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平成25年度 再生医療サポートビジネス懇話会 第6回はんなり雑記

日時:平成26年2月21日(金)16時〜19時
場所:京都リサーチパーク1号館4階サイエンスホール
講演:高橋淳教授(京都大学iPS細胞研究所 臨床応用研究部門)
「ES、iPS細胞を用いたパーキンソン病治療」


 

今回も第5回の吉峰先生のBMI(ブレイン・マシン・インターフェース)に続き、『』をテーマにしたお話です。この分野はサイエンスの中でも、近年、急速に発達している分野です。

 

第6回はんなり雑記画像1 神経細胞(ニューロンとも呼ばれます)は、細胞体と呼ばれる本体と、隣の細胞に信号(情報)を伝える軸索、隣の細胞からの信号をキャッチするための樹状突起からできています。
これらの神経細胞シナプスと呼ばれる接合部分を介してネットワークをつくり、脳の複雑な働きを実現しています。
シナプスは隣の神経細胞と密着しているのではなく、数万分の1mmほどのすき間(シナプス間隙)があるそうです。
シナプスでは軸索を伝わってきた信号(電気信号)を化学物質の信号に変え、シナプスにある小胞から、ドパミンセロトニンアセチルコリンなどの神経伝達物質としてシナプス間隙に分泌され、0.1〜0.2ミリ秒の速さで、受け手側の神経細胞に情報を伝えています。
これまでに、このような神経伝達物質や神経修飾物質が数十種類、発見されているそうです。

ヒトのは神経細胞の集合体であり、神経細胞は生まれた時には数百億個もあります。
しかし、年齢と共にその数は減少していくそうです。積極的に脳を使うことでシナプスを介したネットワークが強固になり、脳の活性レベルをある程度キープすることができるそうです。

やはり、脳の機能を維持し続けるためには、常日頃から脳を使った生活を意識しないとダメなんでしょうね。計算ドリルクロスワードなんかは脳を活性化するとの触れ込みですが、どれくらい維持できるのでしょうね?

これまでの研究で、シナプス伝達の調節に “壊し屋タンパク質による分解が重要であることがわかってきました。
現在、脳梗塞アルツハイマー病統合失調症うつ病などの脳神経精神疾患では神経伝達物質の放出異常が起こっていることが推測されています。

 

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第6回はんなり雑記画像5さて、第6回目のテーマであるパーキンソン病ですが、1817年に、この病気を初めて報告したイギリス人のジェームズ・パーキンソンという医師の名前が由来になります。

50歳以降に発症することが多く、手足が震える筋肉がこわばる動作が遅くなる歩きづらくなる など運動機能の低下が徐々に進行し、10数年後には寝たきりになる場合もあるそうです。
発症率は、人口10万人に対し100人程度で推移しており、日本で約14万人、アメリカで約65万人の患者さんがいらっしゃいます。


は、大脳小脳脳幹(のうかん)に大別され、パーキンソン病は、脳幹に属する「中脳黒質(こくしつ)」のドパミン神経細胞に異常が起こっていることが明らかにされています。
パーキンソン病では、中脳黒質に異常が起こって正常な神経細胞が死滅するため、必要とされるドパミン量低下し、情報伝達経路がうまく働かなくなり、姿勢の維持や運動の速度調節がうまく行えなくなるといった、パーキンソン病特有の症状が現れることがわかってきたそうです。

パーキンソン病の治療には、減少したドパミンを補ってやれば良いわけですが、ドパミンを直接飲んでも、ドパミンが大きいため脳の血管を通過することができない(脳の血管の隙間は、通常の血管の隙間より、はるかに小さいそうです)そうです。
そこで、現在では、ドパミンよりも小さく、脳の血管を通過できるほど小さく、脳内でドパミンに変化するL-ドパというドパミンの前駆体(ドパミンの一つ手前の化合物)を用いているそうです。
L-ドパを飲めば、その一部が脳に入り、ドパミンに変わってドパミン受容体に作用することが可能だと考えられますが、ことは簡単ではないみたいです。

黒質でつくられるドパミン量が正常な人の場合の20%以下まで低下すると、初期のパーキンソン病の症状が現れるといわれています。
パーキンソン病の患者さんでは、ドパミン神経細胞の異常(死滅)によりドパミン神経細胞の数が減っているのですから、L-ドパを飲んで必要とされるドパミン量を確保するためには、元気な(生きている)ドパミン神経細胞に頑張ってもらわなければならないわけですよね。

結局、時間とともに無理をして働いていた元気なドパミン神経細胞も疲れ果てて、L-ドパをドパミンに変えることができなくなり、パーキンソン病が重篤化するのだそうです。
何となく、我々の職場環境に似ていませんか?
栄養ドリンク剤を飲んで体を騙し騙し頑張っていると、いつか、バタっとくるということですよね!

重篤化してL-ドパが効かなくなると、脳に直接電極を差し込んで、埋め込み式の電池から電流(130Hz)を流し続けるのだそうです。
想像しただけでもですね。

 

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第6回はんなり雑記画像4パーキンソン病の根本的治療となると、やはり無くなったドパミン神経細胞を移植することだそうです。
しかし、移植するドパミン神経細胞を生きているヒトから取り出すわけにはいきません(死んだ人のドパミン神経細胞は生きがよくないのでダメだそうです)から、これまでは、人工中絶胎児のドパミン神経細胞を利用してきたそうです。
この方法を「胎児細胞移植」というのだそうですが、胎児1人あたりのドパミン神経細胞量が少ないので、1人の患者さんにドパミン神経細胞移植を行うためには、5〜10人の人工中絶胎児が必要、即ち量的な問題に加えて、倫理上の問題もあるので、あまり普及していないそうです。

そこで、注目されているのが多分化能を有するES細胞iPS細胞の利用です。
ES細胞iPS細胞からドパミン神経細胞を分化させることは可能で、分化後どれくらい経過したドパミン神経細胞が移植、そして幹部での生着に有効化も明らかとなってきているそうです。

ただ、それぞれ問題もあります。
ES細胞(他家細胞)を用いた場合は、免疫や未知の病原体の感染の問題です。
逆に、iPS細胞(自家細胞)を用いた場合は、もともとパーキンソン病を発症した患者さんの細胞から作るのですから、分化させたドパミン神経細胞がきちんと機能するのかが問題です。

また、ES細胞やiPS細胞の両方に共通の問題として、移植する細胞集団に未分化な細胞の混入を防ぐことが必要であるということです。その理由は、分化した細胞は増殖しませんが、未分化なES細胞やiPS細胞は移植先でどんどん増殖するからです。

ES細胞やiPS細胞からドパミン細胞だけを選択的に誘導するのは極めて困難で、どうしても他のタイプの神経細胞(例えば、セロトニン神経細胞)が混入してしまうそうです。
ドパミン細胞だけを選択的に誘導することが困難であるので、多種多様な神経細胞からドパミン細胞だけを分離する技術(セルソーター)が望まれているのだそうです。

ES細胞iPS細胞を用いたパーキンソン病治療は、もう少しで手の届くところまで開発されているようです。



パーキンソン病だけに限らず、ES細胞iPS細胞を用いた再生医療の実用化には、目的とする細胞だけを確実に選別できる分離技術の開発キーテクノロジーになるような気がします。
細胞をはじめ、 ものを分離するという技術は、モノづくり企業の得意とする分野ではないでしょうか?
 

第6回はんなり雑記画像2 第6回はんなり雑記画像3

 


 

平成25年度の「再生医療サポートビジネス懇話会」は、今回が最終回でした。
今後も、会員企業の皆さまのビジネスに役立つ情報を提供していきたいと思っています。

平成26年度も、モノづくりの視点からテーマと講師の先生を選定し、日程調整している最中です。
会員の皆さま方と、 4月23日(水)に開催いたします「平成26年度 第1回再生医療サポートビジネス懇話会」で、再び、お会いできることを、事務局一同楽しみにしています。

1年間、お付き合いいただき、有難うございました。

 

 

 

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