新事業・研究開発などのイノベーションに向けた挑戦を行う場として、実に500の企業・団体、6,000人のプレイヤーが集っています。
ソフト面での代表的な活動として挙げられるのが、2016年よりJETRO、京都府、京都市、京都大学などとともに毎年開催しているヘルスケア分野に特化したピッチイベント「HVC KYOTO」です。これまでに登壇された140社の登壇後の累計資金調達額は250億円超になるなど国内最大級に成長しています。起業前のアカデミアも含む国内外のスタートアップが、メガファーマやベンチャーキャピタルに向けて英語でプレゼンし、フィードバックを受ける、グローバルスタンダードの本格マッチングプラットフォームとなっています。
京都リサーチパーク株式会社
https://www.krp.co.jp/
HVC KYOTO
https://www.krp.co.jp/hvckyoto/
「そのひらめき、すぐ研究。」オープンイノベーションを促進するターンキーラボ健都
ラボは、「所有」から「借りる」時代へ。
時代の変化を捉え、私たちは2022年4月1日、北大阪健康医療都市(通称:健都)に、日本最大級の時間貸しシェアラボ施設「ターンキーラボ健都」をオープンいたしました。
ターンキーラボ健都
https://www.krp.co.jp/turnkeylab/lp/
▼P2/BSL2対応の機器付ラボ/初期投資をおさえ、すぐに研究を開始
ターンキーラボ健都は、細胞培養や遺伝子解析の基本的な実験機器を備えており、さらにP2/BSL2対応の実験環境を整えているため、自ら整備する場合と比較して、機器購入や設置工事等の高額な初期投資を大幅におさえることができます。また、煩雑な届け出や設置工事にかかる時間も削減でき、すぐに研究を始めることが可能です。
▼時間単位でレンタル、ラボ管理不要/研究に専念できる環境をお得に、フレキシブルに
実験ベンチや機器は時間単位のレンタルで、月に数時間といった限られた利用にも対応し、可能な限りコストをおさえることのできるプランをご用意しております。また受付、消耗品購入、機器メンテナンス等煩わしい施設管理や備品管理を行うラボマネージャーが平日常駐し、日々の研究をサポートいたします。
▼国研や企業が集積する都心近郊立地/共同研究や交流を促進、採用にも効果的
健都では国立循環器病研究センターと国立健康・栄養研究所を中心とした健康医療関連の機能集積が進められており、健都内外での連携が次々と生み出される仕組みを目指して共同研究拠点や交流を促す場が整備されています。さらに新大阪からも近いため、関西をはじめとする広域の方々にとっても利用しやく、交通アクセスの良さは人材確保にも有利です。「ターンキーラボ健都」においても、立地の特性を最大限活用し、研究者にとって有益な情報や意見交換ができる場づくりができるよう、当社が有する多様な産学公ネットワークをベースに交流会や勉強会を開催しています。
「創発の瞬間」を、より多くの方へ
「イノベーションが起きる時、研究であれビジネスであれ、当初の意図やねらいを超越した "何か" が生じている。」
こちらは2018年に策定した、当社のブランドステートメントの一部です。
イノベーションは意図して起きるのではなく、出会いの中で偶発的に起きるもの。
そのような「創発の瞬間」を、新しいチャレンジをしたいと思っている、より多くの方に体感いただけるよう、私たちはこれからも魅力的な交流の舞台を提供し、創意工夫を重ねていきたいと思っています。
≪プラナス株式会社≫
プラナスはこれまで数多くの研究所やイノベーションセンター構築を通じて実際のクライアントビジネスの成長に貢献しています。
それは従来の建築設計事務所にみられた単なる『作品』づくりの枠を超えイノベーションの基盤となる挑戦への行動変化という『現象』を実現するからです。 わたしたちはクライアントチームにダイブしプラナス独自の専門知識と技術力で現在抱える研究環境の課題の発見から解決策まで導くことをコミットし、そして新しい研究環境やカルチャーの創造というイベントを通じて研究者一人一人のココロを前へ動かし挑戦へのアクションの実装までの全般をサポートすることで、イノベーションの加速に貢献していきます。
≪京都リサーチパーク株式会社≫
全国初の民間運営によるサイエンスパークとして 1989 年に開設。オフィス・ラボ賃貸、貸会議室に加え、起業家育成、オープンイノベーション支援、セミナー・交流イベント開催など、新ビジネス・新産業創出に繋がる様々な活動を実施。「ここで、創発。~Paving for New Tomorrow~」をブランドスローガンとして、イノベーションを起こそうとする世界中の方々に、魅力的な交流の舞台、事業環境を提供することを通じて、世界を変える新たな事業が生まれることに貢献します。
また、京都リサーチパークは、2022年4月1日、北大阪健康医療都市(通称:健都)に、日本最大級の時間貸シェアラボ施設「ターンキーラボ健都」をオープンいたしました。「ターンキーラボ健都」においても、当社の長年のノウハウを活かした快適な研究環境および健都内外へと広がる連携・交 流の機会を提供することで、健都を含めたライフサイエンスエコシステム形成の一端を担えるよう、努めてまいります。
ターンキーラボ健都
https://www.krp.co.jp/turnkeylab/lp/
≪登壇者プロフィール≫
・林 正剛
クリエイティブディレクター ・実業家
プラナス株式会社 クリエイティブディレクター / 代表取締役社長
オリエンタル技研工業(株) クリエイティブディレクター / 代表取締役社長CEO
studio O+P 株式会社 代表取締役社長
ウェストジャパン芸術振興協会 理事
1972年生まれ。97年米美大グラフィックデザイン科卒業後、広告企画制作会社にて企業のCI/VI、広告制作に従事。のちにオリエンタル技研工業に入社後、建築の道を志し米建築家Ken Kornberg氏に師事し日本事務所設立。2002年プラナス株式会社設立(旧社より改名・改組)同社代表取締役。2020年オリエンタル技研工業株式会社 代表取締役社長。日経ニューオフィス推進賞、富山県建築賞、すかまち景観デザイン賞、DSA日本空間デザイン賞、グッドデザイン賞、ACAA賞、他受賞多数。
・味岡 倫弘
京都リサーチパーク株式会社 新事業開発部 部長
2014年京都リサーチパーク株式会社に入社。オフィス、ラボへのご入居者さまの入居案内から入居時の工事、入居後のマッチング等のご支援を担当。サービスオフィスやデータセンターの担当マネジャーを経て2019年から現職。