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「今度、ウチでロボットをつくるんですよ」。2002年某日、あまりにも突然な清水の発言に、まわりの人々は目を丸くした。


■新たな成長シナリオ
当時、清水は新たな方向性を模索していた。97年に独立して以来、ずっとFA事業に取り組んできた。真摯な開発姿勢は多くの顧客に高く評価され、順調に業績を伸ばしてきた。しかし、個人でできることに限界を感じ始めていた。有限会社、そして株式会社への成長シナリオは描けるものの、FA事業はすでに成熟した産業。今までの流れの延長線上には、価値観がひっくり返るような大きな変化は期待できない。さらなる成長シナリオをいかに描くか?これから先もスキューズを成長させ続けるには、何かが足りなかった。「もっとワクワクできる事業が必要だと考え始めていたんです」。清水は半年間、ほとんど仕事に手を付けることがなかった。KRPで出会ったさまざまな人々と話をすることで、これから自分がとるべき事業スタンスを模索していた。「もしかすると他の企業や組織と連携して何かができるんじゃないか」と思い始めるようになった。「実績のあるFA事業をベースに、さらにFA事業のノウハウと他組織との連携で新しい事業を始めよう」。かつて清水は「3年で独立する」と宣言し、その言葉どおりに目標を実現した。「有言実行」へのこだわりはひときわ強かった。しかしこの時、頭に浮かんだのは“ロボットハンドづくり”。FA事業で培ったノウハウをいかにロボット事業に応用するかは、まだ考えていなかった。「今度、ウチでロボットをつくるんですよ」。言ってしまえば、もう後はない。ただ前進するばかりである。清水の挑戦が始まった。


■研究開発型への挑戦
愛知万博でさまざまなロボットが出品されている。現在、人々のロボットへの関心は高いが、その概念は千差万別だ。2足歩行するものもあれば、産業ロボットもある。さまざまなセンサーを備えた家もロボットと言えるかも知れない。清水にとって、そこがロボット事業に可能性を感じる部分だった。「まずはウチのロボットに明確なコンセプトを打ち出そう。そうすれば、スキューズ独自のロボットができるはずだ」。これまでスキューズが取り組んできたFA事業に関わるロボットは産業ロボットだった。これをさらに高度化したものに思いをめぐらせた。高度な動きをするもの…手。スキューズが開発を手がけるのは“ロボットハンド”に決まった。
あとは共同開発のパートナーだ。清水はとにかくいろんな所に出向いてコンセプトを説明した。多くは初回訪問で終わった。清水の発想が実現不可能なものに聞こえたためだった。それでも清水は諦めなかった。そして、ロボットハンドのコンセプトも、曲げることがなかった。「情熱を傾けるなら、ロボットづくりの概念や目的が一致しているところと連携したかったし、ハートフルな付き合いができるパートナーと一緒にやりたかった」。そんな清水の思いがようやく通じたのが、同志社大学工学部・機械システム工学科の辻内伸好教授だった。当時、辻内教授は接触物体との相対運動から滑りを検知できるセンサの開発に取り組んでいた。これをロボットハンドの指先に取り付けることができれば…デバイスとして極めて魅力的だった。ロボットづくりがいよいよ現実味を帯びてきた。スキューズのFA事業は受注請負型の事業。納期も定められていて、きっちり守らなければならない。しかし、ロボット事業は研究開発型。リリースポイントをずらしてでも良いものをつくるのが最優先事項となる。ロボット事業を開始することで、スキューズは発信型企業へと転換することとなった。

■空気圧アクチュエータは屍の山
清水がロボットハンド開発に取り組み始めた時期、すでにロボットハンドは存在していた。多くはワイヤー駆動型であったり、サーボモータ駆動型だった。前者は制御が複雑なうえ耐久性に問題があり、後者は複数のサーボモータを用いるため重量に問題があった。清水はロボットハンドを人の手に代わるものにしようと考えていた。高齢者や病人の介護の手として、あるいは手の不自由な人が使う義手として。人との接触を前提とするからには、安全と柔軟性、そしてフレキシブルな動作が可能な技術が必要だった。そこで考えたのが、『非金属素材』。そして、空気圧で人工筋肉を収縮させる“空気圧アクチュエータ”だった。「空気圧アクチュエータしかない」。清水に空気圧アクチュエータの知識があるわけではなかったが、直感はすぐに確信へと変わっていた。しかし、空気圧アクチュエータの技術に詳しい人物は猛反対した。空気圧アクチュエータはこれまで多くの研究者がいたにも関わらず、応用には至っていない技術だったからだ。空気圧アクチュエータ研究開発の世界は屍の山だった。それでも清水が意見を曲げなかったため、空気圧アクチュエータで動作するロボット開発が進められた。さらに筋肉の微弱な電気信号で操作するシステムも導入。指先には前述の指先センサが取り付けられることになった。当時の産業ロボットは非接触が大前提だった。産業ロボットには『危険』の表示がなされていて、緊急停止ボタンやフェンスが設けられていた。しかし、清水が目指すのは接触型ロボットハンド。動きも感触も人間の手に限りなく近づけようとした。「空気圧で動くはずだ」。空気圧アクチュエータは清水の情熱の源となっていた。


■人の手に代わるロボットハンド
幾度にもわたる試行錯誤を経て、空気圧アクチュエータの有用性が確認された。今年、実際に空気圧アクチュエータを配置したロボットハンドを製作し、『握る』動作が可能なレベルにまで達することができた。指先には高精度指先センサも搭載し、一定の力でモノをつかむのでなく、紙コップのように柔らかく形が崩れやすいモノを適度な力で握ることが可能となった。この成果は新聞などのプレスでも発表され、話題になった。すると意外な所から反響の声が寄せられた。腕を失い、義手を装着して教壇に立つひとりの教員から電話がかかってきたのだ。「今の義手ではチョークを持つのが困難で、困っている。腕に装着して使えるロボットハンドの開発をぜひとも実現してください。もし臨床データが必要なら、私に協力させてください」。清水は自分が取り組んでいるロボットハンドに対する期待に心を打たれた。「ロボットハンドを心待ちにしている人のためにも、開発に成功しなければならない」。
現在、開発過程にあるロボットアームはまだまだ親指と人さし指で『つまむ』ような細かい動作は実現していない。24時間365日の使用に絶え得る耐久性も実証されていない。しかし、精巧なロボットハンドの完成を心待ちにしている人の声が大きな後押しになって、研究開発は急速に進みつつある。「もうスキューズは自分の事情で潰せない会社になってしまいました」。実用化の目標は2009年。しかし、清水はそれよりも早い実用化を目指している。多くの人の期待を背負ったロボットハンド開発。「今度、ロボットをつくるんですよ」。またもや清水は有言実行を貫こうとしている。(敬称略)



■Company Profile
■スキューズ株式会社
業種: FA設計開発
代表者: 清水 三希夫
電話: 075-323-9160
FAX: 060-3333-3350
所在地: 京都市下京区中堂寺粟田町93番地 京都リサーチパーク6号館4階
ホームページ: http://www.squse.co.jp
メールアドレス: info@squse.co.jp
設立: 1997年10月(法人設立2002.4月)
従業員数: 12名
事業内容: 【FA(ファクトリーオートメーション)事業】
 ■システム設計、電気設計(CAD,CAM)、
  制御系ソフト設計(シーケンサPLC、C言語、VB、BASIC)
 ■ソフトウエアの開発、設計、機械組立調整、現地調整業
【ロボット事業】
 ■システム開発、アクチューエータ設計、開発、製造





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京都リサーチパーク(株) 営業部 営業企画室
TEL:075-315-8342 Fax:075-322-5348
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