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特集

2018/06/28

【CORESCOPE株式会社】再生医療研究者のQOL向上をめざす理化学機器を開発

実験におけるルーティンワークを削減するための"ありそうでなかった"製品を開発・販売し、研究者の日常に「新しい時間」を創出する。CORESCOPE(株)代表取締役 大久保 康氏にお話を伺った。

実験する人が欲しいと思う道具は"操作性"が何より大切

03_CORESCOPE_65.JPGのサムネイル画像CORESCOPE(株) 代表取締役 大久保 康 氏

 弊社が作る製品は、生化学系の実験で研究者たちの負担になりがちなルーティンワークの作業効率を向上させるものです。たとえば、一度に8つの穴の培養液などを吸引できるマルチチャンネルアスピレーターは、単純な手作業の繰り返しを大幅に削減。マイクロピペットと類似の操作性と重量で、研究者にとって非常に使いやすいものになっています。

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 私はもともと機械工学や電子工学を専門とするエンジニアで、京都大学の医療工学研究室で人工関節と再生軟骨の研究をしていました。細胞の培養など毎日繰り返すルーティンワークに時間を取られ、肝心の研究や論文に費やす時間が少なくなる。工学部出身の人間としてそこをなんとかしたいと、モノづくりスピリッツが湧き上がったわけです。「こんな製品があったら、絶対もっとラクにできるのに」と。その経験に基づいて作った試作機を展示会などに出させていただいたところ、評判が良かったのが起業したきっかけです。細胞研究の現場で本当に必要とされる、みんなが欲しいと思っているのになかった、ニッチな製品の開発をさらに進め、再生医療や理化学機器など生化学の分野でCORESCOPEというブランドを浸透させていきたいと思いました。

メカトロニクスエンジニアが得意ワザをもって世界のステージへ

 今年2月、(独)JETRO主催のプロジェクトでボストンとNYへ行く機会がありました。アメリカの東海岸、とくにボストン周辺は再生医療分野の本場。ハーバードやMITといった大学や製薬会社が直径2㎞ぐらいの地域に集積している場所です。そのときに行かせていただいたCIC(ケンブリッジイノベーションセンター)で、かなりの衝撃を受けました。そこにはいろいろなベンチャー企業や、これから起業しようという人たちが、非常にオープンな雰囲気で仕事をしていました。透明なガラスで区切られているので、何をしているのか自由に見ることができます。ただし、オープンなところとクローズなところはしっかりと線引きできている。ベンチャー同士が気軽に声を掛け合って、お互いに良いものを作り合おうという風土がとても気に入り、私もこのような場所で仕事がしたいと思い、再度訪米する準備を進めているところです。

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水を使用しない遠沈管保温器や、溶液を集金しきれるプレート洗浄機など、ありそうでなかった製品の数々

このプロジェクトに参加して、アメリカはイメージしたものを3Dプリンタなどでモックアップにするまでは早いけれど、その次の試作機の設計・製作のステップが十分ではないということに気づきました。試作機開発は、弊社がもっとも得意とするところ。MITのラボに持ち込んだ自社製品が非常に評価され、一緒にやらないかという話も出ました。創業して3年、次のステージとして海外展開の基盤を築こうと考えています。弊社の製品は、iPS細胞をはじめ様々な細胞の培養に役立つものです。ぜひとも弊社の製品や技術を活用していただければと思います。

「KRP PRESS154号(2018年7月発行)より抜粋」

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