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世紀を跨ぐ頃、助手として大学院に勤めていた緒方は、あるホームページにアクセスして手を止めた。「SOBAプロジェクト」のコンセプト。…そのとき、緒方の目は輝いた。


■SOBAプロジェクトとの出会い
当時、緒方は大学院博士課程を修了し、大学で助手を務めていた。専門とする画像工学のビジョン技術を普段の生活に実用化することを模索していた一方で、大学内のサーバを管理運用する業務を通じて、コンピュータネットワーク技術にも精通するようになっていた。大学の通信インフラは整備が進み、広帯域通信網が敷かれ、すでにインターネットを利用した日々の業務は当たり前であった。この環境が一般家庭に浸透する日も間近に迫っている感覚を持っていた。
そんなおり、インターネット上の情報で目に飛び込んできたのが「SOBAプロジェクト」のサイト。同サイトはその時点で京都大学を中心とする研究グループとオムロンの研究グループからなる産学体制の研究開発プロジェクトであった。SOBA(ソーバ)とは、Session Oriented Broadband Applicationsの略。コンピュータネットワーク上でさまざまな情報を共有する空間を創り出す方式を特徴的に有する、P2P方式を応用したネットワーク・アプリケーションの総称である。SOBAプロジェクトでは、発足当初からブロードバンド環境が一般家庭にまで普及した姿を見据えて、ブロードバンド環境を有効に活用することができる次世代のソフトウェア基盤技術を早期に確立することを目指した活動が開始され、同時に開発成果を活かした事業化も視野に入れて、研究員や技術者の募集も行われていたのであった。
ビジュアル技術とネットワーク技術に関心を持っていた緒方には、SOBAプロジェクトのコンセプトが魅力的だった。「未だ技術が確立されてない領域で新たな道を切り開きたい」。2002年3月、緒方はSOBAプロジェクトに加わった。


■加速するSOBAフレームワーク開発
2002年3月に緒方が研究員として参加して間もなく、SOBAプロジェクトは評価試作版にあたる『SOBAフレームワーク評価版』を開発。評価版SOBAフレームワークは一般の利用者に向けて同プロジェクトの総力をあげて大々的に公表された。SOBAプロジェクトが本格的な活動をみせた瞬間である。遠隔地間でリアルタイムに情報共有を行う仕組みを実現することができる基盤的なソフトウェア技術として社会的にも注目される存在となっていった。
評価版の公表に続いて、同年、文部科学省からの支援も得られることになった。『広帯域通信網上の仮想空間応用ソフトの研究』の提案課題が文部科学省の科学技術振興調整費による「産学官共同の効果的な促進」プログラムの委託業務として採択された。これを受けて、SOBAプロジェクトは財団法人京都高度技術研究所を母体に、京都大学を中心とする“学”の研究グループ(東京工業大学、早稲田大学の協力を得る)と、当初からプロジェクトを推進してきたオムロン株式会社に加えて新たに参画したNTTコムウェア株式会社の2社を中心とする“産”の研究グループから構成される研究開発体制のもと2004年度までの3カ年におよぶ産官学共同SOBAプロジェクトとして発展、研究開発は加速度的に進んだ。同開発体制による最初の公表は2003年4月で、基本機能を実装した『SOBAフレームワーク ベータ版』がリリースされた。
「SOBAの技術を普及促進するためには、開発プロセスや成果をオープンにすることが大切で、オープンソースの戦略アプローチに期待が持てる」。SOBAを使ったコミュニティ形成を視野に2003年7月にNPO法人『オープンソースでネットコミュニティを開拓する会(通称INCPOD:InterNet Community Pioneers with Open-Development)』を設立。INCPODのWebサイトからネットを通じて積極的にSOBAの技術成果を公表し、情報発信を続けた。
これが功を奏し、第三者からの意見や要望、不具合情報が寄せられた。SOBAフレームワークの機能改良を重ねて、2003年10月には正式版となる『SOBAフレームワーク1.1』を公開。基本機能を充実したSOBAフレームワークの技術がカタチとしてまとまった。SOBAソフトウェアを利用すると、PCに接続したカメラを使ってネットワークの向こう側にいる相手の顔を見て、お互いに会話しつつ、ホワイトボードを使いながら自在にコミュニケーションを楽しむことが手軽にできる。マルチプラットフォーム対応であるためWindowsやLinuxなどのOSが混在する環境でもSOBAを使った自由なコミュニケーションスタイルも実現されることになった。最終的に2005年3月には同プロジェクトの集大成となるソフトウェア基盤『SOBAフレームワーク1.2』の技術確立に至った。

■ビジュアルコミュニケーション新時代の幕開け
2005年4月、SOBAプロジェクトは一つの大きな節目を迎えた。「これまで我々の英知を集めて生み育てた新技術は将来を切り開く可能性を十分に秘めている。SOBA技術を軸に、今まさに新事業創出のときが到来した。社会が求める基盤技術に発展させて育てるとともに、未踏領域の開拓と市場創出で、経済の活性化に寄与する使命が我々の課題である。日本、京都発の、次世代の事業を推進し、社会的な貢献に挑むのだ」。緒方はSOBAに関わるすべての研究成果や思想を継承した新組織として『株式会社SOBAプロジェクト』を起ち上げ、さらなる道を切り開くために歩み始めた。
幸いにも、SOBAの技術に早い段階から関心を寄せていた多くの人々のなかから、不動産物件を紹介するシステムを具体的に導入するプロジェクト案件に巡り会うことができた。『相手が見える安心感』を必要とするビジネスシーンである。このシステムはネット上で営業マンが店舗窓口での接客さながらに顧客に応対し、間取り図を表示しながら顧客ニーズにもとづいた物件を説明するというもの。「見える相手と相談しながら物品を購入するサービスや業種には、SOBAソフトウェアは強力な武器となる」。緒方は確かな手応えを直感する。現在、同システムは試験的運用のフェーズにあり、今後の事業展開が見込まれている。
その他では医療分野も注目が集まる分野の一つだ。医療機関では病院間の連携やかかりつけ医と在宅患者とを結ぶネットワーク技術が待ち望まれている。インフォームドコンセントやメンタルケアの重要性が問われている今、ビジュアルコミュニケーションへの期待はますます高まるばかり。人と人とを結ぶSOBAの技術に視線が向けられ、検討されている。患者の救命率向上に寄与できる可能性をSOBAは秘めているわけである。


■今後の技術発展と事業化
緒方はSOBA技術の発展について10年先までのシナリオを書き綴った。それに大きな期待を寄せたのは、またもや“官”。SOBA技術をコアに、株式会社SOBAプロジェクトが独創的に構想する次世代技術を研究課題としてとりまとめた提案書はNICT(独立行政法人 情報通信機構)による民間基盤技術研究促進制度のもと委託業務課題として採択。2005年12月から2年間にわたり、SOBAはさらなる技術発展を遂げようとしている。
「当初、世の中に何も倣うものがなかった。概念づくりから始まり、ゼロから開発した。今後もSOBA技術を発展させて、近い将来1兆円市場を超えると言われているビジュアルコミュニケーション市場で一翼を担い、業界のトップポジションを走り続けたい」。(敬称略)



■Company Profile
■株式会社SOBAプロジェクト
業種: IT開発
代表者: 代表取締役 緒方敏博
電話: 075-323-6066
FAX: 075-323-6067
京都研究室所在地: 京都市下京区中堂寺南町134番地 京都リサーチパーク2号館2階
ホームページ: http://www.soba-project.com
メールアドレス: inquiry@soba-project.com
設立: 2005年
従業員数: 7名
研究内容: ■産官学協同SOBAプロジェクトが技術確立したミドルウェア「SOBAフレームワーク」をコア・テクノロジとして利活用した製品の研究開発とサービスの提供





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京都リサーチパーク(株) 営業部 営業企画室
TEL:075-315-8342 Fax:075-322-5348
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