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妊婦の健康管理を行うソフトについて、助産師と打ち合わせをしている時だった。


■洗面台は汚い
ふと思い出したように、その助産師が話し始めた。生まれたばかりの赤ちゃんがいる家庭に出産後のケアをしに行った時のことだ。「この前、赤ちゃんをおフロに入れることになったの。私が『洗面台にお湯を張って入れましょう』と言ったら、お母さんに『とんでもない』と言われちゃって。顔を洗ったりひげを剃ったりするから汚い、ということなのよね。でも、ベビーバスって後でお湯捨てたり、洗うのが大変。洗面台でも何かシートを敷いたら、きれいに使えるんじゃないかとは思うんだけど――」。
それを聞いたアクションケイ代表の阪部智子は答えた。「それだったら、水泳のキャップに使うようなゴムはどうかしら?」。「それはよさそうね。洗面台が使えれば、ベビーバスの置き場所に困らずに済むし、お湯もそのまま捨てればいいから手間もかからず簡単になるわね」。
2人は早速、電話帳で業種に「ゴム」と書かれたページをめくり、掲載されている企業に片っ端から電話をかけ始めた。


■男社会で育った
アクションケイは、1998年7月に阪部が設立した生活用品の開発会社だ。
阪部はもともと、工業炉メーカーで営業をしていた。女性の営業担当者が周りに1人もいないような環境の中で、関西一円を駆け回る営業をこなした。その経験が、阪部のフットワークの軽さを育む。95年に独立後、KRP4号館に入居していたソフト開発会社に「居候」をすることになる。同社のソフト営業を請け負う一方、自分の居場所となるデスクを借りた。
この時に売り歩いていたのが、病院など医療機関で看護計画を立てるための支援ソフト。ソフト開発会社に出入りしていた助産師グループが発案したもので、このグループとの出会いが、阪部の舵を大きく起業へと切らせた。独立はしていたが、自分自身が没頭できることを見つけるのが課題だった。助産師のグループと接するうちに、「女性らしい視点からのものの見方、現場を見ているからこそ出てくるアイデア」に共感を覚えた。会社を設立したのは、そうした女性の立場や医療・出産の現場からのアイデアを世の中に送り出したい、そう考えたからだ。「男社会で営業の職に身を粉にして働いた。私は営業のプロなんです。一方、助産師さんたちは、アイデアはあるけどそれを形にして世に出す方法を知らない。共感した部分が多いこともあって、やりたいことを見つけた、と思ったんです」。阪部は起業した当時をそう振り返る。
材料を提供できる企業を探し始めると、阪部の目に「医療用ゴム」と書かれた広告が飛び込んだ。すぐ電話してみる。担当者が2、3日もしないうちに駆けつけてくれた。2回目に会った時には図面を作成。矢継ぎ早に色やサイズ、洗面台への固定具設計などを決める。およそ1ヶ月半ほどで商品の雛型を作るという開発スピードだった。98年秋のことだ。翌99年1月には、製造業者の協力を得て量産体制を確立。4月に、京都にある赤ちゃん専門の通信販売会社を通じて販売を開始した。


■鳴り止まない電話
ところが、売り出した沐浴用シートが、思うように売れない。2,000枚分を製造してもらうよう業者に対して発注し、支払いも済ませていた。焦りが募る。
転機になったのは2000年2月、全国紙で沐浴用シートと女性起業家としての阪部が紹介されたことだった。新聞が発行されたその日、朝8時30分に会社の電話が鳴った。「沐浴用シートってどうやったら買えるんですか?」。それから夜の7時半まで、一本しか引いていない電話は鳴りっぱなし。「受話器を置いた途端にまた鳴る。朝から晩まで電話が一瞬たりとも途切れることがないんです。それが1ヶ月間、毎日続きました」。1,500枚ほどあった在庫がみるみるうちに減っていった。ところが、売れ出して3ヶ月ほど経った頃、一本のクレーム電話がかかってきた。
「普通に使っているのに、洗面台にシートを付けるための吸盤が取れてしまうんです」。原因は、シートの加工だった。従来、シートの製造会社に吸盤を付けるための穴加工までを委託していたが、加工工程だけをアクションケイが引き継いだ。独自に穴を開け、吸盤の部品を取り付けたが、強度が足りなかった。強度を保つように穴加工をすると共に、材質をポリウレタンに変えてみる。
ところがポリウレタンに素材を変更してみると、今度は価格が問題になった。阪部は当時、赤ちゃん用品を専門に扱う全国チェーン店舗に販路を確保したばかり。ポリウレタン製品の価格で小売ルートに乗せるには高すぎる。担当者にはそう言われた。
解決策は、天然ゴムとポリウレタンの「2本立て」作戦だった。小売流通に乗せるため、改めて天然ゴム素材を使った商品開発に取り組み、コストダウンを図った。商品の価格は3,600円から2,500円まで下げた。一方、耐久性を前面に出したポリウレタン製も商品化した。発売から4年。沐浴用シートの販売実績は累計3万枚に達した。
現在、一年に110万人の赤ちゃんが生まれているという。それに対してベビーバスは年50万個売れている。「まずは、年5万枚の沐浴シートを売ることが目標。そのためには、実際に使っているところを見てもらうのが一番です。どうやって見てもらうか、また試行錯誤を繰り返すんでしょうね」と阪部は笑う。(敬称略)



■Company Profile
■有限会社アクションケイ
業種: 乳幼児用品の開発・製造・販売
代表者: 阪部智子
電 話: 075-315-9006
FAX: 075-325-0044
本 社: 〒600-8815 
京都市下京区中堂寺粟田町93番地
京都リサーチパーク4号館3階ITEC
ホームページ: http://www.actionk.co.jp/
メールアドレス: staff@actionk.co.jp
事業内容: 看護師さんのためのパソコンソフトの販売・サポート
看護師さんのためのパソコン講習会
マタニティーのためのマルチメディアサポート
システムの開発・販売
乳幼児用品の開発・販売
シルバーエイジのためのおしゃれ用品の開発・販売





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京都リサーチパーク(株) 営業部 営業企画室
TEL:075-315-8342 Fax:075-322-5348
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