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特集

2023/03/23

【アルケマ株式会社】サステナブルな世界に貢献する、イノベーティブな化学企業へ

特殊化学・先端材料分野を軸とする化学品の製造・販売を行うメーカーARKEMA社(本社フランス)の日本法人であるアルケマ株式会社。
京都リサーチパーク株式会社が開催する、企業と学生の共創プログラム「MOVE ON」にも参画いただきました。今回は、企画参画を決めた下西氏に、アルケマ株式会社が目指す未来とKRP地区での取り組みについて伺いました。

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アルケマ株式会社/機能性樹脂事業部/コンシューマー・産業用途開発グループ
グループマネージャー* 下西 祥幸氏

*所属・役職は、2022年取材当時、2023年現在は、アルケマ株式会社 京都テクニカルセンター 機能性樹脂事業部 R&Dサポートグループ グループマネージャー 

先端的な研究開発力と高機能用途の実現力をもとに、国内外市場で確かな実績を誇る

アルケマ株式会社は、フランスの石油メジャーTotal(現 TotalEnergies SE)の事業再編に伴い 2004年に発足したARKEMA社の日本法人で、その前身は1974年に国内での活動を始めています。東京に本社を置き、横浜、京都を拠点に事業を展開しています。

日本では主に、ポリアミド製品などの化学品の輸入・販売を行っています。分かりやすく言えば、フッ素系樹脂やナイロン系樹脂、スーパーエンプラであるPEKK樹脂などのプラスチック材料を取り扱っており、自動車の配管、スポーツシューズのソール、医療用カテーテルチューブ、3Dプリンターなど、私たちの暮らしの中で活用されています。プラスチックには大きく分けて3種類があり、ポリ袋など大量に使用される汎用プラスチック、自動車などで使用される耐久性や耐熱性を備えた高性能なエンジニアリングプラスチック、さらに高機能で差別化されたスペシャリティマテリアルズに分類されます。アルケマでは近年、このスペシャリティマテリアルズに注力して研究開発を行っています。さらに、日本の大学とも提携して基礎研究を実施しており、山形大学では圧電ポリマー、金沢工業大学のICC(革新複合材料研究開発センター)では熱可塑複合材料、神戸大学では水処理膜に関する研究が行われています。また、日本では2020年に立ち上げたスタートアップ・コネクトというプログラムを通じ、スタートアップ企業の支援も行うなど、継続的に革新的な材料を生み出し続けるためにオープンイノベーション戦略を重視しています。

京都テクニカルセンターで約30年にわたり機能性樹脂の新たな事業を創出

私は京都出身ですが、三重大学と大学院で6年間学び、タンパク質、多糖類など自然界にある生体高分子や、リウマチの原因物質となるタンパク質に関する研究を行っていました。アルケマには1996年に新卒で入社し、現在に至るまでここKRP地区にある京都テクニカルセンターで勤務をしています。

京都テクニカルセンターでは、前述のフッ素樹脂やポリアミド樹脂、PEKK樹脂を取り扱う機能性樹脂事業部の製品を中心に研究開発を行っています。私はグループマネージャーとしてチームを束ねながら、ビジネスディベロップメントと呼ばれる、新たな事業を創出する役割を担っています。今後成長が見込まれるビジネス分野で、どのような材料をどのように活用できるかを考え、研究部門にフィードバックし、顧客に提案をしています。

京都テクニカルセンターは1993年に開設されました。周辺に集積している大学と連携がしやすく、KRP地区には京都府中小企業技術センターや京都市産業技術研究所といった公的産業支援機関が入居していることに加え、1994年に開港された関西国際空港からアクセスがしやすい環境にあるというのが決め手だったようです。アルケマの本拠地はフランスにあるため海外のお客様も多く、京都は日本の伝統文化が色濃く残る街なので、出張でお越しいただくと大変喜ばれます。私自身、生まれ育った京都の地で勤務できることは大きな魅力でもあります。

100%スペシャリティマテリアルズをめざし、サステナブルな世界に対応するソリューションを

アルケマは2021年、企業のビジュアルアイデンティティを刷新し、サステナブルな世界に貢献するために、イノベーティブな製品を提供することをミッションに掲げました。近年、バッテリーや水素といったクリーンモビリティの開発プロジェクト、植物由来の再生可能な材料など、革新的で高性能な新しい材料の需要が拡大しています。2024年までには、スペシャリティマテリアルズに100%特化することを目指しています。
また、製品のサステナビリティ向上を目的として、インドにおける持続可能なトウゴマ栽培の推進や奨学金プログラム、バイオメタンの供給に関するENGIE社との長期契約の締結等、様々な取り組みを進めており、経営の持続可能性や環境パフォーマンスという点においてDJSI(サステナビリティ・ワールド・インデックス)等の評価を得ています。

アルケマは世界50カ国以上で事業を展開し、機能性樹脂事業部はアジア地域で京都に加え、中国と韓国にも研究所を構えており、今年はシンガポールに新工場が立ち上がる予定です。京都テクニカルセンターの主な市場は日本と韓国を中心としたアジア地域で、いかに新たな価値を発掘し、新たなビジネスを創出するかが私たちの課題であり挑戦です。

キープレイヤーとなる人材の育成にも注力

今後、社員の育成を強化していき、世界が直面する課題に対応するソリューション開発を行うキープレイヤーとなるような人材を育てていきたいと考えています。
KRPとの取り組みとしては、社員が学生と一緒にビジネスアイデアを考える「MOVE ON」に参画しました。若手社員が異業種の方や学生など、自分とギャップのある人と触れ、リーダーシップが学べる良い機会となりました。例えばこのような機会をもっと社内に提供していきたいですね。

アルケマ株式会社が参画した「MOVE ON」のレポトは  こちら

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下西 祥幸

京都府生まれ。三重大学工学部と資源科学専攻科を修了。1996年にアルケマに入社。京都テクニカルセンターに所属し、共重合ポリアミドホットメルトのアジア地域における技術サービスおよび用途開発を担当。その後アルケマの機能性樹脂事業部製品のコンシューマー用途、一般産業用途における開発担当を経て、現在は主に医療機器、テキスタイル分野を受け持つ。2021年より、「ABCマテリアルズ*」をはじめとするアルケマのサステナブル材料のプロモーションを推進するバイオアンバサダー。

*ABCマテリアルズ:アルケマの機能性樹脂事業部では、植物由来原料からなる製品を「Advanced Bio Circularマテリアルズ」と呼称してプロモーションを行っている。植物由来原料の採用のみに留まらず、持続可能な原料作物栽培の推進を通じた安全性・衛生性の向上や人権の尊重、樹脂材料のマテリアルリサイクル等、樹脂材料のカーボンフットプリントやサステナビリティの向上に向けた取り組みを行っている。

企業情報

組織名:アルケマ株式会社
代表者:京都テクニカルセンター所長 ダミアン・ヴィトリ(Damien Vitry
所在地:3号館1
TEL
075-326-7431
FAX
075-326-7524
URL
http://www.arkema.co.jp/

材料と革新的ソリューションの設計者として、様々な材料を具現化して新たな用途を創造し、顧客製品のパフォーマンス向上に貢献。

2004年101日に、フランスの石油メジャーTotalグループの化学部門であるアトフィナの再編により誕生したARKEMA社(本社フランス)の日本法人。日本での年商はおよそ180億円(2021年度)。全世界での売上高115億ユーロ、従業員数約21,100名で55ヶ国に拠点を持ち、また幣京都テクニカルセンターを含む16の主要な研究・開発拠点と148の生産拠点を有する。

■ 機能性樹脂、及び特殊化学品の輸入販売と研究開発
■ ユーザーへのテクニカルサービス
■ 新規用途や新製品の開発
■ アジア・太平洋地区でのテクニカルサービス及び研究開発

京都テクニカルセンターでは主にRilsan® Pebax®Kynar® Kepstan®などの機能性樹脂製品のビジネスディベロップメントと技術サポートに注力。また、国内のパートナー企業と共にコーポレート研究活動を推進し、チオケミカルの技術開発サポートも行う。