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平成23年度 再生医療サポートビジネス懇話会 第4回はんなり雑記

はんなり雑記

平成23年10月21日(金)
高橋 政代 氏 (理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター 網膜再生医療チーム)
『ES/iPS細胞を用いた網膜細胞移植治療』

 「本当にiPS細胞が使えるのか?ということだけではなく、臨床分野への応用や企業化に向けた内容を説明したい」という話からスタートし、『目の構造と網膜の働きについて』、『幹細胞を用いた再生治療』、『細胞の質と量』、『ES細胞とiPS細胞の違い』、『加齢黄斑変性』と講演が続きました。
 再生医療の分野で、世界発の臨床試験にもっとも近いといわれているのが『加齢黄斑変性』(加齢により網膜の中心部である黄斑に障害が生じ、見ようとするところが見えにくくなる病気)。50歳以上の0.8%が罹患しているといわれており、現在日本には50万人の患者がいます。最近までは治療がなく、10年前までは全然治らない病気でしたが、網膜色素上皮細胞のシートを患者のiPS細胞から作り、数ミリ角のシート状にしたものを移植するという方法をとる事により、網膜色素上皮細胞が障害される病気の進行を止めたり遅らせる効果があると考えられるそうです。
 再生医療の早期実現に向けて組織した『日本網膜研究所』が果たす役割として、「臨床研究から実用化に近づく為に、様々な戦略策定(資金調達計画、知財戦略の策定、関連機関との折衝、また一方では市場調査、ライセンス交渉、国際臨床治験戦略など)に取り組んでいる。企業が参入しにくいのは規制がどうなるかわからないからであるが、欧米に負けないように、研究機関、企業等と協力して環境整備に力を注いでいる」という話で講演は終了しました。
 会場からは、研究にはどのようなシャーレや装置が必要か?細胞シートの作り方の難易度、デバイスの開発などに関して休む間もなく質疑応答が行われ、第4回目の懇話会を終了しました。
 また今回の自社PRコーナーでは、会員企業3社が、自社の技術や今後の再生医療分野への取り組みを中心にPRされました。

 
第4回 懇話会の様子1 第4回 懇話会の様子2
中型動物(サル)の皮膚からiPS細胞を誘導して網膜細胞を作り、サルへの細胞シート移植シーンが動画で流れた時には、参加者の方から「おお〜」という感嘆の声があがりました。動画はリアルに伝わってくるので臨場感がありますね。皆さん熱心に身を乗り出して見入ってられました。
 高橋先生の研究所にはiPS細胞の質の善し悪しを見極める 『iPS細胞ソムリエ』がいらっしゃるそうです。「ヒトiPS細胞の培養はかなり難しいので、今後の事も考えると細胞培養の作法を記録する必要があるかもしれない」等、具体的な事例をあげながら話をして頂きました。
 将来的に事業として採算がとれる治療法が必要など、まだまだ解決すべき問題が残っていますが、最もiPS細胞の臨床応用に近いと言われている網膜疾患分野。iPS細胞で作った網膜色素上皮細胞を加齢黄斑変性患者らに移植する臨床研究は、2013年度にも開始されるそうです。世界初として、日本の再生医療の技術が実用化される日を心待ちにしたいと思います。

 

 

 

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