今年で4回目となる今回のシンポジウムは、紀伊半島に大被害をもたらせた台風が接近して交通機関が乱れる中、
東京方面からも含め、シンポジウムに115名、交流会に70名の方にご参加いただきました。
関係者の方ならびにご参加いただきました皆様には、この場をかりてお礼申し上げます。ありがとうございました。
【シンポジウム】
京都大学再生医科学研究所 田畑先生より、本シンポジウムは、再生医療を判りやすく紹介することが目的であるが、講演者が一方的に伝えるのではなく会場からも積極的に質問等で参加し、言葉のキャッチボールができるシンポジウムにしたいとご挨拶がありました。続いて、再生医療は細胞を元気づけ、自然治癒力を高めて病気を治すことであり、そのために(1)細胞の家、(2)細胞の食べ物、(3)細胞に食べ物を与える仕組み(DDS)という3つの「モノ」をつくる技術が必要であるというオーバービューがなされました。

次に基調講演として、(独)理化学研究所発生・再生科学総合研究センター高橋先生より、専門であるiPS細胞を用いた網膜再生医療研究を中心に、幹細胞を用いた再生医療がどこまで行われているのかについて、紹介がなされました。

続いて住友ベークライト(株)福島部長より、細胞培養器具を中心に、企業として再生医療分野へはどのようなアプローチで製品開発を行っているのかについて、紹介がなされました。
午後の最初は、近畿大学医学部磯貝先生から臨床医として実験に必要な道具の入手方法について紹介の後、田畑先生を相手にお互いの立場から再生医療の現状認識と産業化に向けた戦略についての対談が行われました。この中で、再生医療に役に立つモノづくりを進めていくためには、実験に有用な試作事例を増やし、それらが臨床研究で使用できることが確認できたらビジネスとして進めていくことを考えていくべきだといった産業化に向けた戦略が示されました。
続いて、経済産業省 生物化学産業課 斉藤課長により、「再生医療の実現化ハイウェイ構想」や「再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)」の概要について、大阪大学大学院工学研究科紀ノ岡先生より、細胞の自動継代培養が可能なフレキシブル・モジュール型プラットフォームや細胞シート積層化システムについて、(独)国立成育医療研究センター再生医療センター梅澤部長より、細胞治療には医師法の下に行われるものと薬事法の下で行われるものがあること、細胞製品の品質管理は工程を検証する場合と生産物を検証する場合があることについて、(公財)神戸国際医療交流財団国際医療開発センター吉川先生より、再生医療のモノづくりにおける薬事法の申請の流れについて、各講師からそれぞれの専門分野の情報の紹介の後、本シンポジウムのメインとなる専門家と参加者との意見交換(パネルディスカッション)に移りました。
専門家と参加者との意見交換(パネルディスカッション)では、企業と研究者との接点をどのように得るのか、初期の資金をどこから得るのか、利益を得るまでのシステム作りや、市場マーケットの把握のしかたといった製品化に向けた問題点等について、会場からの質問を交えながら活発な議論がなされ、大企業が取り組まないニッチな需要はあるので、中小企業であっても国の補助等を得ながらまずはこの再生医療分野に参入しておくことが重要だといった意見が出されました。
【交流会】


【事務局の感想】
台風の影響で、前日より参加者の方々から開催についての問い合わせがあり、キャンセルも何名か出て迎えたシンポジウム当日。
朝から雨風が激しくお足元の悪いなか、会場にご参集いただきました。台風の東進にともなって、新幹線、飛行機共に運休となったものの、シンポジウム終了後の夕方頃の京都は、台風一過の青空。
東京方面へ帰られる方々へは交通の便についてアナウンスをするも、「帰れるところまで帰る」との言葉を残して会場を後にされた方々も数名いらっしゃった為、無事に帰宅されたのかどうか心配でした。後日お聞きするところによると、やはり大変な思いをしながら帰られたとの事。
このような思いをしてまでシンポジウムに足をお運び頂き、熱心に耳を傾け、「勉強になった」「大変役にたった」「よく理解が出来、今後共続けて欲しい」「この分野は素人だが、モノづくり企業に対してもわかりやすく、非常に参考になった」とのお声を頂き、心から感謝しております。
何点か参加者の方からご要望を頂戴していますので、次回開催の際に参考とさせて頂き、来年以降も開催を続けていきたいと思います。
ありがとうございました。