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イノベーションが
生まれる「まち」。

開催レポート

2018/07/3013:30

【5】KRP-WEEKシンポジウム "未来のつくり方" を語る
~海外スタートアップ×日本企業 オープンイノベーションの今~

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~海外スタートアップ × 日本企業 オープンイノベーションの今~

主催:京都リサーチパーク(株) 共催:(独)日本貿易振興機構(ジェトロ)

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企業カルチャーが異なる者同士が協業することの可能性とは。
日米のオープンイノベーション事例に詳しいMitch Kitamura氏の講演を皮切りに、KRP-WEEK2018の開幕を飾るシンポジウムが開催された。

① 基調講演:シリコンバレーのオープンイノベーション最新事情

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講師 Mitch Kitamura氏/ Draper Nexus マネージングディレクター

 Draper Nexusは「大企業のオープンイノベーション支援」をミッションに掲げ、設立以来、日本とシリコンバレーを またいだB2Bの分野への投資やイントラプレナー、つまり事業会社内で起業家マインドを持った人材の育成を特に 重要と考え、そのためのプログラムを提供している。

 優秀な人材、チャレンジの文化、それを支える資金。この3つが揃ったシリコンバレーには、世界中から多種多様な経験を持った人たちが集まり、シリコンバレーにオフィスを構えた日本の事業者数も過去最高を記録した。スタートアップが急速に拡大し、イノベーションの創出がさらにスピードアップするなかで、事業会社とスタートアップのパワーバランスが大きく変わってきている。今までは資本もリソースも多く持っていた大企業が優位であったが、今では、優秀なスタートアップに世界中の事業会社がラブコールを送っているのだ。つまり、事業会社はスタートアップに選ばれる存在になるために、常に考え続ける必要がある。

 大企業とスタートアップは、哺乳類と昆虫ぐらい違う。具体的に言うと、企業の寿命が違うことにより、製品が出来上がるスピードもその品質もお互いが持っている常識とは大きく異なっている。その違いを乗り越え、オープンイノベーションを成功に導くには、オープンイノベーションを受ける社内体制を整えること、ビジョンの共有、クローズとオープンのボーダーラインをクリアにすることの3つが不可欠である。

Mitch Kitamura氏

滋賀県大津市出身。ボストン大学にて経済学修士。(独)ジェトロN.Y.を経て、2000年に日本のベンチャーキャピタル(JAIC)に参画。2011年にシリコンバレーと東京に拠点を置くDFJグループのベンチャーキャピタルとしてDraper Nexus Venturesの立ち上げに参画。米国と日本を中心に先進的なビジネスを展開する有望なスタートアップ企業への投資、成長支援を通じ、日本の大手事業会社とスタートアップ企業のオープンイノベーション活動を支援する。

② 事例紹介:シリコンバレーのスタートアップ企業と日本企業のコラボレーション

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 実際の協業事例として、ロボットのモジュール化プラットフォームの構築を目指す「カンブリア」及びカスタマイズできるロボット(オムニ)を提供するオムニラボのThuc Vu氏が登壇。誰でも参加できる「カンブリア」では、開発された技術を使って、新たな技術の開発や商用化をさまざまな人たちと協力して行うことができる。コミュニティの形でビジネス、企業をつなぎ合わせることで技術の商用化の近道をつくると同時に、知的財産権を守り、盗用ができない仕組みづくりにも注力。活用の可能性は大きく、AIとロボティクス分野を中心に、ドローンやバイオメディカル分野への進出もめざしている。

 「カンブリア」の紹介と合わせ、ロボット(オムニ)のデモンストレーションも行われた。続いて凸版印刷(株)の朝田大氏が、オムニラボ、東京大学暦本研究室と共に進めている5Gを活用した遠隔体験ソリューション「IoA仮想テレポーテーション」を紹介。IoA(Internet of Abilities)とは、人間とテクノロジーが一体化することで時間や空間の制約を超えて相互に能力を活用し合えるネットワーク環境のこと。そのプラットフォームを築いていく上で、オムニラボとの連携が欠かせないと語った。

③ パネルディスカッション:海外スタートアップと日本企業による"未来のつくり方" の有効なしかけとプログラム

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 協業における課題や注目すべきトレンドなど、奈良氏からパネリスト各氏への問いかけに対し、それぞれの視点から未来につながる展開を探った。

 協業相手に日本企業を選んだ理由としてThuc氏は、「ロボティクス分野で日本は夢の市場」であるとした。さまざまな領域に浸透し成熟していると同時に、「高齢者介護に価値を提供できる」日本の人口動態がオムニラボに合っているという。凸版印刷(株)とは、先進的な考え方やオープンな企業体制など、共通点が多く、シナジー効果を期待できると話した。ただ、シリコンバレーのスピード感に比べて動きが遅いように感じるとも語り、速度の重要性という課題が浮かび上がった。課題として、朝田氏は、社内部門間のコミュニケーションの難しさ、新規事業担当者が社内を説得することに労力がかかる点を挙げた。岡橋氏は、バイオ・ライフサイエンス系の領域とその他のITや工学などの領域との異分野融合(いわゆる「医工連携」)の必要性や、IPOのみならずM&Aによるexit事例の創出を増やしていくべきとした。

 朝田氏はイスラエルを拠点とするスタートアップに注目していると語り、イノベーションのグローバル化についてシリコンバレー以外のエリアにも新しい時代の流れを見出していきたいと語った。

モデレーター

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(独)日本貿易振興機構(ジェトロ) 知的財産・イノベーション部 イノベーション促進課長
奈良 弘之氏

パネリスト

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みやこキャピタル(株) 代表取締役パートナー
岡橋 寛明氏

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凸版印刷(株) 経営企画本部 フロンティアビジネスセンター 戦略投資推進室長
朝田 大氏

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CEO and co-founder of Kambria and OhmniLabs
Thuc Vu氏

イベント参加者の声

自分たちの世界とは違う新しいスタートアップの登場を知り刺激に

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スフェラーパワー(株) 代表取締役会長
中田 仗祐氏

私は、起業するには、誰もが考えそうもない独自の発想が不可欠と考えています。今回のシンポジウムでは、海外のいろいろな新しいネタを持って起業したスタートアップの例を紹介していただき参考になりました。また、自分たちの世界と違う新しい形のスタートアップの登場を知り刺激を受けました。一方で、今後、それらのスタートアップがどのようにして企業を発展させていくかが今後の大きな課題になると感じました。

スタートアップ支援のあり方も環境に合わせて変えていく必要が

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京都市 産業観光局 新産業振興室
係長 西村 貴文氏

Mitch Kitamura氏をはじめ、シリコンバレーの第一線で活躍されている方々のお話は臨場感があり、また、プロトタイプ段階からどんどん進んでいくシリコンバレー企業のスピード感には驚かされ、大変刺激になりました。イノベーションのスピードが加速していき、スタートアップを取り巻く環境が激変していく中、日本でもスタートアップが企業を選ぶ段階にきており、本市のスタートアップ支援のあり方も、環境に合わせて変えていく必要があると感じました。

お問い合わせ

TEL : 075-315-8485
e-mail : krp-week@krp.co.jp
京都リサーチパーク株式会社 KRP WEEK事務局