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2023/08/07

≪京大発イノベーションを探る@健都≫天然物創薬ケミカルバイオロジーの最前線 ~産学連携による医薬品の実用化に向けて~ 終了

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2023年719()に「≪京大発イノベーションを探る@健都」天然物創薬ケミカルバイオロジーの最前線 ~産学連携による医薬品の実用化に向けて~」が大阪健都会場とオンラインのハイブリッドにて開催されました。

みなさまは、天然物由来もしくは天然物からヒントを得て作られた薬が医薬品のうち何割を占めているか、ご存知でしょうか。実は天然物由来もしくは天然物からヒントを得た医薬品は約5割にのぼります。今回のイベントでは、そのように広く利用されている天然物とケミカルバイオロジー研究を融合し、ショウガ科ウコンに含まれる天然物クルクミンの開発研究に取り組み続けた結果、抗がん剤開発に大きく近づいた共同研究チームのお話をお伺いいたしました。

イベント当日はまず、京都大学 掛谷先生より、創薬の現状、ケミカルバイオロジー研究についてとご自身の研究課題について、そして本イベントのテーマでもあるプロドラッグ型クルクミン製剤「TBP1901」についてご説明いただきました。
次に、株式会社セラバイオファーマ 橋本さまより、同社の事業概要について、クルクミンの利点と課題について、そして掛谷先生からもご説明のあった「TBP1901」と、超高吸収クルクミン製剤「クルクルージュ」について詳しく説明いただきました。

プログラム

16:00~ イベントスタート・登壇者ご紹介・アイスブレイク

16:10~ 掛谷先生ご講演

16:35~ 橋本さまご講演

17:00~ トークセッション・質疑応答

17:30~ (現地のみ)名刺交換会

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質疑応答の一部をご紹介

Q:掛谷先生は天然物創薬としてこれまで微生物、生薬・薬用植物、カイメン・ホヤなどを扱ってこられましたが、今後、先生が注目したいとお考えの天然物についてお聞かせください。

掛谷先生:
長年伝承されている植物や機能性食品などを取り扱うことはもちろんのこと、私たちは現在、「特殊な技術を使わず、異なる2つの微生物を同一フラスコで培養する(共培養法)ことにより、普段眠っている微生物の遺伝子を活性化させて新しい化合物をつくる」、という取り組みを行っています。
実験室でひとつの微生物を培養しても、微生物の持っている遺伝子の2割程度しか活性化しません。しかし、共培養法を用いると、通常の2倍程度新しい化合物ができるということがわかりつつあります。
また、2つの微生物を組み合わせる際に、微生物同士の接触が不要な場合に特に力を入れて研究を進めています。
眠っている遺伝子を活性化する可能性のある化合物を「マジックタブレット」と私は呼んでいますが、様々な微生物の純粋培養時に添加するだけで新しいものを作り出す「マジックタブレット」には無限の可能性があると考えており、微生物を組み合わせる中でそんな「マジックタブレット」を見つけ出し特定するために現在研究を進めています。

Q:橋本社長にお伺いします。今後の事業の展望についてお聞かせください。

橋本さま:
がんやアルツハイマーといった、全世界で問題となっている疾患について、抗体医薬等様々な形で対応策が進められていますが、それだけではなく、今私たちが抱えている健康に関する多様なニーズや課題に対しての解決策を、天然系の化合物が持っているパワーをうまく引き出すことによって効率よく有効に見つけ出していくことが大切ではと思っています。
また、私の考えとしては、医薬品の開発に力を入れていくことが大事であると同時に、まだ発症していない段階での健康に対するケアという面に関しても、真剣に考えていくフェーズにあると感じています。
発展途上国であれ先進国であれ、健康に対するニーズはほとんど変わらないと感じており、そのニーズに対応するベンチャーになっていきたいと思っています。

最後に

当日はクルクミンについてや、具体的に研究内容に踏み込んだご質問等、お時間いっぱいまでたくさんのご質問をご視聴のみなさまからもいただきました。
ご視聴いただきましたみなさま、ご質問いただきましたみなさま、ありがとうございました。

KRPでは、今後も定期的にライフサイエンス・ウェルネス系の企業・スタートアップやアカデミアの研究者を対象に、研究環境やアクセラレーションプログラムなどの情報を発信するセミナーを開催していく予定です。次回もお楽しみに。

過去のイベントレポート等はこちら⇒https://www.krp.co.jp/labplus/events/