CLOSE
SITE MAP
イノベーションが
生まれる「まち」。

イベント情報

同志社ビジネススクールMBA公開講座「Withコロナ時代のモノつくりのゆくえを探る」終了

画像.jpg開催レポート

場所:京都リサーチパーク西地区4号館ルーム3、4をホストにてオンライン開催。講演者の出澤様/株式会社エイシング 代表取締役CEO、井口様/株式会社井口一世 代表取締役は、それぞれリモートにて参加。灘原様/(株)SCREENホールディングス常務取締役CTO、並びに本学関係者は上記ホストから参加。

参加者:オンライン開催にて、事前申込者100名、当日参加者66名。当日講師およびビジネス研究科職員を含めて73名

講演概要:今年1月以降のコロナパンデミック発生によりグローバルにサプライチェーンの混乱・麻痺、並びにそれに伴う、モノつくり現場の停滞が発生した現象を踏まえ、今後のコロナとの共生を前提としたモノつくりの成長可能性を探るという観点から公開講座を行った。総合司会の児玉から、コロナ危機以後も業績を伸ばしている業種に注目し、「デジタル化」、「密を避ける省力化」、「サプライチェーンのリスク分散と効率化」をキーワードとしこれに関連して講師が紹介された。

 講演では、まず、灘原氏から直近までの半導体デバイスの進化、最先端のデバイスを活用したモノつくりにおけるデジタル化の方向性についてCyber Physical Systemに至るまでの説明を頂いた。次いで、株式会社エイシングの出澤氏からクラウドAIに比較したエッジAIの効用とともに(例えば、ディープラーニングを場合によっては、不要とすることができることにより)、モノつくりへの応用の紹介がなされた。株式会社井口一世 代表取締役の井口様からは、金型レスを活用することのコスト的観点から見た優位性、リスク軽減の説明とともにITを駆使したモノつくりの方向性が示された。最後に殷氏よりサプライチェーンへの規模の経済の応用による調達コストの低減について、保険のリスクプーリングを参考に工夫することが有効との事例が示された。

パネルディスカッション:全体的なディスカッションの方向性として、今年7月30日に示された内閣府の日本経済再生本部の検討母体である未来投資会議の「新型コロナウイルス感染症の時代、さらにはその先の新たな社会像の検討」資料に沿って進行を行った。

①中小企業のデジタルトランスフォーメーションの推進
政府が目指す中小企業のデジタルトランスフォーメーションについては、井口氏かは、同社の場合、生産工程のデジタル化は進展しつつあり、今後は開発におけるデジタル化が課題であることが紹介された。出澤氏からは、同社のAIシステムについてベンチャーキャピタルの投資を受けているので現状では大手企業のみに対応しているが、本来は中小企業にも適用できるとの紹介があるとともに、AI導入について言えば中小企業にとっては投資コストが高いため、例えば補助金等の政府のサポートを考慮する必要性についての示唆もあった。

②産業構造の変化を前提としたサプライネットの構築
灘原氏からは、すでに半導体デバイスメーカーでは、コロナ禍以前から構造変革は進んでおり、今回のコロナ禍においても大手デバイスメーカー、加えて製造装置メーカ-の今年前半の売上は対前期比プラスで推移しており、デジタル化により、省人化できるところに取り組んできた成果である旨の説明があった。殷氏からは、サプライネット構築に際しては複数のサプライヤーを組み合わせて規模の経済実現によるコスト削減を目指すのが必要との説明があった。一方、井口氏からは、コロナ禍において顧客からのお問合せが非常に増えている、出澤氏からは、AIの活用はやってみないとわからない面はあるが省人化のニーズは間違いなくあるとの指摘があった。

③ウィズ・コロナ、ポスト・コロナの企業戦略
未来投資会議の調査データでは、コロナ禍により企業戦略を見直す企業が71%(13,184社回答 今年6月末~7月初旬に実施)で持続可能性を重視した経営への転換(68%)、「新たな日常」に対応した新製品・サービスの開発(39%)が回答の多い項目である。一方、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進(21%)が低いように思えるとの質問に対し、出澤氏、井口氏とも中小企業も多く含めた調査においては21%という数値は、ポジティブととらえるべきとの意見があると同時に今後、DXのためのコストがコモディティ化により低減してきた際には、中小企業におけるDXの推進割合も上がってくるとの指摘がなされた。

④ サプライチェーンの課題
サプライチェーンの課題に関する調査データ(5月下旬実施 196人回答)によればコロナ禍におけるサプライチェーンを課題ととらえる企業は63%にのぼり、特に今後の対応として、業務の標準化・効率化(39%)、部品等の分散化・複雑化(22%)が上位を占めた。これに関して、殷氏からは、個別講演で話した内容と共通であり、十分に理解できるとの意見があった。他方、製品の設計開発におけるデジタル化(10%)、業務のアウトソーシング(3%)について課題として低いのではとの問いに灘原氏からこの分野は例えばCADの導入等、すでにこれまでに取り組んできた企業も多いため、現時点では課題認識が少ないことは理解できるとの意見が提示された。

⑤リモート、省人化によるモノつくりの可能性
職種別のテレワーク調査(対象2万人の就業者 6月公表)結果によれば、非製造業職種に比べ、モノつくり関係は、生産技術・管理(22%)、梱包・検品・出荷(6%)、組立・加工(3%)とテレワークの浸透度は低い結果となっている。これに対し出澤氏から、エッジAIの活用は間違いなく省人化を促進できる余地があり、井口氏もサプライチェーンを含めれば、まだまだ自動化、省人化は可能、灘原氏も既述の半導体関連企業のデジタル化の活用によるリモートによるモノつくりの実績から十分に改善余地ありとの意見が表明された。

⑥日本の生産性、とりわけ中小企業の労働生産性向上に向けて
全講演者から共通の課題は、人材のクォリティ向上、そのための人材教育の改善、社会的価値観の醸成の必要性が指摘された。加えて出澤氏からは、AI活用においていずれ中小企業でもコスト対応できるまでにコモディティ化してくると思われるが、それまでの期間における知財のプロテクションは経済安全保障の観点からも主に国の役割として重要になってくるとの意見が表明された。

以上の議論から、Withコロナ時代のモノつくりについては、大手企業のサプライチェーンの見直しは国内の中小企業にとってはビジネスチャンスとなること、ただし、そのためにはデジタル化に対応することが条件となること、大企業にとっても中小企業にとってもデジタル化推進のための大きな課題は人材の確保・育成であること、ここで必要な人材にはビジネスを構想できる人材も必要でありビジネススクールに大きな役割があること、DBSとしても産業界との一層の連携の下、取り組んでいくことの意義が確認できた。

イベント概要

これからのモノつくりは感染リスク低減努力と共存するあり方が問われています。本公開講座では、コロナ危機以後も業績を伸ばしている大手製造業および中小・ベンチャー企業の経営陣およびサプライチェーンの専門の研究者の参加により、特に、デジタル化、密を避ける省力化、サプライチェーンのリスク分散と効率化の観点に注目してwithコロナ時代のモノつくりの方向性を探ります。

日時

2020年8月29日(土)
13:30~17:00頃まで

タイムスケジュール

13:00 参加者オンライン接続開始
13:30 「同志社ビジネススクールの教育理念と本公開講座のねらい」:児玉俊洋氏/DBS研究科長・教授
13:50 講演「モノつくりのニューノーマルを支えるデジタル技術」:灘原壮一氏/株式会社SCREENホールディングス 常務取締役・CTO
14:10 講演「エッジAIの背景とニーズ」:出澤純一氏/株式会社エイシング 代表取締役CEO
14:30 休憩
14:40 講演「サプライチェーンのリスク分散に金型レス加工が果たす役割」:井口一世氏/株式会社井口一世 代表取締役
15:00 講演「パンデミックに対応する効率的なサプライチェーンの構築について」:殷勇氏/DBS教授
15:20 休憩
15:30 パネルディスカッション「Withコロナ時代のモノつくりのゆくえを探る」(モデレーター 沖勝登志氏/DBS教授)
16:40頃 終了(最長17:00まで延長可能性あり)

総合司会 児玉俊洋氏DBS研究科長・教授
DBS:同志社大学大学院ビジネス研究科(同志社ビジネススクール)

1.pngのサムネイル画像2.pngのサムネイル画像3.pngのサムネイル画像4.pngのサムネイル画像5.pngのサムネイル画像6.pngのサムネイル画像

場所

オンライン開催

対象

起業家、大企業、中小・ベンチャー企業、産業支援機関

参加費

無料

申込締切

2020年8月27日(木)

申込先

https://krpfes2020-doshisya.peatix.com

主催

同志社大学大学院ビジネス研究科

後援

京都リサーチパーク株式会社

お問合せ先

同志社大学大学院ビジネス研究科 大久保、一ノ瀬
TEL:075-251-4585 
E-Mail: ji-dbs@mail.doshisha.ac.jp

banner_hard.jpg