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特集

2025/03/17

【Patentix株式会社】世界初の次世代パワー半導体でGX社会に貢献

家電、パソコン、電気自動車、変電所など、社会の至るところで電力変換や電源供給を制御する「パワー半導体」は、省エネルギーを目指した開発競争が世界的に繰り広げられ、市場も拡大を続けている。そんな中、「二酸化ゲルマニウム」(GeO2)を用いた世界初の技術で研究開発を進めるPatentix株式会社。代表取締役社長の衣斐 豊祐氏にその革新的な技術とめざす未来についてお話を伺った。

Patentix株式会社/代表取締役社長 衣斐 豊祐(いび とよすけ)氏

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世界初のGeO2パワー半導体の社会実装を使命と考える。

電力の制御や変換を担う「パワー半導体」は、エアコンや冷蔵庫などの家電製品、コンピュータなどの電源部品、電気自動車や新幹線など、暮らしの身近なシーンで活躍しています。私たちが電力を使用するまでには、風力や太陽光発電所での「発電」、家庭や工場への「輸送」、製品等の使用による「消費」の工程で電力変換が行われています。その際、いくつものパワーデバイスが使われ、510%の電力損失が発生しており、膨大なエネルギーロスになっています。

近年、半導体の素材として、シリコンより省エネ効果が高いと言われるSiC(シリコンカーバイド)が使われています。弊社では、パワー半導体の材料から見直して、「二酸化ゲルマニウム」(GeO2)という新素材に着目しました。半導体はシリコンなどの素材で結晶膜を基板の表面につくる必要がありますが、2023年、弊社では二酸化ゲルマニウムを用いたSiC上への製膜に世界で初めて成功しました。

このGeO2パワー半導体を、家電や産業用電源などあらゆる製品に搭載すれば、エネルギー問題を一挙に解決できます。弊社は、世界で勝負でき社会的なインパクトも大きいGeO2パワー半導体の社会実装を推進し、GX(グリーントランスフォーメーション)社会の実現に貢献することをミッションと考えています。

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立命館大学発ベンチャーとして、KRPを拠点に企業連携を強化。

私は大学卒業後、特許の世界に興味を抱き、特許事務所に就職しました。そして、28歳の時に大手物流企業に転職してビジネスモデル特許で実績をあげていきました。その後は京都大学発半導体ベンチャーで、知財部を創設し、国内外特許を約100件以上取得し、強力かつ広大な特許網を構築して、大手企業からの出資や業務提携等にも尽力しました。この実績を評価いただき、立命館大学発ベンチャーの代表取締役社長として、GeO2パワー半導体の社会実装を目的に、Patentix株式会社を立命館大学金子健太郎教授とともに2022年に設立し、2024年にKRPで研究所を新設する運びとなりました。

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研究開発には社会実装するまでのスピード感が求められるため、オープンイノベーション戦略を重視しています。皆で知恵を出し合い、技術的な課題を国内外の企業で解決していく場として、京都の地は最適な環境であると感じています。京都は元々、ベンチャー企業を多く輩出してきた土地ですし、半導体の大手メーカーやベンチャー企業が多く、企業連携がしやすい場所でもあります。

KRPに入居していると、さまざまなイベントやワークショップなどに参加する機会があります。202411月に開催された「ヘルシンキ・スタートアップエコシステム交流プログラム」に弊社の社員も参加しました。北欧最大級のスタートアップイベント「SLUSH」に参加し、ヨーロッパ市場進出の情報なども提供して頂き、大変貴重な経験となりました。

どんなに優れた技術でも産業化するためには多くの壁があり、他企業と連携して解決する必要があります。そのためには企業が対話してお互いに歩み寄り、技術面だけではなく資金調達など意見交換を行い、良好な関係を築くことが大切と痛感しています。だからこそ、交流イベントなど多くの機会をいただくことは、とても有意義であると思っています。

未来を見据えて、ベンチャースピリットで新たな産業を生み出す。

いま、滋賀県を中心に「琵琶湖半導体構想」も進めています。目先だけではなく未来を見据えて、GeO2パワー半導体の単なる研究開発にとどまらず、原料調達、製造、販売までを一気通貫で行うサプライチェーンの構築を進めています。多くの企業や自治体に参画の表明をいただいており、近いうちにコンソーシアムの開催も検討しています。

具体的には、原材料メーカ様、半導体の分析評価を行う分析会社様、半導体製造装置の開発・改良を共同で行う装置メーカー様、試作品などを作製するデバイスメーカー様や国立の研究所様、最終製品を見据えて大手自動車部品メーカー様なども参画表明されています。さらに滋賀県、京都府、草津市、その他金融機関様なども資金面や環境面等の支援機関として参画いただきます。

また、最近では、京都を拠点とするロボット事業会社様と連携し、配膳ロボットへのGeO2パワー半導体搭載を目標に共同開発がスタートしました。これにより社会実装が身近になり、GeO2パワー半導体の広告塔としても期待しています。最終目標である「製品開発」をこれほど早期に進められるとは想定しておらず、大変幸運な機会を獲得できました。

1980年代、日本の半導体産業は世界のトップシェアを誇っていましたが、家電用に特化しパソコン用の半導体製造に乗り遅れ、日米半導体協定の影響を受けるなどして、現在は下降傾向にあります。わが国は基礎技術が強くても産業化などの応用が弱いと言われ、リスクを恐れてベンチャー企業が育ちにくいという風土があります。

いま、日本を代表する多くの大企業もかつてはベンチャー企業でした。ハイリスク&ハイリターンのベンチャー企業は当然、新技術の産業化が事業目的となります。これまで私自身、携わる仕事は必ず社会実装をさせるという意気込みで働いてきました。だからこそ、何としても、GeO2半導体の社会実装という目標を達成したいです。京都のこの地から、ベンチャー企業が主導して多くの企業が連携し、新たな技術や産業を生み出していければと願います。

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衣斐 豊祐(いび とよすけ)氏

1977年京都府生まれ。2000年京都工芸繊維大学卒業。特許事務所、大手物流企業、京都大学発ベンチャーや東京大学発ベンチャーなどを経て、202212月に立命館大学発ベンチャーPatentix株式会社を立命館大学の金子健太郎教授とともに設立し、Patentix社長に就任。同大学客員教授も務める。

企業情報

会社名:Patentix 株式会社
代表者:代表取締役社長 衣斐 豊祐
所在地:1号館B1
TEL
077‐599‐1558
URL
https://www.patentix.co.jp/

事業内容
新規機能性材料、パワー半導体「GeO2半導体」の研究開発・製造販売・社会実装