2021/05/14

【寄稿記事】研究室における在庫管理業務の課題と在庫管理システムの必要性・選び方

本記事は株式会社Inner Resource様による寄稿記事です。

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研究室では、研究人材の確保・育成、必要な物品の調達・管理、諸方面に提出する書類の作成など、研究以外にやらなければならない業務がたくさんあります。 中でも、実験に必要な試薬・消耗品を調達し、適切に管理を行う「在庫管理業務」は日々研究室内で発生する業務であり、円滑に実験を行う上で必要不可欠です。

管理する製品は研究室によって様々ですが、特にウェットラボでは危険な薬品を研究者が自ら管理するケースが多く見られます。このようなウェットラボでは、ノート・Excel・スプレッドシートを利用して、薬品の保有数・ロット・使用量等の記録・管理を行っています。このような管理方法の場合、薬品を使用する時にはじめて在庫不足に気がついたり、危険物や毒劇物の保有量や保管場所、使用履歴などの管理状況が把握しにくく、管理に必要以上の工数が掛かってしまったりすることが課題となります。

薬品管理システムを導入し、管理業務の適正効率化を図ることもありますが、上手な運用ができず期待した程の効率化に繋がらないケースはたくさんあります。運用がスムーズにいかない要因としては、UI(ユーザーインターフェース)がわかりにくくて操作が難しい、導入した後に機能不足が判明し、実現したいことができなかった、などが挙げられます。 結果として、導入時に期待していた程の業務効率化が実現出来ないだけでなく、システム導入や保守の手間が増えてしまい、研究者が研究を行う時間をより一層奪う原因となっています。

研究室の在庫管理業務において、効果的かつ効率的な管理ツールを選定・利用することは、研究者の研究時間を最大化し、研究環境を整えることに繋がります。研究室の在庫管理業務のポイントを、より具体的に見ていきましょう。

目次

●試薬(毒劇物/危険物など)の適正管理

●消耗品の管理(過剰在庫/在庫不足の解消)

●在庫管理業務の課題解決のために

●薬品管理・在庫管理システム選定時の4つのポイント

試薬(毒劇物/危険物など)の適正管理

先述のとおり、ウェットラボでは危険な薬品を適正に管理することが求められます。特に、毒劇物や危険物については、毒物および劇物取締法、消防法などに則った厳密な管理を行う必要があり、取り扱いや保管、廃棄などに最善の注意を払う必要があります。

毒劇物の取り扱い・保管をする際は、盗難・紛失防止の徹底が求められます。保管をする際は、毒劇物専用の薬品庫に入れて、施錠を行う必要があります。また、毒劇物の使用量の記録や専用薬品庫の鍵の保管などを管理者が厳密に行なうことも必要です。

危険物に関しては、消防法に基づいた管理を徹底する必要があります。危険物は、危険性に応じて貯蔵や取扱いを制限するために、危険等級と指定数量の基準が定められています。危険等級は3つに区分され、各等級において収納する容器や最大貯蔵容量が定められています。指定数量とは危険物の品名毎に定められた保有量のことで、指定数量以上の危険物を保有する場合は貯蔵所として認可された施設で保管しなくてはなりません。数多くの薬品を扱うウェットラボでは、水質汚濁防止法など上記以外の様々についても遵守し、適正な管理を行える体制を構築する必要があります。

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消耗品の管理(過剰在庫/在庫不足の解消)

ウエットラボでは薬品類だけではなく、実験に必要な消耗品の管理も必要です。グローブやピペット、ペーパータオルなど頻度高く消耗するものも多く、研究の合間に各在庫製品の入出庫を漏れなく記録し、適正量の在庫数を管理することはとても難しいです。過剰な在庫の保有は計画的な予算消化の障害になる一方で、在庫不足は実験のスムーズな進行を妨げます。また、発注から納品までに長い時間が掛かる製品もあり、在庫不足のタイミングで発注を依頼してもすぐに納品されず、実験の進捗に影響が出ることもあります。

薬品と比較すると、消耗品の管理を必須にしていない施設も多いため、全く管理出来ていなかったり、一部をノートで記録する程度の管理しかしていなかったりする状況が多く見受けられます。このような状況では、在庫全体の把握は難しく、結果として棚卸を行う際に数量が合わない、購入した金額がわからない、どこに保管したかわからないなどの問題が生じ、棚卸がスムーズに実施できないことに繋がります。

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在庫管理業務の課題解決のために

上記のとおり、研究室の在庫管理は薬品類と消耗品の双方において管理上の課題が生じています。 これらの課題に対しては、最適な管理システムの導入を行うことが1つの解決策になります。

薬品メインの管理で業務の適正効率化を行う研究室であれば、ノートやExcelではなく薬品管理システムを利用することがお勧めです。薬品管理システムの中には、薬品の適正管理をサポートする危険物の倍数管理機能や毒物の使用承認機能、CAS番号や構造式検索から製品の検索や管理ができるものもあります。また、業務効率化の観点からもバーコードやQRコードを使用しての管理(スマホアプリ、天秤連動など)で日常の管理業務をサポートできるものもあり、薬品管理業務においての課題解決が期待できます。

また、薬品に加えて、消耗品の管理や棚卸による資産評価額の算出などに作業の負担を感じている研究室は、棚卸機能付きの薬品管理システムの利用や、消耗品管理用の在庫管理システムの併用がお勧めです。

まずは、どんな製品を管理するのか、どのような機能が必要であるかを整理した上で、システムを選定・導入することをお勧めします。

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薬品管理・在庫管理システム選定時の4つのポイント

研究室で薬品管理・在庫管理システムを導入する際には、必要な機能・コストを整理し、各研究室において効果的なシステムを選定すべきです。下記に、システムを選定する際のフローと・それぞれのフローで確認するべき項目をまとめていきます。

1.必要な機能を洗い出す

研究室で管理したい製品の項目やどのような機能が必要なのかを事前に整理しましょう。

①薬品・消耗品など管理対象の製品を整理

「毒劇物・危険物を中心に管理を行う」など、どのような製品を管理するためにシステムを導入するのか具体的に整理します。

②生じている在庫管理業務の課題を整理

システムの導入を検討される方の意見だけではなく、在庫管理業務に関わる担当者を交え、現状の管理方法に対する不満や課題を洗い出しましょう。

③お試し利用で、使いやすさを確認

せっかくシステムを導入しても、操作が難しく、結果として管理工数が掛かってしまうことを回避するために、お試し利用やデモ操作で使いやすさを確認しましょう。また、検討しているシステムを利用している研究室が周りにある場合は、その研究室での評価や感想を参考にしながら、自分たちの研究室にとって使いやすいシステムなのかを確認してみましょう。

④在庫の入出庫や使用時の入力方法を確認

最も使用頻度の高い、入出庫・使用を記録するための入力方法(PC、スマホ、電子天秤、ハンディスキャナなど)が、自分たちの研究室の管理方法に合っているかを確認しましょう。

2.費用を確認

システムに必要な機能の洗い出しが終わった後は、システムの費用を確認しましょう。

システムの費用は、イニシャルコストとランニングコストの2つに分かれます。イニシャルコストのみ必要なパターンと、イニシャルコストは不要または安価でランニングコストが定期的に発生するパターンが一般的です。予算や契約期間に合わせて、適切な費用体系のシステムを選択しましょう。

費用が高額なほど、どの研究室にとっても使いやすいシステムということではありません。近年では、クラウド型のシステムも増え、安価でも使用感に優れた多機能なシステムも出てきています。

システムの費用については、サイト上では詳細が確認できず、直接問い合わせが必要なケースもあります。導入を検討する際は、まずはお問い合わせをしてみましょう。

3.サポート体制や機能開発の柔軟性などを確認

「1.必要な機能を洗い出す」「2.費用を確認」で概ね候補は絞れますが、複数の候補で迷った場合は、提供元のサポートや開発体制(柔軟性)を確認するのがおすすめです。機能の開発や仕様の改修が難しいシステム会社も多いですが、一方で開発に前向きで拡張性の高いシステムを目指しているシステム会社もあります。

在庫管理体制が確立された研究室の場合は、システムの拡張性はあまり考える必要がありません。しかし、まだ管理体制が確立されておらず、研究室の管理体制が今後も変わる可能性が高い場合は、システム上での設定変更サポートが充実していたり、必要な機能を柔軟に開発してくれるシステム会社を選ぶべきです。「システムに関する説明会は柔軟に実施可能か?」「設定変更や質問がある場合や、機能の要望が発生した場合は、どのように対応してもらえるのか?」など、システム会社へ質問してみましょう。

4.見積・発注と連動するシステムや研究業界に特化したシステムも

在庫管理する試薬や消耗品を、同システム内で見積・発注できるシステムもあり、 在庫管理と関連性の深い購買管理業務に関する課題を同時に解決できます。

また、在庫管理システムの中には、幅広い業界で利用されているものもあれば、研究業界に特化したものもあります。一般的な在庫管理システムの場合、危険物や毒劇物管理など、ウェットラボでの在庫管理に必要な機能がないシステムもあるので、研究室での導入を検討する際には注意が必要です。

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<リプルア(reprua)が研究室の薬品・在庫管理業務を強力にサポート>

これまで記載したとおり、研究室の在庫管理はまだまだアナログな環境が多く、ノートやエクセルで薬品や消耗品の管理をすると非常に手間がかかります。研究業界に特化した購買・在庫管理システム「リプルア」は、見積・発注・検品などの購買フローから、法規制に即した試薬在庫管理から棚卸しまで、研究に関わる管理業務を一貫して効率化します。研究室向けに設計されたシンプルかつ多機能なシステムで、安心してシステムを導入いただくことができます。リプルアを提供する株式会社Inner Resourceは、今後も研究業界の課題を解決し、研究者が研究に没頭できる世界を創るために、研究室で発生する様々な課題の解決に幅広く取り組んでいきます。

reprua(リプルア) 研究者の声から生まれた購買・在庫管理システム