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開催レポート)ウェルネスシンポジウム ~再生医療を細胞バイオテクノロジー分野であると考えてみよう~終了

「再⽣医療の具現化のKEY」となるのは細胞の能力を高める技術です。タンパク質や遺伝子において発展してきたバイオテクノロジーの技術が、細胞や細胞周辺の領域にまで拡がりをみせています。本シンポジウムでは、再生医療を細胞バイオテクノロジー分野と考え、産官学の専門家にご登壇いただき、最新の研究内容や課題、展望などをお話いただきました。製薬メーカー、医療機器メーカー、材料メーカー等の企業や研究者の方々、スタートアップや病院関係者の方々、計245名が会場とオンラインで参加されました。パネルディスカッションではオンラインでの参加者からも多くの質問が寄せられ、熱のこもった討論が行われました。

<概要>
・日時:2020年12月4日(金)13:00~18:40
・会場:京都リサーチパーク西地区 4号館 地下1階 バズホール/オンライン(zoom)
・出席者:245名(現地会場:38名、オンライン:186名、関係者:21名)
     ※登壇者の講演概要・略歴 https://www.krp.co.jp/innovation/detail/1873.html

冒頭、オーバービューでは、京都大学ウイルス・再生医科学研究所教授の田畑泰彦先生から再生医療の基本概念と再生医療分野についてご講演頂きました。再生医療分野の4本の柱として「細胞移植」「組織工学」「遺伝子治療」「創薬研究」を挙げ、それぞれの役割や重要性について言及されました。

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基調講演では、鹿児島大学大学院医歯学総合研究科血管代謝病態解析学分野教授の橋口照人先生にリモートでご登壇頂きました。再生医療を念頭に血小板の性質や機能について「止血反応」を中心に、血小板生物学としての考えを述べられました。疾病と血小板の関係にも触れ、将来的に血小板の研究が医学へ貢献できる方向性についてもお話いただきました。

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続く企業講演では、澁谷工業株式会社専務取締役澁谷英利氏にご登壇頂きました。無菌化と自動化技術による臨床治験に向けた細胞製造の事例をご紹介いただきました。産業化には研究用から生産用SOPへの改変など装置周辺のソフトウェアや、バイオマテリアルの重要性について述べられ、臨床用ゼラチンハイドロゲルの開発経緯とエクソソームの高純度大量生産のご説明をいただきました。

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休憩をはさみ、6名のパネリストによる情報提供が行われました。

まずは東洋紡株式会社機能膜開発研究所所長西田光生氏から、「再生誘導材料の展開(東洋紡のライフサイエンス分野への取組み)」と題し、ご講演いただきました。すでに実用化されている再生誘導材料については実際の使用例を具体的に解説くださいました。また、化粧品向けの材料や展開予定の材料についてもご紹介いただきました。

次に、新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野教授寺井崇二先生から「間葉系幹細胞、exosomeを用いた次世代の再生療法」についてご講演いただきました。慢性肝炎や肝硬変の治療における間葉系幹細胞、マクロファージ、エクソソームの働きについて現在の研究状況や今後の展望についてご説明くださいました。

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続いて、国立医薬品食品衛生研究所再生・細胞医療製品部部長佐藤陽治氏がご登壇くださいました。再生医療研究における「産業化のための研究」における課題について、大量製造・原料供給・コスト・規制/評価技術の標準化などを挙げられました。課題の解決策の一つとしてQbDに触れ、その実現のためには、有効性の機序を明らかにするための科学と不均質な細胞のハザード検出技術が重要であると述べられました。

株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング代表取締役社長執行役員畠賢一郎氏からは、再生医療と細胞バイオテクノロジーの接点について、再生医療の多様性を起点にお話いただきました。注射点滴といった薬のように提供できる再生医療は開発が進んでいるが、それ以上のものを開発するためには細胞バイオテクノロジーの発展が欠かせないと語られました。

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次に、本シンポジウム唯一の動物医薬分野から農林水産省動物医薬品検査所(NVAL)再生医療・バイオ医薬品チーム長能田健氏にご登壇いただきました。「なぜ我が国の動物再生医療は世界一なのか?」と題して、日本の動物再生医療は様々な組織が連携してプレ・コンペティティブ共同研究、開発ガイドライン作り等が進められ、これを背景に社会実装が急ピッチで進行中であることについてご紹介くださいました。

最後に、経済産業省商務・サービスグループ生物化学産業課産業分析研究官(バイオ担当)新階央氏から、「モダリティ間競争の中での新たな再生医療の可能性について」をテーマにご講演いただきました。同一性のある細胞を大量に工業生産するには大きな困難があることや、市場競争で勝つには難治性疾患を有効かつ安全に治療できる技術の開発が必要であることについてお話くださいました。また人材育成も含めたエコシステム構築の重要性についても言及されました。

産官学の各分野から最新の研究内容や、開発における課題や展望についてご登壇者の皆様から貴重な情報をご提供いただきました。

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最後のパネルディスカッションでは、本シンポジウムを企画くださった田畑泰彦先生がモデレーターとなって、8名の登壇者の皆様との討論が行われました。オンラインの参加者から、細胞や細胞周辺の環境に関すること、エクソソームの製造や活用についてなどの質問があり、産官学それぞれのお立場での見解をお答えいただきました。また最後には、今後の再生医療発展に必要なことをお一人ずつ語っていただき「治せない病気を治すという大きな目標を持つこと」「産官学が根気よく信頼関係を構築していくこと」と、パネリストより貴重な言葉を頂戴しました。

ディスカッション.jpgパネルディスカッションの様子

ウェルネス分野の異分野連携、そして新たなイノベーションの創発が感じられるシンポジウムとなりました。

主催:京都リサーチパーク株式会社

後援:経済産業省近畿経済産業局、京都市、京都府、(一社)京都知恵産業創造の森、(一社)ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン[LINK-J]、(一社)再生医療イノベーションフォーラム[FIRM]、公益社団法人京都工業会、NPO法人近畿バイオインダストリー振興会議

お問い合わせ

e-mail : innovation@krp.co.jp
京都リサーチパーク株式会社 イノベーションデザイン部