【開催報告】環境技術セミナー#1:脱炭素社会を支えるエネルギー変換デバイスとオンサイト環境計測技術
2025年6月4日(水)、京都リサーチパークにて、京都工芸繊維大学の先進的な研究者をお招きする「環境技術セミナー」の第1回が開催されました。 本セミナーは、環境配慮や負荷軽減に関わる技術開発、事業化を目指す企業や研究者の方々を対象とした連続企画です。 今回は2名の先生にご登壇いただき、それぞれの最新の研究についてご講演いただきました。
【講演1】燃料電池の性能を飛躍させる先進計測技術(機械工学系 西田 耕介 准教授)
はじめに、エネルギー政策の基本方針であるS+3E(安全性・安定供給・経済効率性・環境適合性)の観点から、燃料電池の最新動向や大型商用車への導入事例についてご紹介いただきました。
西田先生は、主に以下の2つの研究について発表されました。
・光学的X線イメージングによる燃料電池内の水分布計測と構造設計
・レーザ吸収分光法による燃料電池ガス濃度測定技術

研究では、燃料電池の性能低下の大きな要因となる電極内部の「水」の分布をX線で可視化することに成功しています。 水分状態と電圧特性を同時に計測することで、電圧が低下するメカニズムの解明を進めているとのことです。 これらの高度な計測技術は、燃料電池だけでなく、様々な産業分野への応用も期待されます。
【講演2】社会課題「PFAS」を現場で迅速に測る新手法(分子化学系 吉田 裕美 教授)
近年、有害性が指摘される有機フッ素化合物「PFAS」は、2026年4月から水道事業者等に水質検査が義務付けられるなど、規制強化が進んでいます。 これに伴い、現場で迅速かつ簡単にPFASを測定できる技術への関心が高まっています。
吉田先生は、この課題を解決するため、PFASの簡易な電気化学測定法の開発について講演されました。 この方法は、サンプル液が有機膜と接した流路を通過する際、PFASが膜へと電解抽出され、それにともなう電流を測定することでPFASを定量します。装置が小型・安価であるため、現場での迅速な分析に適しています。
この技術の大きな利点は以下の通りです。
・従来法で必要だった検量線が不要
・電極の構造が単純
・ごく少量の試料溶液で測定できる
社会的な要請が高まる中、この画期的な現場測定法の実用化に大きな注目が集まっています。
活発な意見交換が行われた交流会
ご講演の後には、参加者から多くの質問が寄せられ、活発な質疑応答が行われました。 その後の交流会では、登壇された先生方と参加者が直接意見を交換し、ネットワークを深める貴重な機会となりました。