2017/10/09

不妊治療のための子宮内フローラ検査の開発

Varinos(株) 取締役 長井 陽子 氏

「当社は、2017年2月に誕生したばかりの、次世代シークエンサーを用いた受託解析ベンチャーです。当社は、ゲノム医療の実現を目指しており、その第一歩として、不妊治療に新しい検査を導入し、イノベーションを起こしたいと考えています。産科・婦人科医が顧客であり、エンドユーザーである不妊治療の患者を救うことを目指しています。昨年国内で約40万例のIVFによる不妊治療が行われましたが、治療費は約150万円と高額であるにも関わらず、7割は妊娠に成功せず、85.5%の患者が妊娠率の改善を求めています。

一方で、子宮内のラクトバチルス属の菌が豊富な人の方が妊娠率・出産率が高い、という驚くべき論文が昨年発表されました。これまでに知られていたことは、膣内のラクトバチルスが支配的であるほど、雑菌やウイルスなどの感染症を防ぐことです。新たな報告では、子宮内でもラクトバチルスが支配的であることが、母体と受精胚にとって非常に重要なファクターである可能性を示しました。この結果を受け、我々は子宮内膜のマイクロバイオームを調べる新しい子宮内フローラ検査サービスを開発しています。まず、不妊治療患者の膣あるいは子宮内膜サンプルを医療機関にて採取し、当社の品川ラボラトリーに送ってもらいます。弊社ラボラトリーにて、DNAを抽出、増幅、シークエンシングして、マイクロバイオームを解析し、レポートとして返却します。

当社は、今年7月に品川ラボをオープンし、4つの不妊治療クリニックと60人の患者を対象にパイロット研究を開始しました。子宮内膜の菌環境は、サプリメントや子宮内洗浄などで簡単に変えることができる可能性があり、2018年1月には、治療介入に関する臨床研究を始める予定です。」

【主なメンターコメント】

「非常に重要なアンメット・ニーズに対応しているし、診断という素晴らしいソリューションを提供しており、さらに医者と組んで変化を起こそうとしていることがよい」 SPARK Berlin, Craig Garner氏

「マイクロバイオームは非常に関心の高い領域となっているが、2つの大きな課題がある。国際的なサンプリング・テスティングの基準がないという技術的課題と、消費者向けサービスとするのかIVFの効果改善など医療行為の方向を目指すのかによってクリアすべき課題や資金調達も異なってくるというターゲット戦略の2つの大きな課題がある」 Johnson & Johnson INNOVATON, Dong Wu氏

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【発表者プロフィール】

2011年、東京大学大学院薬学系研究科にて博士号を取得。(独)産業技術総合研究所、東海大学医学部では研究員として遺伝統計解析・データベース開発業務に携わる。2014年、イルミナ株式会社に入社、シーケンシングスペシャリストとしてヒトゲノム研究のコンサルティングに従事。2017年、元同僚の桜庭氏と臨床ゲノム検査を開発・提供することを目的としたVarinos株式会社を設立、取締役に就任。ゲノム医療をより身近なものにすることを目指す。

Varinos(株) ウェブサイト http://varinos.strikingly.com/