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特集

2019/02/19

【テリックスファーマジャパン】目指しているのは「診断」と「治療」のベストマッチ

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テリックスファーマジャパン株式会社 最高経営責任者 西村 伸太郎氏

 オーストラリア・メルボルンに本社を置くバイオテックカンパニーの日本法人として、2018年1月に設立しました。「診断」と「治療」のベストマッチを目指して放射性医薬品の研究開発を行なっています。がんを標的にした薬剤にさまざまな種類のラジオアイソトープを付けることで、画像診断薬や治療薬になるというものです。抗体などの分子標的薬でがんを画像診断し、ラジオアイソトープを付け替えたものを投与して、治療する。治療の効果も同じ画像診断薬で診ることができます。

 このようながんの診断と治療を行えば、早期かつ的確な診断ができ、的確な治療効果が期待できます。また、その薬が効くか効かないかをあらかじめ知ることができるので、高い薬剤をムダに投与することを防ぐことができる。つまり、患者さんにとってもメリットがあるし、保健医療行政の立場からも好ましい。がんの診断と治療における次世代のビジネスモデル、それが"セラノスティクス"なのです。

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左:がん細胞に作用する診断薬と治療薬 右:がん画像診断


薬学だけではなく工学的知識も幅広い学びの経験が生きる

 私の博士号は工学です。在籍当時の慶應義塾大学には薬学部がなく、工学部で、新規抗生物質の合成研究をしていました。私がこの領域でなんとかやってこられたのは、工学的な知識があったから。自分でハンダ付けをしたり旋盤をまわしたりして、創薬研究用や画像診断薬合成のロボットや機械を開発しました。プログラミングや電気回路の設計もしました。ミシガン大学に博士留学したときは、アルツハイマーの臨床患者の画像研究もしましたね。

 PETイメージングというのは、サイエンスのショーケースのようなものです。薬理や薬学領域の研究者の多くはバックグラウンドがひとつで、守備範囲が限定されてしまう。でも私は、そういうのが好きではないのです。機械いじりが苦手ではないし、生き物も苦手ではない。そういった素地は、「子供の科学」という雑誌を夢中になって読んでいた子どもの頃、すでに培われていたのではないかと思います。

 京都とその周辺にはバイオテック領域においてポテンシャルの高いアカデミアが集積しており、連携しやすいという魅力があります。海外のメンバーたちにも京都は非常にイメージが良いようで、喜んで出張にやってきます。個人的にも、昔から歴史や美術が大好きだったこともあり、仕事で行き詰まったときなどにはよく展覧会に行ったり、お寺を訪ねたりしています。よい息抜きになるのです。KRP地区というのも、多くのバイオ系企業が入居されているなど京都の知的クラスターとして、また研究会などを行うロケーションとしても、非常に魅力的だと思います。

患者さんのベネフィットのためにテーラーメイド医療の実現を

 日本は唯一の原爆被爆国で、放射線に対してネガティブな印象がある。でも医療現場において、それはなくてはならないものです。日本のレギュレーションは厳格ですが、世界に遅れをとることなく、日本の患者さんにいち早く届けたいと思っています。目指すのは、この国の患者さんにとってのベネフィット追求。正確な画像診断を行うことで、治療効果が見込める患者さんのみに治療薬を提供するという、理想的なテーラーメイド医療に向けた形を示すことこそが、日本法人を設立した意義なのだと信じています。

西村 伸太郎氏

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 長野県出身。慶應義塾大学大学院卒業。工学博士。ミシガン大学医学部博士研究員。産学協同プロジェクトを皮切りにアステラス製薬のイメージング研究施設などで研究開発に従事。数々の大学で特任・客員教授、文部科学省・経済産業省で評価委員を歴任。新しいことに挑戦して結果を得る。それが科学の醍醐味という。

企業情報

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テリックスファーマジャパン株式会社
最高経営責任者 西村 伸太郎
KRP4号館 KRPBIZNEXT

T E L / F A X:075-315-8602
U R L:http://www.telixpharma.com
MAIL:shintaro.nishimura@telixpharma.com
業種:医療/健康/化学/バイオ