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2016/10/01

SPARK──アカデミアにおけるトランスレーショナル・リサーチ10年の歩み

スタンフォード大学 医学部 教授 Daria Mochly-Rosen 氏

3 例目は、米国西海岸からスタンフォード大学医学部Daria Mochly-Rosen 教授によるSPARK についての紹介です。 SPARK はMochly-Rosen 教授によって2007 年に設立された、スタンフォード大学医学部の産学連携プログラムです。創薬シーズを基礎研究から臨床試験まで推し進めていくトランスレーショナル・リサーチ(橋渡し研究)をするため、必要な教育やベテランによるメンタリングを提供しています。事例を交えた10 年間のあゆみが説明されました。 世の中を変える技術はアカデミアの基礎研究から始まります。しかし、この段階では未だ製薬企業の投資を喚起できません。重要なのは「基礎研究の情報を製薬企業や投資家に伝えること、或いは、治験などを行うこと」です。つまり、「アイデアを商業化し患者のケアに結びつけること」です。それがSPARK の目的であり、産業界との橋渡しをして、大学での発見を治療に繋げ、社会に貢献することをミッションとしています。
SPARK におけるプロジェクト成功の基準は、「1.2 年以内に治験に到達する 2.プログラムが外部の企業にライセンスアウトされる 3.新しい企業を立ち上げるためのファンディングを得る」の3 点で、その成功確率は60% です。SPARKにエントリーされたプロジェクトを成功に導くために、専門家の紹介、専用の研究施設、資金提供などを実施しています。これまでに110 件のプロジェクトがエントリーし、うち73 件が完了しています。

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Daria Mochly-Rosen 氏
スタンフォード大学 医学部 教授
Daria Mochly-Rosen 博士はスタンフォード大学のSPARK プログラムの創設者・代表として創薬における「探索研究」と「開発」の間にある、いわゆる「死の谷」を乗り越えようとするアカデミアの研究者、機関の支援を行っている。彼女はプロテインキナーゼC 研究の成果を循環器疾患治療薬の開発へとつなげるために、スタートアップ企業を設立した。しかしその際に大学を一旦離れなければならなかった経験から、大学の研究成果を「死の谷」を乗り越えて創薬探索・開発へと結びつけるサポートを行うSPARK プログラムを2006 年に設立した。サイエンスの新しい発見を製薬ビジネスへ繋げるという、大学が抱える課題に挑戦しているSPARK の活動モデルは、アメリカ国内外を問わず導入されつつあり、アカデミア発の創薬についての書籍にもなっている。Mochly-Rosen 博士はイスラエル出身であり、Chemical Immunology の分野で博士号を取得している。現在はスタンフォード大学Department of Chemical & Systems Biology の教授を務める。
SPARK について
SPARK は、創薬シーズを基礎研究から臨床試験まで推し進めていくトランスレーショナルリサーチ(橋渡し研究)を推進するために必要な教育やメンタリングを提供する米国スタンフォード大学の産学のパートナーシッププログラムである。産業的なスタンダードを用いてより低額にProof of Concept(POC:概念実証)を行うため、Daria Mochly-Rosen 教授により、2007 年に設立された。SPARK で医薬品・診断薬開発の専門家へのアクセスや専用の研究施設、そして研究開発を進めるための資金援助を提供している。これまでエントリーした110 プログラムのうち73 プログラムが完了しており、その59% が起業、ライセンスアウト、あるいは臨床試験へ進んでいる。
http://med.stanford.edu/sparkmed.html


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