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2023/11/13

【IT企業×製造業】株式会社シーズ様×亀岡電子株式会社様 KRP地区内で出会い、共同開発へ 地域の浸水を通知する「KAMEKER3」の実現まで

<お話を聞いた人>
株式会社シーズ/CTO・クラウドソリューション事業部 部長 原口 秀人氏
株式会社シーズ/経営企画部 室長 庄瀬 友香氏
亀岡電子株式会社/商品開発部 商品開発チームリーダー 主査 石野 大輔氏

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KRP地区内の交流イベントで出会ったことが、企業間パートナーシップの構築につながる。

ーー会社の主な事業内容について教えてください。

原口氏:株式会社シーズは、2004年にKRP地区内のスタジオ棟にて創業しました。現在は6号館に入居し、2024年には創業20年をむかえます。「インターネットの活用提案を通じ、人と社会の進歩発展に貢献する」をミッションに掲げる、インターネットトータルサービス企業です。Webシステム開発、Webサイト構築、サーバー保守・運用、ホスティング、ハウジングまで幅広く対応しています。近年は、Webシステム開発とクラウドサーバー構築を事業の柱とし、AWSアドバンストコンサルティングパートナーとしてAWSに特化したクラウドの運用代行サービスを行っています。

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石野氏:亀岡電子株式会社は、2020年に設立40周年を迎え、京都府亀岡市に本社を構えるセンサーメーカーです。主に工場内で使用される設備用のFAセンサーを製造し、近接センサー・マイコン搭載の電気特性検査器と制御器の開発、設計、製造、販売を手がけています。大手企業と直接取引をしていますが、近年は「KAMEKER SENSING」というブランドを立ち上げて、安心安全な社会づくりに貢献できる自社商品の開発も行っています。現在は、KRP4号館内にあるサービスオフィスKRP BIZ NEXTに拠点を置いています。

ーーKRPにはどのような経緯で入居されたのでしょうか。

原口氏: KRPに入居を決めた理由は、関西でも有数のデータセンターの存在があったからです。川から遠い場所にあるので水害の心配も少なく、床免震構造を採用されていているので地震の際にも安心です。シーズでは当初、データセンター内でお客様のサーバーをお預かりしてサービスを提供する事業を行っていたので、データセンターとオフィスが近いというのは大きな魅力で、トラブルがあった際にすぐに対応できます。また、KRPではさまざまなイベントがあり、他社と交流ができるのも魅力の一つでした。

石野氏:当社の本社は亀岡市にあり、周辺には保津川や嵐山など観光名所も多い自然豊かな地域ではありますが、都心から離れているので新しい情報や人との交流が乏しくなりがちです。そこで、他社との交流を活性化させるため、京都でも有数のビジネス拠点であるKRPにサテライトオフィスを構えました。

ーー両社の出会いと、お互いの印象についてお聞かせください。

石野氏:シーズ様との出会いは、前述の「他社との交流」の目的もあり、当社の営業担当者がKRP主催の交流イベント「つながらナイト」に参加したことがきっかけとなりました。つながらナイトの企画運営者であるKRP田島さんが「何か起きそう!」と、シーズの原口さんを紹介してくれたと聞いています。原口さんの親しみやすく相談しやすい雰囲気が印象的だったようです。

その頃、当社では「KAMEKER SENSING」ブランドの一つとして、水を検知すると浸水情報をLINEで知らせるセルラー通信式浸水検知センサー「KAMEKER3」の開発を進めていました。しかし、LINEの通信手段をどうするかが課題となり、インターネット分野の協力会社を探していたところでした。「KAMEKER SENSING」は安心安全な社会づくりに貢献したいという想いのもと、「水を知る 水を知らせる」を理念に掲げています。シーズ様にご相談した際、この想いにも共感してくださいました。

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原口氏:イベント時では、そこまで具体的な相談はなかったのですが、後日、オフィスも近いことから亀岡電子様よりご連絡をいただき、打ち合せをしましたが、すごく情熱のある企業という印象でした。「センサーで検知した浸水情報を、インターネットを活用して広く一般の人が使えるサービスとして提供したい」と、明確なビジョンと熱い想いを語られたのが印象的でした。

私自身としても、当時から日本で大雨の被害は増えていたものの、どのタイミングで避難をすべきか分からないと感じていました。狭い地域でピンポイントに浸水を通知する「KAMEKER3」は、この課題解決につながるとリアルにイメージでき、その価値に共感することができました。加えて、かねてからIoTにチャレンジしたいと考えていたため、亀岡電子様からのご相談は、とてもわくわくしました。

庄瀬氏:KRPのイベントを通じて知り合えたことで、亀岡電子様は「クライアント」ではなく「パートナー」として一緒にお仕事をさせていただくことができました。それはやはり、KRP様が間に入ってくださったからこそ、良い関係を構築できたのだと感じています。

強い信頼関係が成し得た、先端技術による「KAMEKER3

ーー両社で共同開発をすすめる過程では、どんなエピソードがありますか?

石野氏:セルラー通信式浸水検知センサー「KAMEKER3」の開発にあたり、当社では、浸水情報をセンサーで検知する技術は開発できましたが、デバイスが検知した信号をインターネットを介した通信にしてLINEに送る技術とノウハウがありませんでした。シーズ様にご相談し、AWSのマネージドサービスを利用することでかなりの低コストを実現できたこと、サーバレスなど最新のアーキテクチャもご提案いただけたこと、そしてとにかくレスポンスが早く相談がしやすかったことも大きいです。

原口氏:AWSのサービス数は200以上もあるので、お客様の課題解決のためにどのサービスを組み合わせるか、コンサルティング力が求められます。亀岡電子様の場合、「浸水を検知し、一般の方にアラートでお知らする」という明確なオーダーがありました。そこで、雨が降っていない時はセンサーを検知する必要がないためサーバーの運用コストを抑え、大雨が降った際には大量に検知された電気信号を処理できる方法として、当時、日本で導入が進んでいなかった「サーバレスアプリケーション」を提案しました。

庄瀬氏:データセンターにあったサーバーをそのままAWSで活用しても同じことを実現できますが、コストメリットもなく、パフォーマンスを引き出すこともできません。多数のAWSサービスを組み合わせて実現することに価値があり、そのベストプラクティスを提供するのが私たちの仕事です。

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原口氏:前述の方法は、導入事例が少ない技術です。その場合、採用するかどうかを躊躇されるクライアントもおられるのですが、亀岡電子様は私たちをITのプロとして信頼してくださり、私たちの提案をすぐに受け入れてくださったことも印象的でした。

ーー「KAMEKER3」は、どのような反響がありましたか?

石野氏:20213月より「KAMEKER3」を発売しましたが、現在では沖縄から関東地方まで多くの自治体で活用されています。自治体の担当の方も、初めてスマートフォンでアラートを実際に確認された際は、「凄いですね」と驚かれていました。内閣官房国土強靭化推進室が発行する「令和3年度 国土強靱化 民間の取組事例集」に掲載され、また、これは偶然なのですが、同じKRP地区内の公的産業支援機関(公財)京都産業21様主催の「京都中小企業優秀技術賞(1)を受賞しました。社外でも高い評価をいただきましたし、これを機に広く多くの方にご活用いただき、一人でも「KAMEKER3があって助かった」と言っていただけるよう、取り組みを続けていきたいと考えています。
※1 京都中小企業優秀技術賞とは、京都中小企業技術大賞の優秀技術賞。1993年に開始された技術顕彰。独創性のある優秀な新製品・新技術を開発された京都府内に本社を置く中小企業へ(公財)京都産業21の厳正な審査を経て贈られます。
詳細:https://www.ki21.jp/startup/techno_prize/list_of_award/

原口氏:私たちとしても、亀岡電子様で実装させていただいたアーキテクチャは、当時の日本においては最先端だったため、AWSクラウドの最新動向とその地域での活用事例をご紹介するAWSのオンラインセミナー「Cloud Express Roadshow 2020」において発表をさせて頂きました。セミナーには、亀岡電子様もご覧になっており、「こんなに凄い設計だったのですね」とおっしゃっていました。「私たちはITの事は分からない」と仰いながらも、弊社の技術や提案を信頼してくださったからこそ実現できたことを、嬉しく思いました。

石野氏:当社では、今までにないモノを創り出すという、イノベーションを重視する社風があり、今回の開発にもチャレンジできる環境が整ってはいましたが、シーズ様が当社のやりたいことを理解し共感してくださったことは大変心強く、信頼して「サーバレスアプリケーション」を採用しました。

庄瀬氏:当社はシステム開発やクラウド・サーバー構築のサービスを提供する企業なので、IoTのデバイスは扱っていません。今回、このようなセンサーを扱う亀岡電子様と共同でお仕事をさせていただいたことは、当社としても1つの実績となり、嬉しく思います。「京都中小企業優秀技術賞」を受賞されたニュースも、KRPの田島さんからお聞きし、社内で盛り上がっていました。AWSサービスを活用し、当社のミッションである、「インターネットの活用提案を通じ、人と社会の進歩発展に貢献する」にもつながったかな、と思っています。

今回実現した仕組みをさまざまなシーンで展開し、社会課題を解決していきたい。

ーー今後の目標についてお聞かせください。

原口氏:センサーで検知されたデータがクラウド上に大量に蓄積されれば、AIの活用がもっと広がるかもしれません。今回、「KAMEKER3」に導入した仕組みは、津波の検知や、幼稚園の送迎バスなど、さまざまなシーンで応用して展開できるのではないかと感じています。どんどん発想を広げてより良いサービスを実現し、社会に貢献できればと考えます。

石野氏:シーズ様には管理者が使用するWEBアプリも構築していただいたので、通信回数を変更するなど、自治体からのご要望をフィードバックして少しずつ改良を続けています。亀岡電子は、産官学が一丸となり、AI等を活用して防災・減災を目指す「AI防災協議会」にも参加しています。今後はご縁のあった大学などと研究開発を行い、最新のIoT技術も取り入れながら、製品を通じてより安心安全な社会づくりに貢献できるよう努力していきたいと思います。

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左から 亀岡電子株式会社 石野様、
    株式会社シーズ 原口様、庄瀬様
    京都リサーチパーク株式会社 事業推進部 田島(つながらナイト企画運営)

企業情報

株式会社シーズ

株式会社シーズは、2004KRP地区内のスタジオ棟にて創業。「インターネットの活用提案を通じ、人と社会の進歩発展に貢献する」をミッションに掲げる、インターネットトータルサービス企業。Webシステム開発、Webサイト構築、サーバー保守・運用、ホスティング、ハウジング等。現在は、Webシステム開発とクラウドサーバー構築を事業の柱とし、AWS認定パートナーとしてAWSに特化したクラウドの運用代行サービスを手掛ける。サーバーだけでなくシステム方面まで内製化した自社の環境と長年培ったノウハウを活かし、導入コンサルティングからフルマネージド運営までサポートする。20238月、日本初の AWS Graviton におけるサービスデリバリープログラム(SDP)認定を取得

亀岡電子株式会社

亀岡電子株式会社は、1981年京都府亀岡市に設立したセンサメーカー。
確かな技術と品質で、近接センサー・マイコン搭載の電気特性検査器と制御器の開発、設計、製造、販売を手がけており、現在はKAMEKER SENSINGというブランドを立ち上げて「水を知る 水を知らせる」「センサー技術で安心安全な社会づくりに貢献する」をモットーにセンサーとIoTデバイスを組み合わせた自社商品も展開。