2018/03/23

KRPPRESS特集:イノベーションの様々なカタチ② 特別座談会

地域に特化したアクセラレータープログラムで新たなビジネスモデル創出をめざす

昨年6月、新規事業創出支援プログラムの構築を目的に業務提携した(株)日本政策投資銀行(DBJ)とCreww(株)が、提携後初の取り組みとしてDBJコネクト「京都オープンアクセラレーター(KOA)」を実施。オール京都としてバックアップすべく京都府、京都市、(公財)京都産業21、(公財)京都高度技術研究所、KRP(株)も共催として参加している。京都に特化したオープンイノベーションプログラムの意義と目的、プログラムを通して見つかった課題や可能性、将来のビジョンまで、それぞれにプログラムに寄せる思いを語っていただいた。 (※イノベーションの様々なカタチ③にて取り組みの詳細をご紹介)

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取り組む「覚悟」を持っているか ~見つかった課題~

田代 このプログラムでは、Crewwが培ってこられたノウハウやプラットフォームを使って実施しましたが、DBJとして気をつけなければならない課題も見つかりました。

麻田 大企業サイドだと、どのようなチームを構成できるかが1つのポイントになる気がしています。もちろん会社によっても違うのでしょうが、たとえば経営層が決めればスムーズに事が運ぶかというとそうでもない。内部調整や担当者のマインドが追いつかず、後になって問題が出てきてしまったり。若手と中堅の方が担当だと、どうしても経営層が中堅の方の意見を優先してしまうということもあると思います。

田代 社内を調整していくことの難しさを感じますね。

水野 大企業側は、自社の弱点分野を一緒に作ってくれる相手としてスタートアップを選ぶことが多いです。一方スタートアップは、あくまでも自社の成長曲線を大企業と組むことで加速させることが目的なので、協業案が彼らの成長曲線にそぐわなければ意味がありません。そこがお互いうまく紐付いているかどうかの見極めが肝心です。

田代 これまでお会いした企業からは、総じて高い関心を持ちながら、それを受け止める社内の体制がないと嘆く声をよく耳にしました。でも、そうした体制がある会社なんてほとんどありませんよね。今回一緒にやった企業は、やりながら、模索しながら、一緒に作っていかれていました。そういう覚悟を持っているかどうかも、重要な要素の一つなのかもしれません。

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Creww(株) Managing Director 水野 智之 氏

地域に特化したからこそ見えたコミュニティの重要性

水野 こういうプログラムを100回以上やってきて、今回すごくいいなと思ったのは地域に特化したことです。企業が日本各地に点在していると、プログラムが終わったあとに担当者同士が集まるというのは現実的ではないですね。ところが今回は、参加された企業が集まって良かったことも悪かったことも共有されている。

麻田 実際、各企業の担当者たちが自発的に食事会などをされて、「じつは社内でこういう課題がありまして」みたいな話をされていたと聞きました。これは非常によかった点で、そういった食事会という小さなコミュニティからスタートして、そこに次は新しい会社もどんどん加わって、地域単位でコミュニティが形成されていくというのは、中長期で見ると間違いなく必要なこと。コミュニティにはノウハウが蓄積、共有されやすいですからね。このプログラムならそれができるのでは、という思いを強くしました。せっかくなので、次につながる会、フォローアッ
プの会みたいなことも企画していきたいと考えています。次につなげる、今あるノウハウを次に生かせる、そんな仕掛けを考えた
いですね。

伊地知 地域に特化、ということで言えば、地域の課題を吸い上げるアクセラレータープログラムというのも面白そうです。行政と企業とスタートアップの、それぞれ利害が一致するポイントを探るというような。

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Creww(株) Founder & CEO 伊地知 天 氏

ノウハウを、知見を「共有」する ~つながる力を育てていく~

伊地知 大企業がこういうプログラムにチャレンジされる。すると良かった点、悪かった点、いろいろな反省点が出てくる。そういったことをほかの企業にも教えてあげて、全体で底上げしていくことが、本来あるべき姿だと僕は思っているんですね。ノウハウを共有することで、次の人が効率的にできるようになり、いろんな人たちが挑戦してきた時間や労力といったものが自分にもしっかり返ってくるという──。

水野 4社の事業会社がこのプログラムの中で、ノウハウを共有しながら共通認識をめざそうとされていました。4社が同じ場にいて、DBJとCrewwが間に入って、そこを擦り合わせながらブラッシュアップしていくという今回のやり方を、今後も地域でやっていければ、うまくメリットとして使えるのではないかという気はしています。

田代 DBJの企業理念は「金融力で未来をデザインします」というもの。金融力の本質は情報や人の中継点になれるところだと思うんです。適切な情報を適切な人達に結びつけ、組み立てていくこと、それを通じてコミュニティを作ることに貢献したいと思っています。

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左から(株)日本政策投資銀行 業務企画部 イノベーション推進室 副調査役 田代 翔太 氏、 副調査役 麻田 泰生 氏

継続させることで描けるビジョン ~イベントとして終わらせない~

伊地知 イノベーション創出とか新しいことへのチャレンジは、点ではなく線でとらえなきゃいけない。持続性が必要なんです。コミュニティもそこにつながる話で、このプログラムもイベントとしてとらえず、仲間と一緒にノウハウを共有しながら次につなげていくものであるべき。複数社でやる、共有する仲間がいるというのは、非常に持続しやすいモデルで、もっとも合理的なやり方です。途絶えるぐらいなら他の人がやってもいい。とにかく継続させることが重要です。

麻田 これで終わりじゃないですよね。プログラムをやって終わりじゃない、これから長いプロセスが続いていくわけです。でも、そういったことを始めたという事実を社内外に発信し、その覚悟が何だったのかということを記録なり媒体なりに残して共有することが重要かもしれません。

水野 もし次年度も同じことができたら、そこでまた一つのコミュニティが生まれます。継続的に続けていくことで、コミュニティを組成させ、つなげていくことになります。これは、地域で一気に拡大させるやり方です。いいじゃないですか。地域の広がり、コミュニティのつながりをうまく生かすには、共催頂いた地元行政の方も仰有ってくださったように、KOA2018、2019、2020・・・と、ずっとやっていってほしいですね。

田代 期待に応えられるよう、頑張ります(笑)

──ありがとうございました。

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