2018/01/27

【トレードグループ】野菜の価格安定を流通改革で実現

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(未来想像図です)

社会構造や消費者ニーズの変化と野菜供給とのギャップに着目

日本の農業問題を「流通」から斬り込み、ビジネスとして成功しているトレードグループ。社長の稲田信二氏は「青果流通で一番大切なポイントは物流の機動力です」と明言する。創業以来、年間約10%の成長を続け、新たな事業展開を進めつつある同社の事業戦略や成功のポイント、今後の事業展開について聞いてみた。

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株式会社トレード代表取締役社長 稲田 信二 氏

日本の農産物はおいしいし技術レベルも高い。農業は効率化さえ進めば期待できる産業になると、IT化やグローバル戦略による農業ビジネスに取り組んできた同社。稲田社長はもともと野菜の流通に携わっていた経験から、旧来の卸売市場を組み込んだ複雑な供給体制と多様化する消費者ニーズとのギャップを解消することを考えた。「今日は少量で高く、明日は大量で安い。品質にかかわらず高かったり安かったりする。これっておかしいでしょう?」と素朴な疑問を投げかける。

生産から小売りまで青果流通のバリューチェーンを構築

そうした野菜の供給量や価格を流通改革で安定させることを目的に、2001年(株)トレードを設立。需要に対する野菜の供給バランスを図る新しい流通システム「転送事業」に乗り出した。京都中央卸売市場に近く、IT企業が集結していて協働しやすい点やベンチャー支援が受けられるメリットなどからKRP地区に入居し、事業をスタートした。

(株)トレード設立の翌年、仲卸への転送事業を行う(株)ディールとグループ全体の配送を担う(株)クルーズを立ち上げ、野菜の取扱量を一気に増加。また2006年には川上と川下への事業拡大のために、野菜工場を営む(株)スプレッドを設立。自社ブランドのレタス〈べジタス〉を製造販売するほか、京野菜の生産者をつないだ自社ブランド〈洛市〉で卸売を通さない小売事業を関東中心で展開、生産から消費に至るバリューチェーン全体を対象に事業の多角化を進めてきた。

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目先の利益にとらわれない中長期的視野で「壁」を突破 

半世紀近く続いてきた青果流通を改革すべく、真向から挑んできた稲田氏は、当初アウトサイダーとみなされ事業拡大が思うように進まなかったという。しかし「事業の方向性さえ間違わなければ、解決策は必ずある。『壁』に当たった時、いかに上司や経営者がリーダーシップをとって現場と一丸になり、解決に取り組むかがポイントです」と説く。好業績の要因は、短期的な利益を追求するのではなく、中長期的な視点で業界に変革を起こし自らトレンドをつくることに力を注いできたこと。つまり「儲かるか」ではなく「必要とされるか」を基準としてきたからだと振り返る。

事実、(株)スプレッドの亀岡工場は6年間赤字が続いたが、その間のマイナス面はほかのグループ企業が支え、徐々に研究開発や栽培管理の成果が現れて歩留まりが向上、ついに黒字化を達成した。工場建設に反対だった地元住民との関係も改善したという。

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(天候に左右されない安定した野菜の供給を低コストで実現する自動化工場テクノファーム。新たに稼働する「けいはんなテクノファーム」では1日30,000株のリーフレタスを生産。「きちんとした野菜を正当な価格で届けたい」というトレードグループの想いを具現化する新しい"夢"の実験場だ。)

M a d e i n T e c h n o F a r m

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TRADE_Kameoka_66.jpg(株)スプレッドの亀岡工場

「野菜の総合商社」を目指して新たなテクノファームを建設中 

現在1日800トンの野菜を扱い、売上額が337億円(2017年3月)に達する同社。

自社ブランド〈 ベジタス〉は1 0 0 社 約2300店舗で販売される。今後も生産から消費までのバリューチェーンを構築するため、ブランディングを軸とした事業を展開、「野菜の総合商社」を目指して、ジョイントベンチャーモデルも推進し多角化を進めていく。(株)スプレッドによる植物工場プロジェクトでは、2018年夏以降の稼働を目指して新工場「テクノファームけいはんな」を建設中。自動化をさらに進めて販売価格を下げ、〈ベジタス〉ブランドをさらに普及させる計画だ。この10年の集大成でもあり、国内フランチャイズのマザー工場としての役割を担っていく。海外展開や外食や加工食品事業なども視野に入れている。「私にとっては農業ビジネスが難しいという感覚はない」と、稲田氏は力強く語った。

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(生産性を高めるためELD照明や自動化システムを自社開発)

天候に左右されない安定した野菜の供給を低コストで実現する自動化工場テクノファーム。新たに稼働する「けいはんなテクノファーム」では1日30,000株のリーフレタスを生産。「きちんとした野菜を正当な価格で届けたい」というトレードグループの想いを具現化する新しい"夢"の実験場だ。

「KRP PRESS152号(2018年1月発行)より抜粋」

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