2022/06/24

レンタルラボとは

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企業が独自に保有、運営をする「自社ラボ」でも、大学内のシーズを活用しながら研究を進める「大学ラボ」でもない選択肢。それが、賃貸オフィスのように実験・研究スペースを借りられる「レンタルラボ 」。サテライトラボとしてはもちろん、新規事業の開発や立ち上げにもぴったりです。

目 次

  • 自社ラボや大学ラボで感じる課題とは?
  • 「借りる」が注目される理由
  • ボストンではレンタルラボが建設ラッシュ
  • 行政、デベロッパーともにレンタルラボに力

自社ラボや大学ラボで感じる課題とは?

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企業が独自に新しい研究に取り組むとき、その拠点として真っ先に思い浮かぶのが、自社で保有や運営をする、いわゆる「自社ラボ」ですね。企業自らの事業内容に合わせた研究環境を構築できる自由さがある反面、一から建設するには莫大なコストと時間が必要に。既存施設を改修する場合でも社内調整に多くの時間を取られ、スピード不足を感じることもあるかもしれません。また、近隣調整や土地取得の問題から、自社ラボの多くは郊外に構えるケースがほとんど。社外とのコミュニケーションの機会が限られることで、研究者がタコ壺化してしまう不安もあります。
大学内のシーズを活用しながら研究を進める「大学ラボ」も一般的です。実験機器をはじめ、大学が有するリソースを利用できるため、自社ラボよりも初期投資を抑えられますが、研究成果に対する権利問題にご注意を。また、中には大学側の意向に沿わなければいけないケースもあるので、スピード重視で独自に研究を進めたい場合は調整や交渉が必要になるかもしれません。
それぞれに魅力がある自社ラボと大学ラボですが、このようなデメリットがあるのは研究者にとって悩ましいところですね。

「借りる」が注目される理由

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多くのコストを費やして郊外に建設する「自社ラボ」でもなく、大学側と足並みを揃えながら進めなければいけない「大学ラボ」でない研究拠点を。そう考える企業や研究者が活用しているのが「レンタルラボ」です。
「レンタルラボ」とは文字通り、賃貸オフィスのように部屋やフロアを借りて企業や研究者が入居する施設のこと。大学内の共同研究施設も含め、2019年3月時点でレンタルウェットラボだけでも約80施設があると言われており、新しい施設が首都圏、近畿圏を中心に各地にオープンしています。
レンタルラボが企業から選ばれる理由は、自前でラボを建設するよりもはるかに初期コストを抑えられるほかにもたくさんあります。賃貸契約を結んだエリア内は自分たちの専有スペースとして利用できるので、研究内容に合わせた環境を構築しやすく、実際の研究も自分たちのペースで進めていくことができます。また、レンタルラボの多くが都心から比較的アクセスしやすい場所にあるのもポイント。自社ラボにありがちな「遠い」「不便」「行って帰るだけで一日がかり」といったことがないので、サテライト施設として本社ラボと併用しやすいほか、人材確保の面で有利に働くことも。また、レンタルラボの中には、運営側でハード・ソフトの両面で交流を活発にする仕掛けを行っている施設もあります。新しい情報の入手や、オープンイノベーションのきっかけにつながるかもしれません!

イノベーションハブ・ボストンではレンタルラボが建設ラッシュ

ライフサイエンスの分野をはじめ、世界的なイノベーションの発信地となっているアメリカでは、レンタルラボの活用がひと足早く進んでいます。たとえば、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学などがあるマサチューセッツ州。2018年現在、ボストン周辺地には2,900〜3,900社のスタートアップが集まっており、研究の中心地であるケンブリッジエリアではラボスペースの空室率が1%を下回っているともされています。こうしたスペース不足やコスト高を背景に、イノベーション地区や、ハーバード大学ビジネススクールのあるオールストン地区などレンタルラボが続々とオープン。そこへ知財を扱う弁護士やベンチャーキャピタルも集まることで、スタートアップエコシステムの形成がますます加速。高い研究力、優秀な人材、豊富な資金をもとにした、イノベーションの好循環が生まれているのです。

(出典:「世界最大のライフサイエンス・バイオクラスター ボストン」JETRO /ニューヨークだより 2018年9月)

行政、デベロッパーともにレンタルラボに注目

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自社ラボを立ち上げるよりも初期投資を抑えられ、都心に近い場所に研究拠点を構えやすいレンタルラボ。企業や研究者からのニーズが高まる中で、日本の各自治体もレンタルラボの開設に力を入れて企業誘致に積極的に取り組んでいます。たとえば、川崎市の「ライフイノベーション特区」、神戸市の「医療産業都市」、大阪府の「ライフイノベーション拠点」なども、企業誘致に積極的なエリアのひとつ。条件はありますが、施設によっては補助や税制優遇などを受けられることもあります。また、近隣の大学病院や研究機関との連携などの可能性も考え、「自身の研究分野のプレイヤーが集積しているか」を検討項目に加えるのもおすすめですよ!
また、大手デベロッパーを含め民間企業がレンタルラボ事業への参入を行っており、オープンイノベーションが進む海外の事例を取り入れた、先進的なシェアタイプのレンタルラボもオープンしています。
研究拠点のスタンダードとして確かな広がりを見せるレンタルラボ 。基礎研究や新規事業のプレ検討で初期投資を抑えたい、都市の近くに研究拠点を構えたい。そんなときには、ぜひレンタルラボの検討を!

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