2021/02/25

私大屈指の自然科学系シーズと連携し、新事業が活発に生まれるインキュベーション施設。立命館大学BKCインキュベータ

立命館大学BKCインキュベータは、 大学等の知的資産を活用しながら、産学官連携の強化、地域産業の技術の高度化、新事業の創出・育成を目的とする、学内に設置された起業家のための施設です。また、大学・自治体・中小企業基盤整備機構のネットワークを生かした総合的な支援を受けることができます。

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目 次

●大学キャンパス内の充実した施設

●理工・ライフサイエンス・情報系の研究者が集まる環境

●立命館大学との連携による独自の支援サポート

●世界でもNO1クラスのAIベンチャーなど、とがった入居者さま

 

大学キャンパス内の充実した施設

立命館大学BKC(びわこ・くさつキャンパスの略称)インキュベータは、滋賀県および草津市からの要請を受け、立命館大学の協力のもと、中小企業基盤整備機構が立命館大学びわこ・くさつキャンパス内に設置した公的なインキュベーション施設で、平成16年に開館しました。電源200Vまで確保された小規模試作開発可能オフィスタイプ(29~65㎡)、耐荷重2,000kg/㎡の試作開発室タイプ(100㎡)、給排水が整備された実験・研究室タイプ(45~65㎡)の全30室があります。その他、来客用の応接室・打合せ用の会議室やシャワー室も用意されています。公的な施設ということもあり、初期コストを抑えながらスタートアップや事業拡大が行えます。

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給排水が整備された実験・研究室タイプ(65㎡)

立命館大学のキャンパス内にありますが、学外の方も利用することが可能です。また立命館大学の産学連携コーディネーターの支援を受けて、大学の知的資産を活用した共同研究なども行えます。共同研究では大学の測定・試験機器・実験排水設備等を利用することも可能です。キャンパス内にある食堂や図書館の豊富な技術文献を活用できることも魅力的。ここ、立命館大学BKCインキュベータは、滋賀県が整備を進める「びわこ文化公園都市」の豊かな自然環境の中にあり、大学の知的資産を存分に活用した新たな分野にチャレンジする企業や起業家の支援と育成が行なわれています。

理工・情報理工・経済・ライフサイエンス系の研究者が集まる環境

「BKCインキュベータは、キャンパス内にあることが最大の魅力です。このキャンパスには理工学・情報工学・生命科学・薬学などの自然科学分野、経済学・食科学などの人文社会学分野をはじめとする教員・研究者が約700人、学生が約15,000人在籍しています。その厚い知的資産を活かし、これらの領域で産学連携をするのに非常によい環境です。立命館大学は民間企業との共同研究連携が活発であり、受託研究数は全国3位(2019年度)です。」そう語るのは、中小企業基盤整備機構 近畿本部の奥村義知チーフインキュベーションマネージャー(以下奥村チーフIM)です。

okumuraトリミングmid.jpg奥村義知チーフインキュベーションマネージャー

また、立命館大学では起業を志す学生の活動が活発で学生ベンチャーコンテストやBKCインキュベータでの学生インターンシップなどにより、意欲のある学生への支援を行っています。

立命館大学との連携による独自の支援サポート

立命館大学BKCインキュベータでは、常駐している奥村チーフIMや、この日、一緒にお話をうかがった立命館大学リサーチオフィスの灘テクノプロデューサー、草津市から派遣されている草津イノベーションコーディネーターなど6名のスタッフが在籍しており、滋賀県・草津市・大津市等の行政機関や金融機関とともに、施設入居企業への支援活動や、独自イベントの開催などを行っています。

okumura&nadaトリミングmid.jpg奥村チーフIMと灘テクノプロデューサー

インキュベーション・マネージャーは、事業の将来性を検討しながら経営支援を行うほか、行政や民間の支援制度への応募についてもサポートをします。大学・自治体・中小機構のネットワークを活かした幅広い支援も魅力的なサポートです。「BKCインキュベータがハブとなり、儲かるビジネスになるよう支援をしたい」と奥村チーフIMは意気込みます。

世界でもNO1クラスのAIベンチャーなど、とがった入居者さま

このような立命館大学BKCインキュベータの入居者さまについて、奥村チーフIMと灘テクノプロデューサーに話をうかがいました。

「ヒトの動きの画像処理などをするAIベンチャーですが、世界でもNO1クラス。社長の論文実績もすごいですよ」まずご紹介いただいたのは、2016年に設立された画像認識・機械学習のAIコア技術を開発する株式会社tiwaki。

"誰でも簡単に自分のためになるAIを作ること"を目標に掲げ、まだ誰もAIを活用したことのない分野で共有するAIエコシステムの形成を目指しているとのこと。平均10年以上の機械学習や画像認識の研究開発経験を持つメンバーが在籍。そのメンバーに引き寄せられ、若手成長の土壌も築かれているAIベンチャー企業です。このようなAI企業にとっては、多くの人材が集い、そろっている首都圏も魅力的ですが、琵琶湖のような日本国内において大きなシンボルがあり、京都や大阪へのアクセスもよく、自然豊かな環境があることは目標を達成する上で最適とのこと。

次にご紹介いただいたのは「立命館大学 知的ビークルシステム研究室」の深尾客員教授がスマート農業の社会実装のために本施設を活用されています。

中小企業を含めたコンソーシアムにより、果樹生産の大幅な省力化に向けた作業用機械の自動化・ロボット化と機械化樹形の開発や露地野菜の集荷までのロボット化・自動化による省力体系の構築など、スマート農業の社会実装をBKCインキュベータ内で行われています。

「今入居されている企業様、卒業企業様を含め、ここでスタートアップして事業成長して巣立っていく流れにしたい。成長してもらうことにフォーカスを当て、支援をしていきたい」との奥村チーフIMの言葉に、ひしひしと熱い思いが伝わる取材でした。大学との距離が近く、ビジネスに欠かせない迅速さ、丁寧さを兼ね備えたインキュベータ施設、産学連携におススメです。