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1995年1月――。阪神大震災の報道番組を見ているときだった。家庭用のビデオカメラでとられた映像が、インターネットを通じて提供され、被災状況を克明に伝えていた。岸本栄司が初めてインターネットの存在を知った瞬間だった。「これは、すごいコミュニケーションの手段だ」。岸本は映像を見ながらそう考えた。


■2行だけのホームページ
ある時、新聞の片隅に京都市の出資する第三セクターがインターネットプロバイダ事業を始めるとの記事を見つけた。95年2月から秋まで無料の試用期間があるという。早速、インターネットにつなげるためのパソコンを購入、利用を申し込んだ。接続するためのパソコンソフトも用意し、自分で接続の設定に取り組む。インターネットにつながったのは、設定を始めてから1ヶ月以上たったとき。「設定しても、なかなかつながらず本当に苦労した」。
インターネットに接続した後ウェブページを見てみると、山形の精肉店が通販ページを開設していた。精肉の写真と、商品の簡単な説明文があるだけ。
ページのデザインも非常に簡単なものだ。「これやったらオレでもできる。やってみよう」。ウェブページ作成用のプログラムを組み、1ページだけのホームページを作った。ページの中央には、T-シャツを着た男たちが並ぶ写真を1枚。
その下に「T-シャツ売っています。注文は下記のメールアドレスまで」、2行目に自分のメールアドレス。載せたのはそれだけ。95年8月上旬のことだ。



■100万円の売り上げ目標
初めてT-シャツが売れたのは、お盆明けだった。8月の売り上げは結局、その1件の2,500円だけ。「売れると思っていなかったので、たった1人でもうれしかった。『これは行ける』と勢いづいてやることを決めた」。
岸本は当時、実家の衣料店の店長を務めていた。大学時代には、鮮魚店でアルバイトをし、卒業と同時にそのまま就職。25歳になったとき、実家の衣料店に戻った。根っからの商売人だ。
「行ける」と思っても、さすがにひと月の売り上げが数千円では、とてもやっていけない。「今から1年以内に、月100万円の売り上げを達成できなかったらやめよう」そう考えた。月100万円――。この数字は、スタッフ1人を雇えるかどうかのラインだ。
95年9月の売り上げはゼロ。10月には、1ヶ月で10枚のT-シャツが売れた。
月を追うごとに売り上げは増え、95年の売り上げは47万円になった。96年7月、岸本のホームページがネット通販でT-シャツを売る店として紹介された。するとその月、初めて売り上げが100万円に達した。「ぎりぎりのタイミングで風が吹いた感じ。なんとかやめずにすんだ」。売り上げは伸び始め、年末には月の売り上げが200万円に達する。「もうそのときはネット通販のことで頭がいっぱい。親父に相談して独立することにしたんです」。
拠点を構えるために岸本が相談したのが、現在まぐまぐ(KRP4号館7階)の代表取締役を務める大川弘一だった。岸本と大川は共通の知人がいたことで何度か会っていた。大川は「五条七本松のところにある京都リサーチパークに入居しているんだけど、その中にスタジオ棟という安く借りられる場所がある」と答える。それを聞いた岸本は早速問い合わせの電話をかけた。


■見誤った売り上げ目標
97年2月にKRPスタジオ棟へ入居。4月に独立して会社を設立。会社名を「イージー」と名づけ、米国衣料のネット通販専門ショップとして事業を開始した。
会社を立ち上げる前の96年、岸本はT-シャツのネット通販で年間に1,000万円を売り上げた。会社となった97年は3,000万円に達した。「最初47万円で、1,000万円、3,000万円と増えた。当然、98年は5,000万円くらいの売り上げはいけるだろうと考えた」。
その98年。実際の年間売上高は3,300万円にとどまった。「事業をやめて別の商売をしたほうがいいんじゃないかと真剣に考えた。98年の売り上げに関しては挫折でした」。
「商品の見せ方に工夫を続けることができていなかった。それが、売り上げを伸ばせなかった大きな理由だった」と振り返る。岸本は翌99年、年間売上高5,200万円を達成した。


■プライベートブランドの立ち上げ
事業が再び軌道に乗り始めると、岸本の中に「プライベートブランドを立ち上げたい」という気持ちがふくらみ始める。「自分が最高だと思えるT-シャツを作って、着てもらいたい」。
生地の買い付けに自らアメリカへ飛んだ。生地加工から縫製の委託、配送の手配を済ませて2000年秋、イージーのプライベートブランド「nuts」を発売した。その後、縫製を日本で行うことに変更。米国産の丈夫な生地と、日本の正確な縫製が組み合わさったT-シャツが出来上がった。岸本はプライベートブランドについて「僕が思う最高のT-シャツだとは思うけど、みんながこれを買わなきゃいけない、とは思わないんです」と話す。従来どおり米国ブランドのT-シャツも販売する。
「大切なのは僕の考えを発信すること」。プライベートブランドを含め、どこに一長一短があるのかをウェブで丁寧に説明する。「商店主はすし屋のオヤジのようなもの。どこそこのすし屋になんとかというオヤジがいるから食いに行く。僕もお客さんに『岸本がこう言うから買うんや』と言われるようになりたい」。(敬称略)



■Company Profile
■有限会社 イージー
業種: オンライン通信販売
代表者: 岸本栄司
電 話: 075-315-8480
FAX: 075-315-8490
本 社: 〒600-8815 
京都市下京区中堂寺粟田町93番地
京都リサーチパーク・スタジオ棟D-207号
ホームページ: http://www.easy.ne.jp
事業内容: T-シャツやパーカーなど米国製衣料品のオンライン通信販売を手がける。およそ30の米国ブランドを取り扱い、 T-シャツだけでも10数ブランドの商品を販売。
2000年からは、プライベートブランドのT-シャツとして「nuts」を立ち上げる。米国製生地を輸入し、日本の縫製工場へ依頼して製作している。





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京都リサーチパーク(株) 営業部 営業企画室
TEL:075-315-8342 Fax:075-322-5348
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