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第17回宇治市産業振興センター・宇治ベンチャー育成工場経営セミナーレポート

9月20日(木)に17回宇治市産業振興センター・宇治ベンチャー育成
工場経営セミナーにおいて、イースリーパートナーズ社労士事務所
特定社会保険労務士 深津 敬氏を講師にお招きして『明日から会社を
変えるための就業規則変更実務』のタイトルで講演を行なって頂いた。

講演のポイントを以下のように纏めてみた。

モデル就業規則は、最低限の労働条件を定めているだけ

就業規則とは、以下のように定義されている。
常時10人以上の労働者を使用する使用者は就業規則を作成し、労働者
の代表(当該事業所の労働者の過半数で構成された労働組合または過
半数労働者から選任された代表者)の意見を聴いて、所轄労働基準監督
署に労働者代表の意見書を添付して届け出ることが、労働基準法により
義務付けられている(第89条、第90条)。
就業規則に必ず定めなければならない事項として、次のものがある。

1. 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、就業時転換に
関する事項。
2. 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の
時期並びに昇給に関する事項。
3. 退職に関する事項(解雇事由を含む)。

モデル就業規則には、これらのことしか謳っていない。つまり本当に重要
で、労使が約束しておくべきことが抜け落ちていることが多いと深津氏は
言う。

家族的経営の崩壊が中小企業を苦しめる

かつては、就業規則は労働基準監督署に対抗することを念頭に作成し
ていた。ルール通り就業規則を作っていれば、記載されていないことは労
使が話し合いで決めればそれでよかった。
しかし、現在では中小企業の家族的経営が崩壊し、労使の紳士的話し合
いでは問題が解決しない。弁護士や労働組合がインターネットを使って労
働問題に力を入れていることも影響している。つまり、民事上の争いが起
きても困らないような就業規則の作成が必要だということだ。

労働法を専門とする弁護士は20%に満たない

非常に驚いたのが、深津氏が言うには労働法専門の弁護士は、20%に
も満たないというのだ。この中には、労働者側でしか仕事をしない弁護士
も含まれているので、本当に労使双方のことを考えて問題解決に努めて
くれる弁護士は、限られているということだ。そうすると、就業規則に書か
れていないことで問題が発生すれば、経営者は圧倒的に不利になる。
このことからも、あらかじめ労使間で問題になりそうなことは、就業規則で
定めておかなければならないということがよく分かる。

本当に重要なのは、就業規則を作ることではなく実態を改善すること

今回のセミナーでは様々なトラブル事例を挙げて就業規則の重要性に
ついて教えて頂いた。事例については、生々しく詳細は割愛するが、驚く
ほど労働上の問題が民事でのトラブルに発展していることが再認識された。
講演の最後に深津先生が「就業規則を正しく作るのが重要なのではなく、
実態がどうなのか?これを改善することの方がより重要だ。」とおっしゃって
いたのが印象的だった。
中小企業では、過去の経緯や経営上の問題から就業規則が、実態にそぐ
わないケースが多く見られる。こういったケースでは、実態に合わせて就業
規則を無理やり書き換えるのではなく、実態が労働条件としてどうなのか?
ということをまず考えろということだ。そのうえで、問題があるのであれば
まずそこを少しでも改善したうえで、就業規則として新たに定める場合は、
しっかり説明して労働者が納得ずくで、改定しなければならないということだ。

今回のセミナーを通じて感じたことは、
『就業規則とは経営者と労働者がお互いに納得して取り交わす約束であり、
その約束を守る事こそが会社をよりよくすることに繋がる。』
ということだ。

 

■講師
イースリーパートナーズ社労士事務所
特定社会保険労務士
深津 敬 氏

■日時:9月 20日(木) セミナー  14:00~15:30
経営相談会 15:30~
■会場:宇治市産業振興センター 1階 多目的ホール
(宇治市大久保町西ノ端1番地の25 )
■定員:30名
■費用:無料
■主催:宇治市、京都リサーチパーク�