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開催レポート「Move On Vol.2」 社会課題を解決する未来思考のビジネスアイデアを考える ー2030年 未来のあたりまえを創ろう!ー(9/10~11)終了

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2019年秋に第1回を開催し、好評のうちに終了したMove On。学生や企業からの熱いメッセージを受け、第2回目を2020年9月に開催しました。

テーマは「社会課題を解決する未来思考のビジネスアイデアを考えるー2030年 未来のあたりまえを創ろうー」。京都市内の大学生を中心に16名が集い、全4チームを結成し、アイデアソンに挑みます。

当初はKRPでの開催を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、急遽オンラインの開催となりました。

学生と企業がアイデアを共に創出する「Move On」

「Move On」は2019年秋に、KRPがスタートした企業と学生による共創プログラム。参画企業が提示したテーマに対して、学生自身が課題を設定、それを解決するアイデアを創出することで、企業と学生が共に未来のビジネスアイデアを作っていくことを目指す企画です。第2回目となる今回は、KRP OPEN INNOVATION CLUB会員である「大日本印刷株式会社」さまと、「シャープ株式会社」さまが企業として参加し、「2030年 未来のあたりまえを創ろう」をテーマに開催しました!

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ファシリテーターとしてVoice4u株式会社 取締役の近藤令子さん、KRPメンターとして元シャープ㈱ 執行役員の江川龍太郎さんとKRP 井上雅登が学生の活動をサポートしました。

アイデアソンDay1:2030年の未来を想像し、アイデアを考える

1日目、まずはアイスブレイクからスタート!2日間の決意表明を個人とチームで考えながら全体シェアしました。

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その後は、さっそくチームに分かれてテーマになっている「2030年」をリサーチ。未来年表を参考にしながら、未来を想像します。描いた未来は、「誰に関することか」「どんな場面か」「具体的にどうなることか」の観点から、描いた未来を深掘り。また「解決すべき課題」の要因や「提供する価値」の要因を洗い出し、課題解決のアイデアを考えました。

中盤には、特別ゲストとして、低予算で飲食店の開業と土地の利活用ができる「STAND3.0」などのサービスを提供する株式会社Replace中谷丞さんをお招きし、7分間のピッチを行っていただきました。

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実際にサービスを提供している中谷さんのお話に、学生は刺激を受けたよう。それぞれのチームにアドバイスも頂き、熱量が一気に高まりました。興奮さめやらぬまま、午後からは2日目の最終発表に向け、チーム活動に企業メンターが入りアイデアのブラッシュアップをしていきました。

企業メンターから、学生のアイデアに対してヒントとなるような自社製品や技術について惜しみなくアドバイス頂いたことで、より実現可能性の高いアイデアに。学生からも「キャッシュポイントの作り方など、ビジネスで考えるべき基本を学べた」という声も聞こえてくるほど、大きな学びの時間になりました。

アイデアソンDay2:アイデアをビジネスサービスに実装

2日目は引き続き、チーム活動中心にアイデアをブラッシュアップしていきます。企業メンターはチームに入り込んで学生のメンタリング、ファシリテーターとKRPメンターは、状況を見ながら適宜アドバイスをして、ビジネスビルディングを進めていきました。

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最終発表は、オンラインながら画面越しに熱量を感じれる時間となりました。生まれたアイデアはどれも2030年にどんな未来を望むのか、真摯に課題に向き合ったからこそ生まれたものばかり。「受賞チームを選ぶのが難しい」と審査員が悩むほど、どれも未来の当たり前になっていて欲しいと願うアイデアでした。

受賞チームは下記の通り。

<DNP賞> どんぐり民主主義共和国

簡単に食べたいものが手に入る時代、食を通した家族団欒のつながりが生まれにくくなっている。食卓に愛を届けるため、画像や文字をソースや植物性インクを使ってオブラートにスマホから印刷でき、家族にメッセージを伝えられるサービスを提供。素早く手軽に親子のコミュニケーションのきっかけを作る。

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<SHARP賞> 夢見る学生

高齢化が進む中、健康面に不安を覚えたり孤独を感じる人が増えている。そうした課題に対して、高齢者のコミュニティづくりのマッチングをテクノロジーで解決する「いつでもドクター」を提供。高齢者が生きやすい社会づくりに繋げる。

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<KRP賞> rainBow

LGBTQ、身体障害者など差別意識に悩まされ、自己表現がしずらい人がいる。差別がなく、誰もがいきいき生きられる未来を目指すため、リアル空間とバーチャル空間で自己表現を行うファッションイベント「rainBow Show」を開催する。

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<KRPメンター賞> スポンジジョイ

自動運転車は購入費用は、高齢者によってハードルが高い。そこで完全自動運転のパーソナルモビリティを呼び出して使える、新しいシェアリングサービスを開発。脳内に埋め込んだチップを用いて呼び出すため、老眼で見えない、耳が遠くて聞こえない問題を解決。出掛けたい時にいつでも呼び出すことが可能になる。

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アイデアソン初心者も、企業就職を考える人も参加しやすい

こうして、オンラインながら熱量の高い2日間となったMove On。最後に、参加学生とファシリテーター近藤さんのコメントをご紹介します。

▼参加学生 Hさん(立命館大学/所属チーム:夢見る学生

Move Onは、大学のサイトで知りました。ちょうど就職活動中なこともあり、新しいことに挑戦してみようかなって。Move Onの2日間は、まるでマラソンのように集中して濃い時間になりました。コロナの影響で、大学の授業がオンラインになり、同世代と一緒に物事を考える機会が激減しています。オンライン開催ではありましたが、じっくりとコミュニケーションを取れたことは、とても刺激になりましたね。

期間中アイデアが煮詰まり、堂々巡りになるなど、苦しい時間帯もありました。そんな時に支えとなったのは、ファシリテーターの近藤さんやメンターの江川さんの後押しです。ディスカッションに入ってもらうことで、自分たちだけでまとめきれないことを整理してもらったり、新しいアイデアや視点をもらったりして、前に進んでいくことができました。企業メンターの方も、とても親身になっていただき、助けてもらうことが多かったです。特に大日本印刷の荻野さんには、お父さんのように優しく接していただきました(笑)

一番の学びは、物事に対する価値基準が人によって異なり、それがビジネスアイデアになることに気づけたことです。主にチームでのディスカッションでしたが、同世代でも考えが全然違って。きっと年齢や性別などが違えば、もっと違いが出てきます。自分にはない考えを欲している人がいて、うまく擦り合わせることがビジネスアイデアになるのだと思います。

Move Onに参加するまで、アイデアソンは起業したい人が参加するものと思っていましたが、実際は企業就職を考える人もウェルカムな場所です。ビジネスアイデアを考える経験は、就職後もどこかで役に立つはず。だからアイデアソン初心者も、就活中の学生にも、気軽に参加してほしいです。

▼参加学生 Kさん(京都工芸繊維大学/所属チーム:スポンジジョイ

第1回目のMove Onに友人が参加していて、アイデアソン初心者でも楽しめそうだったので、思い切って申し込みました。

大学の授業でも、ビジネス提案をすることはあります。しかし、ほとんどが利益が出たり、顧客を増やしたりする現実的な提案。今回のテーマは10年後の未来を想像することなので、苦労しました。スタッフのみなさんに「夢をもっとみてください」と言われたことが、心に残っています。学生だけでは殻を破れなかったので、大日本印刷さんとシャープさんから実際に使われている技術を教えてもらい、アイデアを膨らませていきました。大人が否定せずに、明るく意見を言える関係性を作ってくれたから、想像力を高められたと思います。

Move Onの一番の学びは、明るい雰囲気づくりです。オンライン開催ということもあり、表情や感情が読み取りにくいのではなかと心配もしていましたが、スタッフのみなさんはいつも笑顔で接してくれて安心しました。そのおかげで、一人ひとりが楽しく、意見を言いやすいグループワークにつながったと思います。

また、同じ場所で作業ができない分、事前に、参加者の自宅へお菓子の詰め合わせを送ってくださったことも嬉しかったです。しんどい時間帯も、お菓子を食べて気分転換できましたし、離れていても一緒に頑張っている感じがありました。

今まで現実的なアイデアばかりを考えていましたが、Move Onに参加してからは、街を歩いていても、「10年後はこうなるのかな?」と想像するようになったのは大きな変化です。

アイデアソンは、アイデアを出すのが好きな人や理系の人ばかりでもダメ。いろんな人がいるからこそ、面白いし、一人では考えつかない未来を想像することができます。Move Onは、初心者がチャレンジしやすい場なので、ぜひ他の学生にも参加してもらいたいです。

▼ファシリテーター 近藤令子さん(Voice4u株式会社 取締役)

参加学生のみなさん、2日間お疲れ様でした。当初、自由にアイデアを出せるのだろうかと、オンライン開催の限界を不安視していました。しかし、学生のみなさんは、社会の課題に対して真摯に向き合い、自分たちの身の回りだけではなく、高齢者や地方在住者など、日本全体が抱える課題に対して優しさと思いやりを持って、アイデアを考えてくれました。

Move Onの良いところは、学生と企業が寄り添える機会を持てることです。企業さんもそれぞれ人生経験を積まれた方々。ビジネスマンとして働いている深みやアドバンテージがある中で、おしみなく自社の技術やノウハウを伝えながら伴走してくれます。

日本各地でハッカソンやアイデアソンは開催されていますが、Move Onのように心が通じ合うビジネスイベントはあまりありません。学生と企業が共創することができるMove Onは、まさに求められている価値だと思います。

私は2001年、仲間と共に「はてな」を創業しました。私以外に圧倒的なリーダーがいて、その人の夢を叶えるために一生懸命でした。当時まだインターネットの企業は少なく、はてなのメンバーだけで会社を成長させることができました。だから、良いサービスを仲間で考えて作れば成功するんだと信じていました。

でも、Move Onに関わらせていただいて、学生や企業、老若男女さまざまな人が混ざり合うことで、共に社会を動かすサービスを作れるのだと気付きました。そうした学びを得られたMove Onは、私にとっても成長の場になっています。

尊敬する起業家に、ライフネット生命を創業した出口治明さんがいます。彼は、現代の知恵の巨人と呼ばれるほど本好きなのですが、その彼が「人間が成長するには旅と人と本である」と話しているよう。普段行かない場所に行くこと、さまざまな人に出会うこと。先人からの知恵によって、私たちは成長できます。

学生にとって日頃訪れることのないKRPに行くことは、まさにいろんな人に出会い、企業をつくってきた先人の知恵に触れる機会です。Move Onは、成長に必要なエッセンスを凝縮し、味わうことのできる時間。自分を成長させたい学生には参加してもらいたいですし、新しい価値観を得たい企業もぜひ参画していただきたいです。

Move Onについてのお問合せ

KRP OPEN INNOVATION CLUB 事務局(innovation@krp.co.jp)まで、お問合せください。

お問い合わせ

e-mail : innovation@krp.co.jp
京都リサーチパーク株式会社 イノベーションデザイン部