2021/04/23

国内最大級の医療産業都市に誕生!クリエイティブラボ神戸

研究機関、大学、高度専門病院、医療関連企業など、約370の企業・団体が集積し、国内最大級のバイオメディカルクラスターとして成長したポートアイランドエリアに新たに誕生したレンタルラボが「クリエイティブラボ神戸」。目玉は2Fフロアに併設したシェアタイプのラボ・オフィス「スタートアップ・クリエイティブラボ」。すでに注目の企業などが入居をはじめています。

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目 次

●国内最大級のバイオメディカルクラスターに誕生

●スタートアップに特化したシェアラボを併設!

●ラボマネージャーが研究者視点でサポート

●スタートアップのためのエコシステムを神戸から

 

国内最大級のバイオメディカルクラスターに誕生

阪神・淡路大震災から3年後、1998年から人工島「ポートアイランド」で先端医療技術の研究開発拠点を整備し、医療関連産業の集積を図ってきた神戸市。これまでに約370もの研究機関、高度専門病院、医療関連企業や大学が進出するなど、国内最大級のバイオメディカルクラスターとして成長してきました。しかし、近年はその注目度と呼応するようにレンタルラボの入居率が高水準に。新たに拠点を構えたくても空室待ちになるケースも出ていました。

そんな課題の解決策としても期待されているのが、2020年10月にオープンした「クリエイティブラボ神戸(CLIK)」です。ここを運営する神戸都市振興サービス株式会社の松井真治技術部長(取材当時)は、ひとつめのアピールポイントに「立地の良さ」をあげました。

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神戸都市振興サービス株式会社の松井真治技術部長(取材当時)

「技術、情報、ひとが集まる神戸医療産業都市にあり、神戸空港まではわずかひと駅。神戸都心にも近く、国内外からの研究の出島として利用いただけます。2021年4月時点ですでに7割程度の入居率になっています」

さらに、会議室やミーティングスペース、イベントスペース、キッチン、シャワーなど、共用設備が充実しているほか、今後はマウスとラットを飼育する動物施設も新設予定とあって、まさに研究者にとっては理想的な施設です。

 

スタートアップに特化したシェアラボを併設!

CLIKが注目される理由は、立地の良さだけではありません。施設内2Fフロアに併設された「スタートアップ・クリエイティブラボ(SCL)」は、20社以上のバイオベンチャーにヒアリングを行いながら設計を進められたシェアタイプのラボ&オフィスです。

リアルタイムPCRやオールインワン蛍光顕微鏡、安全キャビネットをはじめとする豊富な実験機器を利用しながら、P2レベルの実験を24時間365日行うことが可能。契約は1ベンチ・1デスクからで、神戸市の賃料補助制度を利用すると、国内最安値クラスのコストで、充実した研究環境を手に入れることができます。

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SCL内で利用できる共有機器の一例

ラボマネージャーが研究者視点でサポート

そんなSCLの運営を担うのが、研究者集団である株式会社リバネス。同社は「科学技術の発展と地域貢献を実現する」という理念のもと、これまでに、ライフサイエンス領域における研究成果の社会実装を支援するプログラムの開催など、サイエンス分野の事業支援に数多くの実績を残してきました。

SCLではそうしたリバネスの特徴をいかんなく発揮。フロア内には研究畑を歩んできたラボマネージャーやラボアシスタントが常駐し、入居者のサポートにあたります。「私自身が博士号を持ち、これまで分子生物学、神経科学を中心に細胞培養からモデル動物を使ったものまで、さまざまな研究をしてきました」そう語るのは、SCLでラボマネージャーを務める濱口真慈さんです。

hamaguchiトリミング.jpg株式会社リバネスの濱口真慈ラボマネージャー

「私も含め、研究経験を持つスタッフが常駐しているのは大きな強み。入居する研究者の方とのコミュニケーションがスムーズですし、リクエストいただいたこともすべてにお応えできるわけではありませんが、しっかりと検討ができます。また、常駐メンバー以外にもリバネス社内にはバイオから化学、工学まで、いろいろな分野のプロフェッショナルがいて、それぞれに豊富なコネクションを持っています。共同研究のきっかけづくりなど、どんなことでもご相談いただければ嬉しいですね」

 

スタートアップのためのエコシステムを神戸から

リバネスでは2018年から神戸市や神戸医療産業都市推進機構とともに、ライフサイエンス領域のベンチャーが継続的に成長できるエコシステムづくりの一環として、「メドテックグランプリKOBE」に取り組んできました。

「日本の研究力は、世界と比べても決して負けない、と思っています」とは濱口さん。「それをどうやって社会実装し、大きなビジネスへと発展させていくか。それはこれからのリバネスと同時に、私自身の挑戦でもあります。ラボマネージャーとしてただ常駐するだけでなく、事業を成長させるために一緒に動きたい。この場所を、エコシステムの中心にしていくのが目標です」

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その言葉に松井技術部長も、力強く頷きます。

「ここからたくさんのベンチャーの成功例を出していけるように。SCLのベンチ一台からはじめた事業が、やがてCLIKで部屋を持つようになり、やがては神戸医療産業都市の中に自前のラボを建設するようになる......。そんなふうに成長を後押ししていけたら理想です」

国内屈指のバイオメディカルクラスターへと成長した神戸医療産業都市に加わるCLIKとSCL。これからどんな化学反応が起きるのか、ますます目が離せそうにありません。