2023/05/09(火)
ここまで来た臓器モデル~ 最新の腎臓オルガノイドと臓器の発生メカニズム 終了
2023年4月26日(木)に「~ここまで来た臓器モデル~ 最新の腎臓オルガノイドと臓器の発生メカニズム」が大阪健都会場とオンラインのハイブリッドにて開催されました。
今回ご登壇いただいた理化学研究所の高里実先生は、「in vitroでヒト多能性幹細胞を分化誘導し、任意の臓器を完全な形で創り上げる事」を目標とし、ヒト腎臓モデル(オルガノイド)の研究を進められてきました。サイズ、構造的複雑性、成熟度の点からまだまだ不十分な腎臓オルガノイドの作製系をブラッシュアップし、将来的に移植可能なレベルの3次元腎臓組織をin vitroで構築することを目指すと共に、膀胱など、腎臓と接続するその他の臓器のオルガノイドの作製も行っていらっしゃいます。
イベント当日は、臓器モデル、特に腎臓と膀胱のオルガノイドについて、その発生のメカニズムや作成方法、最新の話題や課題となっていることについてお話いただきました。
プログラム
16:00~ イベントスタート・登壇者ご紹介・アイスブレイク
16:10~ 高里先生ご講演・質疑応答
17:10~ (現地のみ)名刺交換会
17:30~ (現地のみ)名刺交換会
質疑応答の一部をご紹介
Q:ES/iPS細胞からオルガノイドにした後で、継代培養をすることはできるのでしょうか?
高里先生:
腎臓に関しては、「作成したネフロン前駆細胞を凍結保存後融解し、ペレットにしてオルガノイドをつくる」、ということはできるため、最初に沢山ネフロン前駆細胞を作成すれば、ロット差を気にせず作成することができます。
しかし、ヒトの細胞の継代培養に関しては、継代そのものはできても分化する力が失われることがあります。多くの研究者がチャレンジしていますが無限継代には成功していません。
ネフロン前駆細胞はヒトの胎児の中でも10か月ほどは存在しますが、生まれるときにはなくなってしまう存在です。そのため、そういった性質の細胞を、無理やり能力を保ったまま継代することは難しいのが現状です。
膀胱に関しては、そういった取り組みをまだ行っておりません。アダルトの膀胱の中に膀胱の組織幹細胞があることから、オルガノイド内にも同様に膀胱となる幹細胞が存在すると思っており、今後それを純化して、継代培養を行うことをチャレンジしたいと思っています。
最後に
ご講演では研究内容に関して、細胞の写真や動画などを使用し大変わかりやすくご解説いただきました。オルガノイド研究の現状、課題、そして課題に対してどのようにアプローチをされているのか、理解が深まる1時間でした。
また、イベント後半の質疑応答のお時間では、具体的なご質問を多数ご視聴のみなさまからいただきました。
ご視聴いただきましたみなさま、ご質問いただきましたみなさま、ありがとうございました。
KRPでは、今後も定期的にライフサイエンス・ウェルネス系の企業・スタートアップやアカデミアの研究者を対象に、研究環境やアクセラレーションプログラムなどの情報を発信するセミナーを開催していく予定です。次回もお楽しみに。
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