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2022/04/08

「京大発イノベーションを探る」 「食」によるメンタルケアの可能性 ~ペプチド研究者と製菓メーカー開発者が紡ぎだす「挑戦型」産学連携ストーリー~ 終了

京大発イノベーションを探る2_バナー (002).jpg
2022
39()に『京大発イノベーションを探る「食」によるメンタルケアの可能性~ペプチド研究者と製菓メーカー開発者が紡ぎだす「挑戦型」産学連携ストーリー~』がオンラインで開催されました。今回は、「ストレス社会」を生き抜くための新しい「食」のかたちを、共同研究を通して追究・挑戦されている研究者と開発者から詳しくお話をお伺いすることができました。本レポートでは、当日の様子の一部をご紹介させていただきます。

目次

・プレゼンテーション 京都大学大学院農学研究科 准教授  大日向耕作 氏

・プレゼンテーション UHA味覚糖株式会社 バイオ開発ディビジョンリーダー 兼 マーケティングディビジョン副リーダー 執行役員   松川泰治 氏

・トークセッション 

プレゼンテーション 京都大学大学院農学研究科 准教授  大日向耕作 氏

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大日向氏:タンパク質を酵素で分解して得られる消化物には、膨大なペプチド分子種が含まれています。このペプチド群は、ストレス緩和作用や、意欲向上作用、認知機能改善作用、血圧や血糖低下作用など様々な健康機能を示すことがわかってきています。
その生理活性を示す素材を実際に実用化する場合には、消化物に含まれる数多くペプチドの中で、どのペプチドが効果を示しているかを明らかにする必要があります。ペプチドは種類が非常に多く機能性ペプチドの特定は簡単ではありません。そのため私は、消化物中に含まれるペプチドを網羅的に分析するとともに、比較的組み合わせの少ないジペプチドに着目し、活性に必要なペプチド構造のルールを明らかにすることで機能性物質を効率的に見つけようと考えました。結果、数多くの生理活性ペプチドを短期間で効率的に発見しています。今回、特に意欲向上ペプチドの例について紹介しています。
世界的高齢化、気候変動など、地球規模の問題とそれに向けての解決が求められている今、こういった技術を生かし、次世代の機能性食品と医薬品開発を進めていきたい、というのが私の思いです。
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※その後当日は、UHA味覚糖株式会社さまとの共同研究、経口投与で抗うつ作用を示す大豆由来のペプチド「Soy-deprestatin」について、詳しくお話いただきました。

プレゼンテーション UHA味覚糖株式会社 バイオ開発ディビジョンリーダー 兼 マーケティングディビジョン副リーダー 執行役員   松川泰治 氏

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松川氏:味覚糖は元々お菓子の開発から発祥していますが、近年、時代の流れとともに、お菓子をヘルスケア基材の一つとも捉え、商品開発を行っています。
ヘルスケア分野において基礎研究を社会実装していく手段として、例えば今回のペプチド「Soy-deprestatin」の開発において、京都大学から特許の実施権を得るだけではなく、共同研究契約を結びました。
そして「Soy-deprestatin」を産業レベルで量産化し、一定量・規定量を含有した、βコングリシニンの酵素消化物「SOYLAX®」をもとに臨床試験や商品化を進めていき、2020年に「冴えるダイズ」の発売にいたりました。売上という意味ではまだまだ途上と感じていますので、今後もお客様の声を受け止めて、バージョンアップ品を出していきたいと考えています。
このように私たちはお菓子をヘルスケア基材として捉えて、医食の分野を横断していきたいと考えていますし、食によるメンタルヘルスケアの時代が近く到来することを望んでいます。


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トークセッション

イベント後半では、実際のご経験に基づきながら、産学連携を成功させるポイントやアドバイス、そして今後チャレンジしたいことなど、詳しくお話をお伺いしました。

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京都大学大学院農学研究科 准教授 大日向耕作 氏(中央)
UHA味覚糖株式会社 バイオ開発ディビジョンリーダー 兼 マーケティングディビジョン副リーダー 執行役員  松川泰治 氏(右)

Q.産学連携を成功させるキーポイントとして感じていることをお聞かせください

大日向氏:まずはキラリと輝くネタがあること、そしてそれを社会実装したいというモチベーションを強く持つことが一番大事なことだと感じています。実験室で、試験管を振って得られた結果が、論文となり情報となって役に立つことだけではなく、さらに社会実装されて、世界中の人々に使ってもらえるようになるということは、大変影響力があることです。そういったことを、「楽しい」と思えるモチベーションが大事になってくるかと思います。また、民間企業の人と共感する、高い目標に共感するということも大事だと思っています。

松川氏:研究者同士の方向性が合う、ということが必須であると思っています。また大変シビアな話で言うと、企業対大学の契約がうまく成り立つかどうかも重要です。私自身も過去の経験から、足元を見つめ直して、該当の研究に関して、自社の法務部や役員、意思決定する方々に分かりやすく説明できるように、社内での理解を促すような活動を行ってきました。そうすることで自社内の各部門との連携も比較的スムーズに回り始めた経験があります。自分自身が当事者になるということと、社内でも応援してくれる人を一人でも多く作っていくということがとても大切になってくると感じています。

最後に

当日は、研究に関するお話だけではなく、ご経験談も交えながら、お二人の考えや感じていらっしゃることにも踏み込んでお話いただきました。また、今後の展望・チャレンジされたいこともお伺いすることができ、「食」によるメンタルヘルスケアを実現する時代の到来への期待も高まる、非常に貴重な機会となりました。

KRPでは、今後も定期的にライフサイエンス・ウェルネス系の企業・スタートアップやアカデミアの研究者を対象に、研究環境やアクセラレーションプログラムなどの情報を発信するセミナーを開催していく予定です。次回もお楽しみに。

<「京都大学農学研究科食品生物化学専攻 食品生理機能学分野」のご紹介>

講座名:京都大学農学研究科食品生物科学専攻食品健康科学講座

食品生理機能学分野では、食品の生体調節機能に注目し、食品成分が生体調節系に対して示す作用を、個体、臓器、細胞、遺伝子および分子レベルで解析し、生活習慣病の予防および健康の維持・増進にとって真に望ましい食品とは何かを究明することを目指しています。

WEBページ: https://www.sseiri.kais.kyoto-u.ac.jp/

<「UHA味覚糖株式会社」のご紹介>

会社名:UHA味覚糖株式会社

UHA味覚糖株式会社の経営理念は『おいしさは、やさしさ』ふです。おいしいものは、カラダにいい。カラダにいいものはおいしい。病気のときには薬を服用します。健康を願う人は、おいしいものを選んでもっと健康になります。健康に、おいしくないものは不向きです。より一層の健康と美しさのため、UHA味覚糖の製品は作られています。「おいしさはやさしさ」は、そんな願いを込めた私たちのCI(コーポレート・アイデンティティ)なのです。

また、『UHA』とは人の夢をかなえるために、独創的、個性的に未来に向けてチャレンジしていこうという会社の信念を表しています。食べるという行為を通じて、多くの人が大きな夢を心に抱き、快適で健全な生活を送っていただくことこそ、私たちUHA味覚糖の最大の願いなのです。

WEBページ: https://www.uha-mikakuto.co.jp/index.html


イベント中ご案内した「ターンキーラボ健都」の詳細は以下ページからご覧いただけます

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