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開催レポート

2019/08/0413:30

同志社ビジネススクールMBA公開講座<br>「オープンイノベーション進展に伴う中小・ベンチャー企業の活躍の可能性」

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同志社ビジネススクールMBA公開講座
「オープンイノベーション進展に伴う中小・ベンチャー企業の活躍の可能性」結果報告

2019年9月27日
同志社大学大学院ビジネス研究科

1.開催概要
開催日:2019年8月4日(日)13:30~17:00(KRP WEEKの一環として開催)
場所:京都リサーチパーク東地区1号館サイエンスホール
主催:同志社大学大学院ビジネス研究科(同志社ビジネススクール)
後援:経済産業省近畿経済産業局、京都リサーチパーク株式会社

2.講師
・北 寿郎氏/同志社大学大学院ビジネス研究科 教授「オープンイノベーションに必要な組織能力」
・河原克己氏/ダイキン工業株式会社テクノロジー・イノベーションセンター 副センター長「ダイキン工業における協創イノベーションの取組み」
・村松洋明氏/株式会社ミラック光学 代表取締役社長「ものづくり中小企業がAI開発へ -イノベーションの創出とAI活用現場事例-」
・加藤謙介氏/株式会社幹細胞&デバイス研究所 代表取締役「大学発ベンチャー初期ステージにおける外部リソースの活用事例」
・細川洋一氏(近畿経済産業局地域経済部地域経済課長)(パネリストとして参加)
・児玉俊洋氏(同志社大学大学院ビジネス研究科 教授 研究科長)総合司会、イントロダクションおよびパネルディスカッション司会

3.講演概要
大企業におけるオープンイノベーションの進展によって技術のある中小・ベンチャー企業の活躍の機会が広がることが期待できる。しかし、そのためにはどのような課題があり、どのような取り組みが必要なのかという観点から公開講座を行った。講演においては、まず、北氏から企業がオープンイノベーションを実行する上での企業文化、手続き、スキル、モティベーションからなる組織能力上の課題とその解決方法が提示された。次いで、オープンイノベーションの実績を挙げている大手企業として、ダイキン工業株式会社の河原氏から同社テクノロジー・イノベーションセンターを拠点として有力大学や異業種企業、ベンチャー企業と取り組んでいる「協創イノベーション」の紹介があり、次いで、中小・ベンチャー企業側の取り組みとして、株式会社ミラック光学の村松氏から大学との連携によるAIベンチャーの立ち上げとAI活用によるユーザー企業とのイノベーション推進事例について、また、株式会社幹細胞&デバイス研究所の加藤氏からは自社の起業経緯からスタートアップ企業の経営資源の不足を外部との連携によって補うことの意義が示された。

4.パネルディスカッション概要
①公設試験研究機関の役割
 パネルディスカッションでは、冒頭、細川氏からオープンイノベーションにこれまであまり注目されていなかった公設試験研究機関が果たしうる役割について紹介があった。

②大企業と中小・ベンチャーでの組織能力問題の違い
次いで、企業がオープンイノベーションを進める上で課題となる組織能力上の問題点への取組について論じ、ダイキン工業の河原氏は優秀な研究者ほどNIH(「自社製ではない」ことを回避したがる)傾向が強いという問題について、異分野の専門家と会って刺激を受け意識が大きく変わることが紹介された。村松氏と加藤氏からは、中小・ベンチャー企業ではリソースが不足しているためNIH文化の問題はなく外部との連携は必然であること、加藤氏からはベンチャー企業ではNIHはない替わりにビジネスチャンスがあっても研究を優先するという研究者の研究指向性が障害になることが指摘された。

③大企業に求められる課題と意義
中小・ベンチャーとのオープンイノベーションを進めるため大企業に求められる課題や役割として、加藤氏からは中小・ベンチャーに接する大企業の担当者が自身の担当分野の技術でないと関心を示さないことがあるが、新たな技術に出会ったら新事業創出に向けた思考実験ができるマインドセットを求めたいとの指摘があった。北氏からは大企業によるCVCを通じたベンチャーへの資金供給への期待が表明され、河原氏からは東大ベンチャーとの協力の経験では資金よりもマネジメントや顧客獲得の必要性が高いことが指摘された。

④課題発見型のオープンイノベーション
河原氏からはさらにオープンイノベーションの方向性として、大学への研究者の派遣や、ミラック光学のアリ溝ステージを例に挙げ、世界随一の技術を持つ中小・ベンチャー企業とディスカッションすることによって新たなテーマを見いだせることの意義が指摘された。

⑤大企業と中小・ベンチャーの出会い形成の方法
大企業が技術を持った中小・ベンチャーとどのように出会ったらよいのかについては、加藤氏、細川氏から展示会、販路開拓支援、マッチング支援等の公的機関による仲介、冒頭コメントされた公設試験研究機関の機能、それら施策を有効活用する中小・ベンチャーの経営者の感度が重要であるとの指摘があった。また、河原氏から東大ベンチャーをしらみつぶしに当たっているとの経験が紹介され、児玉はそれを踏まえると集積としての情報発信が重要と指摘し、村松氏から産業クラスター推進機関であるTAMA協会の活動が紹介された。一方、細川氏から大手企業側の技術探索が積極化しているとの指摘もあった。

⑥オープンイノベーションに必要な技術の翻訳
 フロアから、ある技術によってどのようなことができるのかわかるように伝える翻訳が重要でありそれはどうしているかとの質問があり、これに対して河原氏から商業ベースの技術仲介会社であるナインシグマがニーズ情報をシーズ側にわかりやすく伝える翻訳を重視しているとの紹介があった。

⑦オープンイノベーションを促進するクラスター、エコシステムの形成
 最後に児玉から商業ベースでの技術仲介会社の登場も踏まえ、各地の公的支援聞かにゃTAMA協会がそれぞれの役割を発揮し、全体として効果的に機能するクラスター、エコシステムを形成することが有意義であるとしてまとめられた。

お問い合わせ

TEL : 075-315-8485
e-mail : krp-week@krp.co.jp
京都リサーチパーク株式会社 KRP WEEK事務局