2023/10/23(月)
≪京大発イノベーションを探る@健都≫遺伝子解析から挑む、在来家畜の生産効率化 ~開発途上国における安全かつ栄養ある食料の安定供給を目指して~ 終了
2023年10月5日(木)に「遺伝子解析から挑む、在来家畜の生産効率化 ~開発途上国における安全かつ栄養ある食料の安定供給を目指して~」が大阪健都会場とオンラインのハイブリッドにて開催されました。
今回のイベントでは、大型齧歯類であるグラスカッターの家畜化研究を通して、食料の安定供給・栄養改善に挑戦し続ける村山先生と小出先生にご登壇いただきました。
当日はまず村山先生より、なぜ先生がグラスカッターに興味を抱かれたのかという経緯や、ガーナの現状の課題、ガーナにて取り組まれている活動の内容や今後の展望についてお話しいただきました。
次に小出先生より、家畜化する上で従順性ということがポイントになること、そして能動的従順性と受動的従順性の定義のご説明の後、従順性に関しての研究内容、そしてガーナでのグラスカッターの家畜化に関しての研究開発内容を詳しくお話いただきました。
プログラム
16:00~ イベントスタート・登壇者ご紹介・アイスブレイク
16:10~ 村山先生プレゼンテーション
16:30~ 小出先生プレゼンテーション
16:50~ パネルディスカッション・質疑応答
17:30~ 現地のみ交流会(飲食の提供はなし)
質疑応答の一部をご紹介
Q:たんぱく質供給としてのグラスカッターは必要かもしれませんが、与える飼料などから食料自給の面で問題はないのでしょうか。
村山氏:
グラスカッターは主にイネ科の植物を食べますが、ヒトが食べる植物ではありません。また、野菜くずを与えるにしても、例えばトウモロコシの軸であったり、豆の殻であったり、ヒトが食用とする部分以外をグラスカッターは好んで食べるため、ヒトの食物とは競合せず、逆にヒトが食べられないものを消化して、肉に変えてくれるという意味で、うまくすみ分けることが出来ていると考えています。
Q:市販飼料だと、同じものでもロットによって組成が変わってしまうことがありますが、マウスの腸内細菌叢と社会性との関連ですが、解析に適した餌というのはあるのでしょうか?
小出氏:
実験室でマウスを扱っている限りでは、マウスのエサは品質や成分の管理を行えているため、ほとんどロットの違いというものの影響はありません。
そのため、腸内細菌叢を調べるということが問題なく出来るのですが、これをグラスカッターに応用していくとなると、食べているものも非常に雑多であり、評価をすることがなかなか難しくなってくることもあります。今後研究が進んで様々な動物で効果が共通してみられてくるということがわかってくれば、品質や成分が一定ではない状況下でも効果が得られることが示せていくのではないかと期待しています。
最後に
イベント冒頭のアイスブレイクでは、ガーナへのイメージとして「カカオの生産地」を選ばれる方が8割を超えた中ですが、実際にご講演をお伺いしている中で、そのイメージとは全く別の側面のガーナについて、しっかりと理解を深めることができたと思います。
イベント後半のトークセッション・質疑応答では、視聴者のみなさまからグラスカッターの家畜化に関して、飼料に関してやガーナ以外の国への輸出に関して等、具体的なご質問を数多くいただきました。
ご視聴いただきましたみなさま、ご質問いただきましたみなさま、ありがとうございました。
KRPでは、今後も定期的にライフサイエンス・ウェルネス系の企業・スタートアップやアカデミアの研究者を対象に、研究環境やアクセラレーションプログラムなどの情報を発信するセミナーを開催していく予定です。次回もお楽しみに。
過去のイベントレポート等はこちら⇒https://www.krp.co.jp/labplus/events/