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平成26年度 再生医療サポートビジネス懇話会 第5回はんなり雑記

日時 / 平成26年12月12日(金) 16時〜19時
場所 / 京都リサーチパーク4号館地下1階バズホール
講師 / 浅田 稔 氏 (大阪大学大学院 工学研究科 知能・機能創成工学専攻 教授)
講演 / 人工共感の設計にむけて:感情と認知の発達ロボティクス


 

H26第5回懇話会1第5回の講師は、大阪大学大学院 工学研究科 浅田 稔 先生です。
人工共感の設計にむけて:感情と認知の発達ロボティクスをテーマにお話し頂きました。

座長の田畑先生はエネルギッシュかつ軽快なマシンガントークでお馴染みですが、今回の講師である浅田先生も同じくらい、あるいはそれ以上に言葉の密度が高かった気がします。

浅田先生は「僕は基本的にむちゃくちゃ早く喋る」「マシンガントークで有名なんです」と仰っていましたが、単位時間当たりにすると単語数がNHKアナウンサーの1.3〜1.5倍にもなるとか。今回の講演では、できる限り“ゆっくり”を心掛けてお話し頂きました。

浅田先生は、日本子ども学会・日本赤ちゃん学会の理事を兼ねておられます。
ロボットの研究をされている先生が「なぜ赤ちゃん?」と思われるかも知れません。赤ちゃんの発達の秘密についてロボットを使って考えたいとお話されていました。

 

H26第5回懇話会2はじめに紹介されたのは、浅田先生も創始者の一人である
ロボカップという国際的ロボット競技大会の映像です。
なんと、ロボットがチームでサッカーをしています。
ロボカップは、「西暦2050年までに、人間のワールドカップ・チャンピオンに勝てる自律型ロボットチームを作る」というゴールを目標に、研究過程で生まれる技術を世の中に還元することを目的としているランドマーク・プロジェクトです。

サッカー競技のほかにも、災害を想定したロボカップレスキューや日常生活の中で技術の利用を試みるロボカップ@ホーム(アットホーム)などの部門があります。
まだまだ日本では「ロボカップ=面白いね」で終わってしまうことが多く、真意が浸透していないそうです。ロボカップで培った技術を実際に応用していくことが重要だということでした。
それにしても、多少ぎこちないながらもボールを追ってサッカーを一生懸命している(ように見える)ロボットたちは何とも健気です。思わず「がんばれ!」と応援したくなります。
冒頭から、ロボットにかなり“共感”を覚えてしまいました。

 

ほかにも、資料動画の中に様々なロボットが登場しました。
CB2というロボットは人の手を借りて歩行を学習するのですが、介助者とうまくシンクロすることで動きが良くなるというのがとても人間くさくて面白かったです。
日々、研究でCB2を相手している学生さん達は、CB2のことが可愛くて仕方ないそうです。
人とロボット、手に手を取って二人三脚している様子を見ると大いに納得でした。

 

H26第5回懇話会4会場からの質問に対する先生の回答で、強くに残っている内容があります。
『ロボットを構成する素材の違い――かたい、柔らかい等で出来上がってくる心も違ってくるのではないか。その場合は、私たち人間はどのように対応したらいいのでしょうか?』という質問でした。
人工物の心は人間と同じ心にはならないかもしれない。けれども人間は適応力が高い。人工物の心に対しても共感できるポテンシャルがかなりある。もともと日本人は(ロボットに対しても)親和性が高い。文楽人形が良い例である。人工物の心、人間とは違う心であっても共存できるし、共存する価値・意味はあるのではないか。そういう部分は日本人得意だからリードしていけば良い」と浅田先生はお話されました。
なるほど、そういった“人ではないものの心”に共感するのは、日本人の得意とするところだなと思います。

ウルトラマンもゴジラも表情はさして変わりませんが、そこに戦いの痛みや怒りを読み取りながら私たちは物語を鑑賞しています。
修理サポートが終了してしまったロボット犬の“飼い主”の苦悩がニュースになれば、何の違和感もなくその悲しみに共感できます。
「長く使う物に魂が宿って妖怪になる」というような昔話もたくさんあります。
日本人にとって人工物の心へのハードルは、自分たちが認識している以上に低いのかも知れません。
数々の困難を乗り越えて、満身創痍で地球に戻ってきた「小惑星探査機はやぶさ」。“彼”の最後の任務に心打たれた方も少なくなかったと記憶しています。

 

講演の終盤で、浅田先生はご自身も大好きな「火の鳥・復活編」(手塚治虫)、「PLUTO」(浦沢直樹×手塚治虫)などの物語について触れられました。
作中に描かれる“ロボットの感情”のエピソードに、浅田先生ご自身強く共感を覚えるとのこと。フィクションではありますが、描かれている「人間とロボットの関係」は我々に深い示唆、ヒントを与えてくれるのではないか、ということでした。

 

最後の結論の中で、ロボットが心を持てるようにするためには、人間がどうやってそれを獲得するかを理解する必要があると先生は仰っていました。
人間の発達過程を解き明かす道具としてロボットがあり、解き明かすことによってロボットの心の設計論がうまく表現できるかもしれない、と締め括られました。

 

H26第5回懇話会3テンポ良く、耳に心地の良い語り口調でお話される先生の講演は、体感時間が短くてあっという間の3時間でした。

講義内容にしんと会場が聞き入る場面もあれば、ユーモラスなロボットの仕草に笑いが起こる瞬間もあり、とてもが惹きつけられる講演となりました。


 

 


 

平成26年度の懇話会も、いよいよ次回(平成27年2月10日)が最終回となります。
京都大学 iPS 細胞研究所 増殖分化機構研究部門の山下 潤 教授を講師にお迎えし、「多能性幹細胞の心血管系再生医療への応用」についてお話いただきます。
お楽しみに。

 

 

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