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1996年4月。1人の若者が「ITEC」にやって来た。
ITECはKRP4号館3階のフロア半分を小分けにして貸し出す、創業企業向けのブースだ。


■退職金変わりに1台のマック
若者の名は大川弘一、当時25歳。大学を中退して全国を放浪した後、京都人の風情に魅せられてこの街に住みついた。伏見にある酒販店向けコンサル会社のWEBサイト立ち上げプロジェクトを終え、前の月に辞めたばかり。退職金代わりにもらったマッキントッシュパソコン1台を抱え、その置き場所兼仕事場を探していた。たまたま、先にITECに入居していた知り合いの起業家のブースの隅を、借りられることになったのだった。いわゆる「居候」である。当時のITECには、他にも“居候起業家”がいた。先輩起業家を頼って若者が芋づる式に集まってくる。居候起業家がKRP内の住所を名刺に刷って配っても、大家側も目くじらを立てない――。そういうオープンな雰囲気があった。大川は数ヶ月後にKRP(株)から直接オフィスを借りることになるが、そのときには既に大家側との信頼関係が出来ている。スムーズに入居することができた。畳4枚分の2坪ブース。大川はさっそく仲間のネット起業家を引き入れる。その中には、現在KRP4号館に入居しているスマートテクノロジーズの織田明俊らも居た。大川は、「同じダンボール内のホームレスのようなものでしたね」と当時のブース生活を振り返る。大川とKRPとの縁はこうして始まった。


■愛想の悪さに好感
大川は入居後間もなく、2歳上の1人の若者と出会う。ITECの真向かいにオフィスを構えるソフト開発会社、アイアールディー社長、白石岳だ。白石は京大法学部の重鎮で知的所有権に関する権威である京大名誉教授、北川善太郎の直弟子。幼い頃からのコンピューター好きが高じて大学院時代にソフト会社を起業した。その際、北川が理事長を務め、KRP4号館3階に事務所を構えている財団法人比較法研究センターの一角に入居していたのだった。4号館3階の中央部にはソファーが1セット置いてある。入居企業の経営者やスタッフが、商談や歓談、仮眠と、あらゆる用途に使う場だ。ある日、ソファーで座り合わせた大川と白石は、型どおりの挨拶を交わした。「今度、こっちに来ました」「あ、ども」。「愛想がわるくて好感を持ちました」。大川はその時の白石の第一印象をこう振り返る。白石は当時、パートナーの西村昌明とともに、インターネット接続プロバイダー(ISP)事業への参入を狙い、別会社のネットアイアールディーを設立していた。最初はごく一般的なダイヤルアップ型のプロバイダーも志向したが、ほどなく「4号館専門」のプロバイダーに焦点を絞る。館内専門なら、社内LANをそのまま延長して線を張ればいいから、公衆回線を介さず低コストで超高速の常時接続回線を供給できる。当然のように、大川をはじめITECに入居・居候している若い起業家たちが最初のターゲットになった。「超高速回線いりませんかあ」。白石は、半ズボンにサンダル履きという定番スタイルで各ブースを覗いては、セールスに歩いていた。深夜の4号館では新しい客が決まるたびに、ユーザー、プロバイダーがともに天井やOAフロアの床をめくり、LANケーブルを張るという光景が繰り広げられた。


■手作りの常時接続環境
この常時接続環境こそが、のちに世界最大のメール配信サービス「まぐまぐ」を生む苗床になる。大川はメーリングリスト(電子メールを使うネット上の会議室システム)を駆使して、自分の“ポジション”探しを始めた。常時接続環境で、四六時中メールを書き、ホームページを更新し続けた。そんなとき、インターネットビジネスについて語り合うメーリングリスト上に、ある提案が流れた。提案の主は、後に大川とともに「まぐまぐ」の創業メンバーとなった深水英一郎。自ら開発した個別メール配信システム「X-mail」をベースに、誰でもメール雑誌を発行できるサービスを提供しようというアイデアだ。それにただ一人手を挙げたのが大川だった。97年1月、深水が手がけていた「えふりぺ」をはじめ17誌、総読者数10000人で、「まぐまぐ」はスタートした。名前は「マガジンマガジン」から取った。運営主体は大川の会社、ユナイテッドデジタル。「まぐまぐ」は爆発的なヒットになった。1年2ヶ月後には登録マガジン数が1000誌を突破。98年末には5,708誌、月間の総配信部数は3000万通を超えた。ネットアイアールディーの白石と西村は、配信サーバーの増強と配信ルート確保に寝食を忘れた。白石が大川に出した条件はただ一つ、「腹一杯のコーラ」だったという。大川、白石、深水の共通項は、もともと文科系だということ。技術の側からでなく、「やりたいこと」から考えて行動していた。まぐまぐの動きを横で見続けてきたある企業の技術者は、「純粋の技術者だったらやらなかった。できるわけがないと、早々にサジを投げていたでしょうね」と語る。


■まぐクリック上場へ
深水が生み、大川がビジネスモデルを創り、白石、西村が支えた「まぐまぐ」は、その後、99年1月に満を持して法人化。株式会社まぐまぐ(大川社長)となった。同年9月にはユナイテッドデジタル、ネットアイアールディー、ジャスダック上場のISP会社、インターキュー(現GMO)の3社合弁の電子メール広告会社として「株式会社まぐクリック」を設立する。そして、まぐクリックはわずか1年後の2000年9月にナスダックジャパンに上場。大川は一躍、ネットベンチャーの旗手として注目を集めることになった。「まぐまぐ」が火付け役となったメール雑誌は「メルマガ」として日本語に定着し、2001年6月には首相官邸が「小泉内閣メルマガ」を創刊するに至る。KRPの自然体文化が生んだ小さな出会いは、社会全体を変える大潮流に育った。(敬称略)



■Company Profile
■株式会社まぐまぐ
業種: 情報・ソフト開発
代表者: 大川弘一
電 話: 075-315-9144
FAX: 075-315-8560
本 社: 〒600-8815 
京都市下京区中堂寺粟田町93番地
京都リサーチパーク4号館7階
ホームページ: http://www.mag2.com/
メールアドレス: koho@mag2.com
事業内容: メールマガジン配信サービス「まぐまぐ!」、
有料コンテンツ配信サービス「まぐまぐプレミアム」
懸賞サイト情報紹介サービス「懸賞のまぐまぐ!」
メールで届くビューティー&キャリア情報「まぐまぐア・ラ・モード」
携帯向けメールマガジン配信サービス「ミニまぐ」の運営・管理。





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TEL:075-315-8342 Fax:075-322-5348
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