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平成23年度 再生医療サポートビジネス懇話会 第6回はんなり雑記

はんなり雑記

村上 伸也 氏 (大阪大学 大学院歯学研究科 口腔分子免疫制御学講座)
『歯科医療における再生医療の現状と将来展望』

 「歯周病と虫歯とは原因が違う。世界的にみると虫歯の罹患率は減少し、今は歯周病の罹患率が圧倒的に多く、成人が歯を失う最も多い理由となっている」という話からスタートし、『歯と歯周組織の違い』、『歯周組織再生療法』、『FGF-2(血管新生因子。正式名は塩基性繊維芽細胞増殖因子)による歯周組織再生誘導』、『1壁性骨欠損モデルにおけるFGF-2の歯周組織再生誘導効果』、『現在の歯周組織再生療法の限界』と講演が続きました。

歯周病とは、歯と歯茎の間についたプラーク(バクテリアの塊)によって、歯周組織(歯肉、歯根膜、セメント質、歯槽骨からできている)が徐々に破壊され、最後には歯が抜け落ちる病気です。歯肉炎から歯周炎へ移行するか否かは、生活習慣(ストレス、タバコ、口腔衛生不良など)や体質(遺伝、全身疾患など)が大きく影響するそうです。歯周炎の進行により失われた歯周組織は、いくら歯磨きをしても、歯医者で治療を受けても元には戻らないのだそうです。ところが、歯周組織治療法の研究を進めるなかで、歯根膜の中に未分化間葉系幹細胞(歯周組織の幹細胞)の保管庫があり、歯周組織を再生できる細胞が生きているとわかってきたそうです。これを上手に活用したら歯周組織を再生できる可能性があるのでは?というところに注目し、歯周病に蝕まれた骨にFGF-2(塩基性繊維芽細胞増殖因子)を投与して、歯周組織を再生させる治療法が開発されてきているそうです。講演の最後に、ものづくり企業の皆さんへの要望として、「口の中で自由自在に整形できるような細胞の足場材が欲しい」「マーケットが小さいためなかなか難しいかもしれないが、 医科領域だけではなく、歯科領域の道具や器具も開発して欲しい」という話で締めくくられました。

会場からは、FGF-2の投与方法や、臨床試験に関することなどについて活発な質疑応答が行われ、第6回目の懇話会を終了しました。また、今回の自社PRコーナーでは、会員企業1社が、自社の技術や今後の再生医療分野への取り組みを中心にPRされました。

第6回 懇話会の様子1 第6回 懇話会の様子2

私達の歯は親知らずを除くと28本あります。そして、驚いたことに全ての歯の歯周ポケットにプラークがあるとすると、その量は 大人の手のひらにべったり細菌を塗ったのと同じ量になるそうです。現在の歯周病の治療は、歯茎が引き締まったところで終了だそうです。つまり、炎症は治ったのに、歯の隙間はそのままということです。今の歯周病に対する治療はこれが一般的であり、歯周組織の再生には多くの研究を要するということがわかりました。また、歯周病が原因で脳卒中、肺炎、糖尿病、心疾患など体内のあちこちに病気を引き起こすこともあるそうです。いつまでも自分の歯で美味しい食べ物を食し、かつ健康に老後を過ごしたいので、改めて歯磨きを見直し(歯と歯茎の間をしっかり磨く)、大切に歯を労わっていきたいと思います。

今回で今年度の懇話会が終了しました。再生医療は個人的にも興味がある分野で、講師の方がわかりやすく丁寧に、かつ魅力的にお話をしてくださるので、毎回楽しみに興味深く話を聞かせていただき再生医療についての理解が深まりました。また、参加企業の方同士が交流を深められている様子を見て、この会から何か新しいものが生まれる予感がしました。

今年度ご参加頂きましたみなさま、有難うございました。次年度も様々な分野から講師の方を招き、充実したカリキュラムとなっております。今後も引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

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