日本最大級かつ成長するオープンイノベーション拠点!湘南アイパーク
2018年4月、武田薬品工業が自社の湘南研究所を生まれ変わらせ、わずか3年余りで創薬・バイオ関連で日本最大級のオープンイノベーション拠点へと成長した「湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク)」(神奈川県藤沢市)。充実した設備やフレキシブルな空間はもちろん、多様なプレイヤーたちが出会い、共創していくための豊富な取り組みが魅力の拠点です。
武田薬品工業株式会社が湘南研究所を開放することにより設立されたサイエンスパーク。広大な敷地に地上10階建の5つの研究棟とセンターステーション棟が並ぶ
目 次
- 東京ドーム5個分の巨大サイエンスパーク
- 充実したハードとソフトで、入居1日目から研究が加速
- 年間900を超えるコラボレーションが実現
- さらに多様なプレイヤーが集まる場所
東京ドーム5個分の巨大サイエンスパーク
東京ドーム5個分、延床面積30万平方メートル超という広大な敷地に地上10階建の5つの研究棟とセンターステーション棟が並ぶ湘南アイパーク。各棟、各フロアは渡り廊下で結ばれ、その長さは430m、新幹線の一編成が丸々収まってしまうほど。施設内では前臨床研究のプロセスを一貫して行うことが可能です。オープンからわずか3年余りで120強(2021年12月現在、入居:90社、メンバーシップ:36社)の企業・団体、約2200人が集積するまでに成長を遂げました。
武田薬品工業の研究施設をルーツに持つ同施設ですが、現在入居する企業・団体の顔ぶれは多岐に渡ります。大手製薬企業、ベンチャー、アカデミア、行政、ベンチャーキャピタル、さらにはメンバーシップ会員としてAI関連企業、保険会社、証券会社など、オープンイノベーションを求める企業・団体がこぞって集結してきています。湘南アイパークでコマーシャル&ビジネスディベロップメントヘッド兼コミュニケーションヘッドを務める中川弘規さんは、「世界に目を向けても、これだけ多様なプレーヤーが集まる場所は珍しいはずです」と話します。
「国内外の様々な方と面談する中でよくコメントをいただきますが、これほど多様な規模と業界が集まる場所は他にはなかなか見当たらないようです。さまざまなプレイヤーがひとつの場所で知見を持ち寄りながら社会実装を目指していく。私たちはこれをミックスドモデルと呼んでいます」(同・中川さん)
研究棟に足を踏み入れると、テナント&メンバーシップボードがお出迎え。大手製薬企業やベンチャー、アカデミアなど、90社のテナントと36社のメンバーシップが3年半で集まった
充実したハードとソフトで、入居1日目から研究が加速
湘南アイパークでは、ハードとソフトの両面から研究を加速させる環境が整備されています。共有で機器を備えている実験室もあり、そこではドラフト、安全キャビネット、遠心機といった汎用実験機器はもちろん、リアルタイムPCR、フローサイトメーター、共焦点レーザー顕微鏡、ハイコンテンツスクリーニング機器などの高額実験機器も設置済み。これらは時間単位で使え、オンライン上から予約も行えます。
また、講堂や会議室、カフェテリアにバー、ジムといった共用施設も利用可能。初期投資をかけずに、入居1日目から研究者が研究に没頭できる環境があらかじめ用意されていることは、多くのベンチャー企業にとって魅力です。
「企業・団体の規模にかかわらず、自社研究所を運営する場合に比べて、研究環境の運営や整備にかかる経費や労力を削減することができます。入居企業さまからは『研究者が研究に集中できる環境となってありがたい』というフィードバックをいただいています」(同・中川さん)
共有機器を備えた実験室の様子。入居企業は研究環境の運営や整備にかかる経費や労力を削減することができるという
年間900を超えるコラボレーションが実現
充実した設備を誇る湘南アイパーク。しかし、本当の魅力はそこではない、と同・中川さんは語ります。
「湘南アイパークは、『レンタルラボ』というよりも、co-locationによりオープンイノベーションを進めるための『拠点』。設備のみならず、入居者やメンバーシップ会員によるコミュニティとそれを能動的につなぐ仕組み、そして業界全体に変革を起こすことを目指して湘南アイパーク自身がオーナーシップを取る各種取り組みを行っていることが特徴です」(同・中川さん)
入居者同士の活発なコミュニケーションを育むため、湘南アイパークでは「ノマド」「ビーチ」「キャンプ」「和」などと名付けられたコミュニケーションスペースを各所に設置。コロナ禍の現在はオンラインも積極的に活用しながら、交流イベントや懇親会が毎週のように企画されています。
「2020年の一年間で、900を超えるコラボレーション事例が生まれました。また、あるベンチャー企業さまからは『入居まで15年間、仕事相手はいてもサイエンティフィックなディスカッションをする相手がいなかった。湘南アイパーク入居により、そうした相手ができたことが、何よりも嬉しい』との声もいただいています」(同・中川さん)
さらに、研究者個人だけでなく、大手企業同士のコラボレーションが生まれているのも特筆すべき点。武田薬品工業と田辺三菱製薬が社内データの共有という業界で前例のない取り組みをはじめたほか、日本マイクロソフト、日本IBM、AI Dynamicsという三社が共同で入居者・メンバーシップ会員向けにAI/DXに関する相談窓口を運営。一見すると競合と思われるような企業同士が「ひとつ屋根の下にいる」という信頼感から、これまでのしがらみを抜けて連携する動きが活発化しています。
900件を超えた年間のコラボレーション数。湘南アイパークの魅力を如実に表している
さらに多様なプレイヤーが集まる場所へ
「どんなふうにネットワークを広げればいいのかわからない」
そんな入居間もない研究者のためのサポートも手厚く行われています。プレゼン形式やトークセッション形式など、さまざまなスタイルで自社を紹介できるチャンスを設けるほか、同時期に入居した企業・団体で合同オリエンテーションも実施。昼、夜の2部制で、夜にはアルコール片手に参加できるなど、新旧入居者同士でスムーズに打ち解けあえる環境づくりにも積極的に取り組んでいます。
感染症対策を行いつつ、入居者同士の交流も継続。オンラインでの交流も盛んだという
「湘南アイパークは、研究者を中心としたパイオニアのコミュニティであり、イノベーションの最初の源が生まれる場です。私たちスタッフも実験スペースのアップデートを常に行うと同時に、オープンイノベーションが生まれる環境づくりに一層力を入れていきたいと思っています。また、製薬、創薬領域に限らず、幅広い業種や規模の産官学が結集し、社会実装まで一気通関できる場所をつくることを目指しています。誰かと一緒にヘルスイノベーションを起こしたい、外部のパートナーとアイデアを実現したい、これからヘルスケア・ライフサイエンスの分野に参入したい。そんな方は、ぜひ湘南アイパークへお越しください」(同・中川さん)
湘南アイパークでコマーシャル&ビジネスディベロップメントヘッド兼コミュニケーションヘッドを務める中川弘規さん。「ヘルスケア・ライフサイエンスに関わる多様な企業・団体に入居いただき、コラボレーション事例をさらに増やしていきたいですね」