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第32回 宇治ベンチャー企業育成工場セミナーレポート

『顧客の信頼アップで売り上げもアップ』

〜メディアが記事にしたいと思うプレスリリースのポイント〜

115日上記のタイトルで講師に株式会社PRリンク 代表取締役 神崎英徳氏をお招きして、広報セミナーを開催した。セミナーの要旨を以下のように纏めてみた。

マスコミで取り上げられることを目指すのは顧客の「安心感」「信頼」を高めるため

冒頭に講師の神崎氏が示したのは、消費者の重要度ランキングと無名サイトにおける購入不安要因のグラフであった。意外なことに前者の1位は、信頼できることであり、2位は、安心できることであった。同様に後者では、10万円以上の買い物をオンラインショップで行う際、無名サイトでは70%もの人が不安に思っており、やや不安を合わせると実に、88.6%にも上るのだ。これは、いくら良い商品を安く提供することが出来ても「知らない」ところからはものを買わないということを意味している。つまり、マスコミに取り上げてもらうといのは、その壁を取り除くというが重要だと言うのだ。

 

メディア掲載(記事)の売り上げ向上効果とは

では、メディアに紹介されるとなぜ、どのように売り上げが向上するのだろうか?神崎氏は次のように分析出来るという。

アクセス(来客)数×転換(購買)率×顧客単価

アクセス(来客)数は、紹介されると直後に急激に増える。しかし、放っておくとすぐ元に戻るので、SEOやSNSなど定着化する努力が必要となる。
転換(購買)率は、単発の広告では限界があり掲載実績をPRすることにより効果が持続するのだそうだ。
顧客単価は、高いものでも安心して買えるのでややアップする。単発の広告では限界があり、この部分の効果も見込める。

但し、ブランディングを行わないと効果が一時的に終わってしまう懸念がある。つまりメディア掲載は、売り上げ拡大のゴールではなく、スタートに過ぎず、常に露出を高め、販売する商品、製品の中身を充実させる努力が必要だということだ。

 

広報(記事)と広告・宣伝の違いとは

【広報】
情報の印象:客観的
表現方法:(第三者が書く記事は)比較的自由 ※プレスリリースは別
情報の信頼性:強い(記事面掲載) 効果は広告の3倍
費用:あまりかからない(一人のコストで100万人に伝わるかも)
記事への関与:チェックできない
確実性:掲載されるか不確実
反復性:同じ情報は一度きり

【広告・宣伝】
情報の印象:主観的(自分の口で言う)
表現方法:(当事者が書く広告は)規制が多い
情報の信頼性:弱い(広告面掲載) ※飛ばしも多い
費用:かかる(100万人なら100万人分のコスト)
記事への関与:チェックできる
確実性:確実
反復性:繰り返し可能

上記は、神崎氏が広報と広告・宣伝の違いを整理したものである。

いままでに述べているように広報は、広告と比べると情報の信頼性が高い。反面、記事内容が原則チェックできないことや掲載されるかどうかが不確実であるなどのデメリットもある。このため、広報と広告をうまく組み合わせることが費用対効果の点で重要となってくる。

 

メディアに取り上げられるために必要なプレスリリース

まず、一回のプレスリリースで記事に取り上げられることは至難の業だというのだ。よっぽど画期的な新製品や革新的なサービスであれば別であるが、まず編集者、記者の認知度、好感度を上げる活動が必要なのだという。そのためには、中期的目標(1年以内位)としてメディア認知度を高め、長期的目標(1年以降位)で顔の見える関係を作ることがまず重要なのだという。時間を掛けて広報に熱心な企業だという良いイメージを植えつけることが重要で、すぐに諦めてはいけないということだ。

また、記事になるプレスリリースを書くにはちょっとしたコツも必要なのだそうだ。例えば素材を70点、書き方を30点合計100点で評価するとするなら素材が40点では話にならないが、50点程度でマスコミが関心を持つ素材であれば、マスコミの関心のある切り口で適切にまとめれば十分に掲載の可能性があるという。

マスコミが関心を持つ素材とは、一口で言えば社会性、独自性、新規性、季節性、トレンドを持つもので、書き方としては、客観的な事実の積み重ねで伝えることが重要なのだそうだ。そのためには、すごい、新しいなどの形容詞的表現をさけて具体的な数値(それも知らない人が読んでも分かるような評価軸で)を使って表現することが大事なのだそうだ。

その他には、HPの整備を心がけるべきだそうだ。いくら記者が関心を持ってもリリースしている内容がHPで公開している情報と異なっている場合などはいくらプレスリリースの内容が良くても掲載されないことがあるそうだ。また、社長の顔、会社の方針などが見えずらく広報に不慣れとのイメージを受けるのもマイナス要因になるという。また、サイトが見つかりにくい、商品が見つかりにくい場合などは記事が掲載されても売上に結びつかないケースがあるという。

 

メディアに取り上げられるのは目的ではなく結果

最後に神崎氏がまとめとして仰られた、「メディアに取り上げられるのは目的でなく結果です。取り上げられるために無理やり良く見せたりしても一時的な話題にしかならず長続きしない。社会に求められる企業になれば、ありのままを伝えればメディアは取り上げてくれるし、実際の姿であれば長く消費者に支持されます。」この言葉はとても印象に残った。

以上

 

■講師: 株式会社PRリンク 代表取締役 神崎英徳 氏

■主催:宇治市、京都リサーチパーク