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平成27年度 再生医療サポートビジネス懇話会 第6回はんなり雑記

日時 / 平成28年2月19日(金) 16時〜19時
場所 / 京都リサーチパーク1号館4階サイエンスホール
講師 / 佐藤 正人 氏(東海大学 医学部 外科学系 整形外科学 教授)
座長 / 田畑 泰彦 氏(京都大学 再生医科学研究所 生体材料学分野 教授)
講演 / 同種細胞シートで加速する変形性膝関節症に対する再生治療


 

H27第6回懇話会1突然ですが、ロコモをごぞんじでしょうか?
運動器疾患ロコモティブシンドローム)の略称です。
「メタボにならないようにダイエットだ!」といった感じでメタボリックシンドローム(糖尿病、高血圧症、高脂血症)は既に私たちの日常に溶け込んでいますが、ロコモの方は、まだまだなじみが薄いようです。
しかし、高齢者が自立して生活するのが困難になる(要支援・要介護)主な原因の第1位は運動器の障害であり、医療費削減をはかるうえで、ロコモ予防はメタボ以上に重要です。
ロコモには、患者数が多い順に変形性腰椎症・変形性膝関節症・骨粗鬆症があり、佐藤先生は、ロコモアドバイスドクターとして予防啓発活動に取り組んでおられることから、この話から講演が始まりました。

さて、本題の変形性膝関節症の治療です。体重を支えつつスムースな歩行を担う膝関節軟骨は、ショックアブソーバーとしての優れた粘弾性とアイススケートの1/10から1/100ともされる優れた潤滑性を合わせ持っています。
金属とポリエチレンなど高分子を組み合わせた人工関節への置き換えが普及していますが、耐用年数が15年程度なので、65歳未満の方には通常実施されません。
痛くて歩行もままならない状態なのに、消炎剤や鎮痛剤でしのぐほかない患者さんのために膝関節軟骨再生治療の実用化が急がれます。

軟骨は、況織灰蕁璽殴鵑筌廛蹈謄グリカン(糖鎖)・ヒアルロン酸などの細胞外マトリクス(分泌物)からできた構造物です。
骨まで欠損が進めば(軟骨全層欠損)、間葉系幹細胞が放出されて軟骨が修復されるのですが、欠損が軟骨内に留まる場合(軟骨部分欠損)、わずか3〜5%しかない軟骨内の細胞は、構造物に阻まれて十分供給されず修復が起きません。したがって、軟骨欠損の治療に細胞移植が期待されていますが、現在保険収載されている自家培養軟骨製品には、問題点が3点あります。すなわち、骨膜で欠損部を覆い培養した細胞を注入するという形をとるので、.汽鵐廛觝亮茲里燭瓩坊鮠錣壁位を2カ所も切ること、∈得諺反イなめらかな軟骨にならないなどの不具合、4凌瓦諒儼狙膝関節症は適応外、ということです。

佐藤先生らは、シート状に積層化した軟骨細胞で欠損部を覆って、自己修復能を最大限引きだす治療法を開発されました。平成23年10月に厚生労働省の承認を受け、国内で初めて変形性膝関節症の患者さん8例で臨床実験を実施し、良好な結果を得ました。それでも、細胞採取と培養細胞移植で手術が2回必要なのと、患者さんが比較的高齢なため細胞培養が難しかったり遺伝子異常を起こしていたりといった問題が残ります。
そこで、免疫抑制剤を使わなくてもよい軟骨の特性を活かして、同種細胞(患者本人と異なるヒトの細胞)による積層化細胞シート移植の研究が進んでいます。特に、多指症患者の切除された指関節(手術時廃棄組織)は、採取元が若い(1歳くらい)ため、活きが良く培養に適しているので、検体1点から、300人分の治療に使える細胞シートを生産できるとの試算もされています。
佐藤先生のグループは、臨床現場ニーズを最大限反映したヒト間葉系幹細胞由来製品の先鞭をつけるべく、このシートを使った動物実験を進めておられます。勿論、iPS細胞由来の軟骨細胞の移植も研究されています。

ここまで手術を伴う治療の話でしたが、抗がん剤の血管新生作用を利用して関節軟骨の自己修復を誘導する薬物療法への期待も高まっているそうです。 しかし、いくら軟骨が再生されたとしても、体重超過や筋力低下が、変形性膝関節症の発生・再発リスク要因であることに変わりはありません。
また、ロコモにより運動しなくなると、代謝が落ちて、当然、メタボ罹患のリスクも高まります。
これからはメタボと同じくらいロコモに気を配り生活習慣を見直しましょう。

H27第6回懇話会2

 


 

さて、こうして今回をもって平成27年度の懇話会はすべて終了しました。
6人の先生方の皆様、参加された多くの企業ならびに関係機関のみなさま、誠にありがとうございました。
また、来年度の懇話会については3月より一般募集を開始いたしますのでご参加をお待ちしております。
このはんなり雑記も引き続き掲載していきますので、次回をお楽しみに!

 

 

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