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特集

2026/10/05

【本多電子株式会社】魚群探知機を原点に、超音波技術の研究開発型企業として新市場を拓く。

魚群探知機から始まり、「超音波技術」に特化して海洋、産業、医療等の多岐にわたる分野で技術革新を続ける本多電子株式会社。本稿では、代表取締役社長の本多洋介氏に、京都研究室を京都リサーチパークに開設した想いや注力する研究、今後のビジョンについて話を伺った。

本多電子株式会社/代表取締役社長 本多洋介氏
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超音波技術の研究開発に特化した体制を構築し、時代のニーズに対応し続ける。

―主な事業内容や会社の強みについてお聞かせください。

本多電子は1956年の創業以来、超音波技術を核として事業を展開してきました。創業以来手がけてきた魚群探知機は現在も主力製品の一つです。世界初となるトランジスタポータブル魚群探知機「HONDEX」ブランドは、創業から50年以上の豊富な経験と数十万台もの出荷実績があります。海外にも進出し北米のアイスフィッシング向け魚群探知機市場でも8割以上のシェアを誇っています。
さらに、魚群探知機だけではなく、超音波技術の応用研究を積極的に進めています。かつて日本が家電大国と呼ばれた時代には、家電製品の関連部品の洗浄に当社の超音波技術が活用されました。現在は自動車や半導体産業における生産ラインの洗浄や計測に本多電子の技術は活かされています。このように、超音波に特化した研究開発主導型企業として時代のニーズに応えながら、新たな市場開拓に取り組んでいます。

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本多電子では、「コア技術を自社で磨き、ものづくりは外部の協力企業の力を活用する」という方針で、製造の95%以上を外部に委託しています。これにより、さまざまな分野のニーズに応じてコアとなる超音波の基礎技術を自社で追究し、求められる超音波機器をタイムリーに開発・供給しています。この研究開発に特化した体制が当社の大きな強みと言えます。

―いま、力を入れられている分野や研究について教えてください。

超音波は水中や液体の中を伝わりやすく、人の体も約60%が水分でできているため、人体との相性がいい技術です。放射線を使わず、身体への負担が少ない検査が可能で、体内の状態をリアルタイムで確認できることも大きな特徴です。こうした特性を活かし、医療分野においても応用研究を進めています。例えば、採血時に超音波で血管を確認しながら注射針を誘導することで、安全な処置をサポートできます。また、がん手術後の組織検査では、従来の光学顕微鏡に代わり、当社の超音波顕微鏡なら数分でがん組織を観察できます。

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また、世界的に食料問題が深刻化する中、畜産の生産性向上に超音波技術が活用されています。近年、超音波装置を使って生体から未成熟卵子を採取する「OPU(Ovum Pick-Up)」の技術開発や普及が進んでおり、当社でも独自の超音波技術を応用した動物用超音波画像診断装置やプローブなどを開発・製造しています。

超音波のキーテクノロジーである圧電素材についても、研究開発から生産までを手がけています。従来の圧電セラミックスには酸化鉛が使われていますが、環境や人体への影響から世界的に鉛の使用を減らす動きが進んでいます。本多電子では早くから「無鉛圧電セラミックス」の研究開発に取り組み、環境負荷の低減をめざしています。

KRPを拠点に産学連携や情報発信を積極的に行い、超音波技術の可能性を広げる。

―KRPに入居されたきっかけやメリットについてお聞かせください。

当社は技術開発拠点を日本全国に広げていきたいと考え、信州大学にも研究室を設けてロボット化を見据えた超音波技術の研究を行うほか、静岡大学と農業分野への応用について共同研究を進めています。その一環として、2025年4月にKRP に京都研究室を設置しました。
京都にはユニークな技術や強みを持つ企業が多くあり、京都大学や同志社大学など超音波の先端技術を研究する大学や研究室が多くあります。産学連携や異業種との共同研究を積極的に進めて技術を掛け合わせることで、新たな製品や市場を生み出したいと考えています。

KRPは都心にありながら研究開発に必要な設備や環境が整っており、研究者同士が交流できる場があることも大きなメリットです。2026年1月にKRPの4号館で「バイオ超音波顕微鏡研究会」を開催しましたが、全国から約40名研究者が集い、GOCONCで懇親会も開催しました。

本多電子は超音波技術の情報発信にも力を入れており、本社1階に「超音波科学館」を開設しています。館長は当社社員が交代で務め、超音波技術の歴史や特徴、さまざまな分野への応用例などを紹介しています。入館は無料で、研究者や企業の方はもちろん一般の方や小中学生など、幅広い方々に訪れて超音波技術について体感していただいています。

このような情報発信を京都でも積極的に行っていきたいと考えています。7月に、KRPが主催する「テック・ミートアップ」に参加し、当社の技術や製品を紹介しましたが皆様との交流を通じて、異業種の方々にも超音波技術に高い関心を持っていただけることを実感し、新たな可能性やニーズを知る貴重な機会となりました。引き続きKRPのイベントにも積極的に参加し、超音波技術の可能性を発信していきたいです。

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「テック・ミートアップ」の様子

京都ならではの魅力と先端技術を掛け合わせ、新たな価値を創造したい。

―今後の目標についてお聞かせください。

本多電子では、豊橋技術科学大学との産学連携により、細胞の内部構造を生きたまま3次元で観察できる「細胞三次元観察用超音波顕微鏡」の研究開発を進めてきました。その成果が評価され、「第10回ものづくり日本大賞」で経済産業大臣賞を受賞しています。

現在、この研究の中心を担ってきた先生にも加わっていただき、バイオ超音波顕微鏡の実用化に向けて研究を進めています。将来的には、iPS細胞をはじめとする再生医療など、細胞を培養・生産する分野においても、細胞の状態や品質を確認する技術として活用できるのではないでしょうか。

京都は伝統や文化、芸術など、他の地域にはない個性や資産を持つ街です。そのような京都の魅力と超音波技術を掛け合わせることで、新しい価値を生み出せるのでなないかと考えます。私自身、音楽と読経などを融合させて禅の精神や祈りを体感する「音禅」という活動にも関わり、技術と芸術をつなぐ取り組みも行っています。この京都研究室は、単なる研究・交流の場にとどまらず、まだ見ぬ新しい価値や先端技術を創造できる場となることを期待しています。

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本多洋介氏
1956 年愛知県豊橋市生まれ。京都産業大学理学部卒業後、 1980 年に本多電子入社。米国留学ののち経営企画室の取締役を経て1987 年に30歳で代表取締役社長就任。超音波技術を核に産業機器などの新 分野開拓に注力し、無借金経営を実現。好きな言葉は「人生は全人格の放射の結果である」。

企業情報
企業名:本多電子株式会社
代表者:本多 洋介
所在地:KISTIC1階 101号室
TEL:0532-41-2511
FAX:0532-41-2093
URL:https://www.honda-el.co.jp
E-Mail:info@honda-el.co.jp

事業内容
超音波応用機器および圧電セラミックスの開発・製造販売

超音波で未来を創る

超音波技術に特化した研究開発型企業です。
魚群探知機、洗浄機、計測器、加工機、探傷機など、企業向けから一般ユーザー向けまで幅広い製品を提供しています。
当社の強みは超音波を発生させるデバイスである圧電セラミックスを、素材開発から製造まで一貫して手がけている点にあります。
また、大学や研究機関と共同し、バイオ超音波顕微鏡など新たな応用分野の開拓にも取り組んでいます。