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平成26年度 再生医療サポートビジネス懇話会 第4回はんなり雑記

日時 / 平成26年11月7日(金) 17時〜20時
場所 / 京都リサーチパーク4号館地下1階バズホール
講師 / 玉井 克人 教授(大阪大学大学院 医学系研究科 再生誘導医学寄附講座)
講演 / 骨髄間葉系幹細胞と損傷組織のクロストークを利用した再生誘導医療の新展開


 

H26懇話会第4回2第4回の懇話会の講師は大阪大学大学院の玉井克人先生です。
冒頭、田畑先生から「日本でいちばん優しい臨床医です」とご紹介がありました。
どういう意味だろうと思っていると玉井先生が自己紹介を始められました。
なんて優しい声でしょう。
おまけに、この「はんなり雑記」を書いている私と同い年、同じ生年月日!
間違いなく優しい先生です。

14年前に青森から大阪に来られ、歴史、特に坂本竜馬のファンとのことです。
また、私の話にはオチがありませんとおっしゃられました。大阪人はいつも漫才をしていると思っておられるのでしょうか…間違いではないですが…  
 

まず、今回のご講演のタイトル骨髄間葉系幹細胞と損傷組織のクロストークを利用した再生誘導利用の新展開からお話が始まりました。

骨髄には二種類幹細胞があります。
一つは造血幹細胞で血液をつくります。骨を割ると中が赤いのは、そこで赤血球をつくっているからだそうです。
もう一つが間葉系幹細胞です。間葉というのはあまり馴染みのない単語です。
受精卵が分裂する際に、外胚葉は脳や皮膚、中胚葉は骨、筋肉、脂肪、軟骨や心臓、血管、内胚葉は臓器に分化しますが(と、メモを取っていたら、隣から生物気能ったよと突っ込まれました…)、間葉系幹細胞は中胚葉だけでなく外胚葉や内胚葉が分化する細胞にまで分化する幹細胞であるとのことでした。
それだけ大事な役割を担っているから、かたい骨の中に守られているのだと。

その間葉系幹細胞を移植して治療するだけでなく、損傷組織から出るSOSシグナル医薬として開発することが玉井先生の研究です。
皮膚科の臨床から出た疑問を解決するため、間葉系幹細胞の移植による治療を行い、さらにそれに関与する物質から創薬を研究し、難病の治療にあたろうとされています。

H26懇話会第4回3 H26懇話会第4回1

では、どんな難病でしょうか?
いきなり指の皮がめくれて真っ赤に腫れあがった赤ちゃんの写真が出てきました。
見るからに痛くて可哀そうです。
これが表皮水泡症です。
皮膚には表皮真皮がありその間に基底膜があります。ちょうど掛け布団敷布団の間のシーツのようなものだそうです。そのシーツに桟織灰蕁璽殴がないと、掛け布団が剥がれ落ちてしまいます。
これは全身の皮膚だけでなく、食道でも起こり、食べ物やミルクや水も取れなくなってしまうという大変つらい病気です。
大阪だけで100人程の患者さんがおられるとのことです。
この表皮水泡症では、剥離した表皮と共に皮膚をつくる表皮幹細胞大量に消失しているにもかかわらず、新しい表皮が再生されています。
このことが玉井先生の大きな疑問でした。

新たな表皮が再生する幹細胞を補充するメカニズムがあるに違いない」。

そこで、この幹細胞がどこで造られ、どうやって皮膚にたどり着くのか考え、損傷組織からSOSシグナルが出ると、骨髄で造られた幹細胞が血流に乗って皮膚まで送られるとの結論に至りました。
そして、ネズミを使った実験を行い、ついに骨髄で造られた幹細胞皮膚を再生することを証明しました。
これで、健康な人(家族)の骨髄を患者に移植することにより、基底膜に桟織灰蕁璽殴が造られて表皮が剥離しなくなります。
現在、4人の患者さんに臨床研究が進められ、順調に経過しているそうです。

これで治療法は確立しましたが、骨髄間葉系幹細胞の移植は、骨髄液の採取による苦痛や移植した細胞への生体拒否反応などが出るので、玉井先生はもっと負荷の少ない、安全で手軽な薬が開発できないか、と考えました。
損傷細胞から出るSOSシグナルを出す物質が分かれば、それを投与することによって間葉系幹細胞が骨髄から供給される。そしてその物質はHMGB1(炎症関連タンパク質:High-mobility group box1)という細胞の核に含まれるたんぱく質であるということを突き止めました。このHMGB1は皮膚の水ぶくれの液中に大量に存在しているそうです。
また、通常の病気では血液中に間葉系幹細胞は出ないのですが、HMGB1を注射すると採取されることが実験で確認されています。
HMGB1は遺伝子を「ほどく」機能があるので、修復酵素が損傷個所にたどり着き、治癒につながるということです。

生体内における危機的状況を免疫系・幹細胞系に伝達し、病的環境を修復して生体内の恒常性を保つ役割を利用して、医薬として利用できる可能性が見えてきました。
これが「骨髄間葉系幹細胞と損傷組織のクロストークを利用した再生誘導医療」です。
重症患者には骨髄間葉系肝細胞移植、軽症患者にはHMGB1投与により、表皮水泡症などの難治性皮膚疾患の治療に目途が付きました。
難病に苦しむ患者さんにとって希望の灯りだと思います。玉井先生は、優しい声の主だけでなく、因幡の白ウサギを手当てしたような、まさしく現在の「大国主命(おおくにぬしのみこと)」です!

 

H26懇話会第4回4このような感動の第4回再生医療サポートビジネス懇話会でしたが、休憩の時間のToday’s CLIPでの新しい試みとして、大学の先生のニーズを公開し、試作または事業化に結びつける可能性のある案件を5つ紹介しました。
ご関心があればぜひご応募ください。

問い合わせは永井まで。
Emailアドレス:saisei-s@krp.co.jp
 

 


 

次回は12月12日(金)の16時から、大阪大学大学院 工学研究科知能・機能創成工学専攻教授の浅田 稔氏に、「人工共感の設計にむけて:感情と認知の発達ロボティクス」について講演頂きます。
次回も4号館地下のバズホールですのでお間違えなく。

 

 

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