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ウェルネスシンポジウム ~再生医療を細胞バイオテクノロジー分野であると考えてみよう~終了

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再⽣医療の基本アイデアは、体本来のもつ⾃然治癒⼒を介して病気を治すことです。この治癒⼒のもとは細胞の増殖、分化能⼒であるため、細胞周辺環境を作り与えることで細胞能⼒を⾼めることが「再⽣医療の具現化のKEY」となります。これまでタンパク質や遺伝⼦について発展してきたバイオテクノロジー技術の対象が、細胞にまで拡がってきています。すなわち、再⽣医療とは、「細胞バイオテクノロジー」分野です。本シンポジウムでは、産官学の専⾨家とともに、細胞と細胞周辺のバイオテクノロジーについての議論を楽しんでいただきたいと考えています。

<オーバービュー>

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登壇者:京都大学ウイルス・再生医科学研究所 教授 田畑 泰彦 先生
テーマ:「対象が細胞まで広がったバイオテクノロジー分野~再生医療を具現化する細胞バイオテクノロジー~」

再生医療とは、体本来のもつ自然治癒力を高める先端医療の一つである。この自然治癒力の基である細胞の増殖、分化(成熟して生物機能をもつこと)能力を高めることで、再生医療が可能となるであろう。再生医療は再生治療と再生研究からなる。細胞力を活用した先進治療が再生治療であり、再生研究とは、その治療を科学的に支える基礎生物医学研究と創薬研究である。このいずれに対しても、細胞能力を高めるための周辺環境を作り与える細胞バイオテクノロジー技術が必要不可欠であることは疑いない。本講演では、再生医療(再生治療と再生研究)がバイオテクノロジーの1つの分野であることを強調したい。

<基調講演>

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登壇者:鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 血管代謝病態解析学分野 教授 橋口 照人 先生
テーマ:「血小板の生物学的多様性」

血小板は核を持たないが故に多種のデフォルト機能を搭載している。止血機能においては血管損傷部位への粘着・凝集と形態変化を起こす。このダイナミックな変化が起こるとき、血小板は"生きて"いる。しかしながら、血小板膜上で止血のプロセスが完成に向かうとき、血小板は既に死んでいる。血小板は"生きて"いるとき、上記以外にも様々な役割を果たす。その代表例が創傷治癒反応への寄与である。血小板は血管内皮増殖因子 (VEGF) をはじめとした増殖因子を豊富に搭載し創傷治癒反応におけるbioactive reservoir としての役割を果たす。今回の講演が細胞バイオテクノロジーのなんらかのヒントとなれば幸いである。

<企業講演>

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登壇者:澁谷工業株式会社 専務取締役 澁谷 英利 氏
テーマ:「再生医療の産業化とバイオマテリアル」

再生医療・細胞治療が基礎研究から臨床試験そして実用化へ向けて加速的に産業化が進むなか、培養工程の無菌化・自動化や工程管理の情報処理などシステムによるサポートの重要性がさらに高まっている。同時に研究内容やテーマが多様化しDDSやバイオマテリアルとの併用など治療ニーズに合致したソフト開発においても、より高度なサイエンステクノロジーとしての発展が期待されている。最先端の再生医療等製品や治療方法がより安全に検証された技術として国内外へ早く広く普及し、人々のQOL向上や社会貢献に繋がることを心から願うものであります。

<パネリストによる情報提供>

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登壇者:東洋紡株式会社 機能膜開発研究所 所長 西田 光生 氏
テーマ:「再生誘導材料の展開(東洋紡のライフサイエンス分野への取組み)

2013年に神経再生誘導材、2019年に骨再生誘導材、それぞれ製造販売承認を受けた弊社の医療機器は、共にコラーゲンを足場材料として使用し、コラーゲンの特長を活かした再生誘導材料である。これらは、体内に埋入されてから神経及び骨が再生をほぼ終えるまでの間、足場材料として、再生すべき組織が伸長・拡大するのに必要な機能的空間を保持する。同時に細胞等を呼び込むことで再生に必要な栄養摂取を継続できる機能を果たす。そして再生の役割を終えた時には、分解・吸収されて、代謝・排出されるため、足場材料としての痕跡を残さない。今後さらに、再生誘導の適用組織領域を拡大中である。


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登壇者:新潟大学大学院医歯学総合研究科 消化器内科学分野 教授 寺井 崇二 先生
テーマ:「間葉系幹細胞、exosomeを用いた次世代の再生療法」

肝硬変症に対する自己骨髄細胞投与療法(臨床研究、2003年より)、また他家脂肪組織由来間葉系幹細胞投与療法(ロート製薬との企業治験 PhaseI,Ⅱ、2017年より)を開発してきた。一方で基礎研究より間葉系幹細胞は"指揮細胞"として働き、線維化改善、再生誘導は間葉系幹細胞からでるexosomeが内在のマクロファージを抗炎症性の表現型に変えることで誘導されることが明らかになった。また炎症腸疾患モデルにおいては間葉系幹細胞の効果発揮には炎症の初期のタイミングでの投与が大事であった。消化器領域の再生医療を考える場合、将来内視鏡技術などを応用した炎症の幹部への細胞投与、exosomeの局所投与も考えられる。
これからの再生医療は、新しい素材も組み合わせた、炎症、再生のバイオロジーを理解した治療戦略が必要と考える。


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登壇者:国立医薬品食品衛生研究所 再生・細胞医療製品部 部長 佐藤 陽治 氏
テーマ:「再生・細胞医療を社会に実装するために必要なサイエンスとテクノロジー」

2003-2012年度に展開された文科省『再生医療の実現化プロジェクト』では、「新たな幹細胞技術によってどんな再生医療の実現が期待できるか」についての理解が進みました。文科省・厚労省『再生医療の実現化ハイウェイ』(2011年度~)及び『再生医療実現拠点ネットワークプログラム』(2013年度~)並びに経産省『再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業』(いずれも後にAMEDに移管)では、「幹細胞を使った再生医療を臨床に届ける」ための技術開発が進みました。本講演では、次のステップとして「再生・細胞医療を日常的な医療の選択肢とする」ために必要な科学・技術についてお話したいと思います。


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登壇者:株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング 代表取締役 社長執行役員 畠 賢一郎 氏
テーマ:「再生医療等製品の開発・製造・販売に供するサイエンスについて考える」

再生医療を実現ための、いわゆる『再生医療等製品』はきわめて多様である。あたかも医薬品のように扱うことができる細胞懸濁液から、移植に用いる人工臓器として生涯にわたり効果を期待するものもある。従来の医薬品や医療機器とは似て非なるものであり、開発活動はもちろんのこと、製造の方法や販売方法についても、特別な対応が求められる。演者らは、自家培養表皮ジェイス、自家培養軟骨ジャックの製造販売承認を受け、これまでに2000例を超える症例に再生医療等製品を提供してきた。開発のみでなく製造や販売についても独特のサイエンスが必要であることを経験した。まさに、細胞バイオテクノロジーの結集である再生医療の実現について話題提起できれば幸いである。

登壇者:経済産業省 商務・サービスグループ 生物化学産業課 産業分析研究官(バイオ担当) 新階 央 氏
テーマ:「モダリティ間競争の中での新たな再生医療の可能性について」

バイオ医薬品の時代が開かれて以来、抗体医薬、遺伝子治療、エクソソーム創薬などの細胞成分の利用と、細胞や組織自体を利用するアプローチでの競争が激化している。
経産省での研究開発の推進を通じて、再生医療が発展するために求められる要件を考察し、モダリティ間競争に勝利するためのアプローチを提案したい。

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登壇者:農林水産省 動物医薬品検査所(NVAL)再生医療・バイオ医薬品チーム長 兼 免疫・病理学領域長 能田 健 氏
テーマ:「なぜ我が国の動物再生医療は世界一なのか?」

我が国の動物再生医療は、世界にも類を見ない規模と深さで多くの取組みが進展している。2013 年の法改正を皮切りに協力体制整備が始まり、動物医薬・試薬・機器メーカー、臨床家、アカデミア等が集結した世界初の動物再生医療推進協議会(CARM)が組織された(2015)。さらにNVALとの協力覚書(2018)により産官学連携体制が構築され、先進的プレ・コンペティティブ共同研究、ガイドライン作成、臨床実態把握等の各種取組みが精力的に実施されている。これらを背景に多彩な自然症例に対する再生獣医療とトランスレーショナルリサーチ、世界初のイヌ細胞加工製品の申請等、動物再生医療の社会実装が急ピッチで進行中である。


※11月5日時点。予告なく発表の順番が変わることがございます。ご了承ください。

日時

 12月4日(金) 13:00~18:40  ※交流会なし

場所

 ➀京都リサーチパーク KRP西地区 4号館地下 バズホール
 ②オンライン(Zoom)
 ※新型コロナウイルスの感染拡大の状況に応じて、全てオンライン開催へと切り替わる可能性がございます。
  予めご了承ください。

ご来館時の注意 (必ずご確認ください。)
 以下の方はご来館をご遠慮いただきますようお願いします。

 ① 軽度であっても、風邪のような症状(発熱、咳、咽頭痛など)がある方
 ② 国内外において、新型コロナウイルス感染症が疑われる方と長時間の接触があった方
 ③ 過去2週間に政府の入国制限、入国後観察期間が設定されている国・地域への渡航歴のある方

 当日はマスクを着用の上、こまめな手洗い・手指消毒にご協力くださいますようよろしくお願いします。

対象

 AI・IoT・製薬・バイオ・モノづくり等の企業や研究者の方々、ライフサイエンスの異分野連携を目指す方々

参加費

 無料

定員

 ➀京都リサーチパーク KRP西地区 4号館地下 バズホール:50名
 ②オンライン(Zoom):100名
※好評につき、オンライン参加を200名まで増席中。

お申込み

 https://wellness-symposium-krp.peatix.com/

主催

 京都リサーチパーク株式会社

お問合せ先

 京都リサーチパーク株式会社 イノベーションデザイン部 松浦・河端
 TEL:075-315-8491 E-Mail:krp-id@krp.co.jp

お問い合わせ

e-mail : innovation@krp.co.jp
京都リサーチパーク株式会社 イノベーションデザイン部