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特集

2023/03/24

【マルホ株式会社】皮膚科学領域のスペシャリティファーマとして未来を拓く

皮膚科領域に特化したスペシャリティファーマとして、医療用医薬品等の研究・開発・製造・販売を行なっているマルホ株式会社。
京都リサーチパーク株式会社が開催する、企業と学生の共創プログラム「MOVE ON」にも参画いただきました。今回は、企画参画に手を挙げた井上氏に、マルホ株式会社が目指す未来とKRP地区での取り組みについて伺いました。

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マルホ株式会社/研究部 執行役員付シニアマネージャー 井上隆幸氏

国内医療用外用剤でトップシェアを誇る、皮膚科学領域における確かな実績。

1915年に創業し、100年以上の歴史を持つマルホ株式会社は、皮膚科疾患治療薬の主な剤形である外用剤(塗り薬)をはじめ、経口剤(飲み薬)や、注射剤など多彩な製品を取り扱っており、患者さん一人ひとりの想いに寄り添った医薬品開発に挑戦することで、現在、国内医療用外用剤(塗り薬)においてシェアNo.1を獲得しています。

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マルホ株式会社は皮膚科学領域に特化してきましたが、同時に、研究の効率化のため、1998年、分散していた研究部門を、ここKRP地区に集約しました。現在は、皮膚疾患に有効かつ安全な化合物の探索・検証を行い、医薬品としての承認申請に必要な非臨床試験を実施し、臨床開発を推進する医薬開発研究、外用剤の製剤設計、分析法の開発、工業化検討等のCMC研究を担う創剤技術研究などを、この京都R&Dセンターで取り組んでいます。

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皮膚科学は、免疫、中枢神経などあらゆる研究の集大成。

マルホ株式会社は、創薬研究の強化をはかるため探索研究部を新設することになり、私は2014年にマルホ株式会社に入社しました。それまで別の製薬メーカーで25年間、免疫抑制剤などの創薬研究をしていましたが、その知見を活かしてマルホ株式会社における創薬の基盤づくりを行うというのが私のミッションでした。

皮膚疾患において「免疫」は密接な関わりがあります。免疫反応とは、細菌やウイルスなど、人体にとって有害な異物が体に侵入したときにこれを撃退することを言います。人体に無害なものに過剰反応して自分の体を傷つけてしまうことで起こるのが自己免疫疾患です。例えば帯状疱疹、乾癬、アトピー性皮膚炎なども免疫力の低下によって起こる疾患であるとも言われています。また、皮膚の痛みや痒みというのは中枢神経が関わってきます。つまり、皮膚科学とは、いろいろな疾患に関する研究の集大成と言える領域なのです。

研究開発力を強化し、未来を担う創造性人材を育成。

近年、マルホ株式会社は皮膚科学領域に特化した応用化学の分野に力を注いできました。今後は研究開発力を一層強化し、医薬品の開発・製造・販売のグローバル化という次なるステージを見据えています。だからこそ、5年、10年先を見据えて応用研究に取り組むだけではなく、20年、30年先の未来を見据えてデシジョン(意思決定)し、創造性を発揮するような「創造性人材」の育成に力を入れています。

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ゼロから新薬を生み出す創薬においては、約15年もの長い年月が必要となり成功するかどうかは未知数です。けれども、未来の課題を解決するために、仮説でもいいから自らデシジョンし、この研究者に任せたら大丈夫と信頼を獲得できる、そんな人材を育てていくことが重要と考えます。

ステンドグラスのストーリー

京都R&Dセンターのエントランスには木蓮の花が咲くステンドグラスが展示されています。1998年の当センター竣工時に中村晋也先生のブロンズ像作品「祈り」の背景として設置されたものです。実はこのステンドグラス、京都R&Dセンターで開発した新しい医薬品を世に送り出すたびに木蓮の花が咲いていきます。厳しい研究開発を乗り越えた先の成果を、厳しい冬を超え、暖かくなる春を待ちわびるかのように開花する木蓮の花で表現しています。花も実もつけぬ枯れ枝だったステンドグラスには、24年を経て、9輪の美しい木蓮が咲いています。

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京都には大学が集積し、ベンチャー企業を育てる風土があります。また、KRPではイベントや交流会、ワークショップなど、さまざまなオープンイノベーションの場も提供されています。このチャンスをどう活かすかは各々の企業次第です。
企業成長のために何をするべきかという視点で活用し、優れた人材を育て、今後も多くの花を咲かせられるよう研究活動に取り組んでいきたいですね。

マルホ株式会社が参画した「MOVE ON」のレポートは  こちら

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井上隆幸氏

北海道帯広市生まれ。北海道大学薬学部大学院卒業。大学では天然物の全合成について研究する。大手製薬メーカーで免疫研究を中心に様々な領域の創薬研究に取り組む。2014年、マルホ株式会社に入社し探索研究部(旧)で自社創薬の強化をはかる。現在では京都R&Dセンターの研究部に於いて企画推進に関与し、人材育成にも積極的に取り組む。

企業情報

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組織名:マルホ株式会社 京都R&Dセンター
代表者:代表取締役社長 杉田 淳
所在地:KRP3号館3階・5号館・7号館
TEL
075-325-3255
FAX
075-325-3222
URL
http://www.maruho.co.jp/

ーMissionー「あなたといういのちに、もっと笑顔を。」

大阪市に本社を置く医療用医薬品等の研究・開発・製造・販売を行う皮膚科学領域のスペシャリティファーマです。創業は1915年、従業員数は1,547人(20229月末)です。20229月期の売上高は85677百万円でした。202210月、全従業員がかかわる形で「経営理念」を刷新し、誰もが笑顔で暮らすことのできる社会の実現を目指しています。

マルホ株式会社 京都R&Dセンター

■医薬開発研究所(京都リサーチパーク西地区5号館)

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皮膚疾患に有効かつ安全な化合物の探索・検証を行い、医薬品としての承認申請に必要な非臨床試験を実施し、臨床開発を推進する研究開発施設。

■創剤技術研究所(京都リサーチパーク西地区7号館)

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外用剤の製剤設計、分析法の開発、工業化検討などのCMC研究を担い、有効性、安全性、品質の確保に加えて、使用性(塗り心地の良さ、使いやすさ)や工業生産性(スケールアップ、生産工場への技術移転)にも注力し、製剤の価値を最大限に引き出す研究を行う。