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平成26年度 専門家との直接意見交換シンポジウム in KRP Part

ホンネで語る再生医療機器・材料ビジネス−再生研究・治療へのモノづくりの挑戦−

「再生医療」はアベノミクス成長戦略でも重点分野に位置付けられ、その実用化に向けて「iPS細胞ストックの整備」が始まったほか、iPS細胞を使った網膜再生医療の臨床研究やiPS細胞を用いた再生医療製品の販売を目指した動きも報じられています。

政府も医学研究の司令塔となる「独立行政法人日本医療研究開発機構(日本版NIH)」の設立、iPS細胞などを用いた再生医療製品を早期に承認する改正薬事法や細胞培養を医療機関以外にも認める再生医療新法の制定など、企業の開発意欲や投資意欲を高める施策を打ち出しています。また、再生医療を欧米よりも早く実用化できる環境が整ってきたこともあり、海外の有力ベンチャーが再生医療製品の開発拠点を日本に設ける動きもあります。このように、平成26年度は、まさしく「再生医療の産業化」元年になりそうです。

細胞が持つ自然治癒力を利用した再生医療(再生治療)の実用化のためには、再生医療を科学的に支える再生研究(細胞研究と創薬研究)の進展が不可欠です。即ち、細胞の状態や能力を調べる、細胞の能力を引出し高める、細胞を元気な状態で維持する、そして細胞を応用するための研究が重要であり、これら研究には、培養や観察、評価のための材料やその加工、理化学・医療機器といった「モノづくり技術」が必要不可欠です。

7回目を迎えます今年のシンポジウムでは、再生医療分野の第一線で活躍されている研究者や、再生医療関連製品の開発にチャレンジしているモノづくり企業に加え、国の産業政策の担当者や規制に関する専門家をお招きし、「再生医療(再生医療機器・材料)ビジネス」の現状と課題、将来に向けたビジネス展望とモノづくり企業のあるべき姿、政府が実施すべき政策について、参加者も交えて、「ホンネ」で意見交換を行う予定です。

 

開催後記

今年のシンポジウムは、昨年を上回る約200名の参加者によってサイエンスホールが文字通り満席となり、非常に活気あふれるものとなりました。

 

午前の部

H26シンポジウム開催後記1最初に、京都リサーチパーク株式会社(以下KRP)代表取締役の森内敏晴から、再生医療をめぐる最新の話題と、再生医療ビジネスへのKRPの取り組みについての紹介を含めた主催者挨拶がありました。

 

オーバービュー
「モノづくり技術によって再生研究と再生治療は実現する」
京都大学 再生医科学研究所 教授 田畑 泰彦 氏
 

「元気な細胞」をキーワードにして、再生研究(細胞研究と創薬研究)のためのサポートなのか、再生治療のためのサポートなのかによって、ビジネスの考え方は違ってくるが、細胞を元気にするという点では共通であり、そのための様々な道具や装置が必要であり、まずは再生研究に大きなビジネスチャンスがあること、さらにこのシンポジウムで紹介される再生医療サポート産業は再生治療の効果を高めるために必要不可欠になってくるといったオーバービューがなされました。

 

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H26シンポジウム開催後記2

基調講演−1
「細胞から組織・臓器を創る」
東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 教授 清水 達也 氏

 

細胞をシート状に積層化する技術と温度応答性培養皿の開発により、多くの臨床応用が試みられていて、特にご自身が手掛けてきた心筋細胞シートを用いた重症心不全に対する治験例を中心に、心筋の再生治療の応用例の紹介とともに、iPS細胞由来の臓器作成技術の可能性について紹介がなされました。
 

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H26シンポジウム開催後記9

基調講演−2
「自家細胞を用いた再生医療ビジネスの現状と課題」
株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング
常務取締役 事業開発室長 畠 賢一郎 氏

 

皮膚の自家細胞製品であるジェイス、軟骨の自家細胞製品であるジャックの2つのみが、我が国において認められている再生医療細胞製品で、その開発とビジネスモデルとして直面した様々な課題についての紹介と、再生医療製品として開発していくこと、販売していくことの問題点についての提起がなされました。
 

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H26シンポジウム開催後記3

特別講演
「再生医療の実用化に資する
iPS/ES細胞用培地の開発について」
味の素株式会社 イノベーション研究所
主席研究員 小林 幹 氏

 

いかにして、自社の既存の技術から無血清培地などの基盤分析技術、培地に必要なアミノ酸やバイオ素材(成長因子)を高品質に生産する技術を発展させ、iPS細胞やES細胞などの幹細胞を培養し増殖・分化させるための培地「StemFit®」の開発を成功させ、これが今後どのようにして世界の再生医療の実用化に貢献するのかについて紹介がなされました。
 

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H26シンポジウム開催後記4お昼休み(午後の休憩時間も含む)にはサイエンスホールを出たところで8社の企業展示が行われ、最新製品に関する情報提供や各社自慢の自社技術をアピールされていました。
 

 

午後の部

H26シンポジウム開催後記5 H26シンポジウム開催後記6

対談
「難病の克服に向けてモノづくりは何ができるか?」
臨床分野:京都大学 iPS細胞研究所 臨床応用研究部門 教授 高橋 淳 氏
材料分野:京都大学 再生医科学研究所 教授 田畑 泰彦 氏

 

まず、高橋先生より、「iPS細胞を使って脳をつくる」と題して、iPS細胞からドパミン神経細胞を誘導し移植することで、病気で減少したドパミン神経細胞を補うパーキンソン病の治療法についての紹介があり、引き続き田畑先生との対談が行われました。
対談の中で、移植したドパミン神経細胞の生着率とネットワーク化を上昇させる細胞成長因子や基質、細胞を移植する針、コンパクトでクローズ環境を保てる培養装置が必要となってくるといった提案があり、会場からも必要な移植に細胞の数や安全性・有効性の確認方法、他家移植の可能性といった質問がなされました。

 

 

パネリストによる最新情報の紹介
 

「再生医療の制度整備と事業展開−法制度の見直しを踏まえた関連産業の育成−」
経済産業省 製造産業局 生物化学産業課 課長 江崎 禎英 氏

昨年の再生医療推進法に続き、今年の11月に再生医療等安全性確保法と医薬品医療機器等法の施行が予定されており、再生医療の実用化促進のための法整備が整い、今後の再生医療の市場規模の拡大が見込まれるとの紹介がなされました。

 

「細胞製造に資する技術の現状」
大阪大学大学院 工学研究科 教授 紀ノ岡 正博 氏

細胞のシートから不必要な部分を取り除く、消しゴムに当たるモノが存在しないといった、iPS細胞の培養方法を文房具になぞらえて、細胞製造現場でこれから必要となる装置や道具の紹介がなされました。

 

「整形外科領域における材料・細胞を用いた再生治療の現状」
神戸大学医学部 整形外科 准教授 黒田 良祐 氏

軟骨損傷の治療法では、第三世代自己培養軟骨細胞移植が最新技術となっていて、我が国においても医師主導治験として7例が実施されていること、さらには偽関節患者を対象とした自家末梢血CD34陽性細胞の移植による骨・血管再生療法について紹介がなされました。

 

「細胞治療・再生医療における有効性・安全性の評価技術について」
独立行政法人 国立成育医療研究センター 研究所 副所長 梅澤 明弘 氏

我が国においてもようやくES細胞による臨床試験の許可がおり、遺伝子の欠損によるOTC欠損症において実施される見通しができてきたこと、再生医療にかかわる新たな法律の整備により、新しい再生医療製品の販売や再生医療の提供が始まることなどの紹介がなされました。

 

「再生医療に関連する各種法規制の動向」
NPO 医工連携推進機構 客員研究員 吉川 典子 氏

再生医療新法や改正薬事法と一般に称されている法律の正式名称を知るなど法規制を活用するためには法律をよく理解し、ビジネスの成立と医療への応用をよく考える事が必要であることなどの紹介がなされました。

 

 

専門家と参加者との意見交換(パネルディスカッション)

H26シンポジウム開催後記7各パネリストによる最新情報の紹介の後、本シンポジウムのメインとなる専門家と参加者との意見交換(パネルディスカッション)に移り、会場からの質問を交えながら、主として再生研究(細胞研究と創薬研究)と再生治療、それぞれの方向性とモノづくりの課題について活発な議論がなされました。

この中で、これから必要な技術・装置として「人の動きをまねた自動化でなく、機械の特性を生かした培養装置」「細胞を見分けるあるいは分別する装置」「組織化や臓器化が可能になる還流機能を備えた培養装置」「より生体に近い環境を備えた培地と培養装置」といった自動培養装置の必要性が強調されていました。

 

日本が進んでいる点、遅れている点としては「ハードが強くソフトが弱い」「技術はあるが伝える能力に欠ける」「オープンの議論にこだわらず、クローズで実用化を進めていくべき」といった意見が、産学連携を進めるには「研究者にビジネスセンスがない一方、技術者ももっとこの分野の勉強が必要である」「再生医療に詳しい第三者的な人材に目利きをしてもらい専門家を紹介してもらう」といった意見が出されました。

また、会場からも多くの質問があり、代替療法のある場合には再生医療はビジネスとして成り立つのかという質問に対しては、「薬などと併用して行く必要がある」「他の治療法に対する優位性を確認するべきである」「治療方法の選択肢の一つとして競争原理が働いていく」といった意見が、他家移植と自家移植のどちらが主流となっていくのかという質問に対しては、「自家移植は高コストとなり、再現性もなく、急な対応ができない」「自家移植は医療行為の延長にとどまり、大量生産には向かない」「再生医療製品としての細胞は、iPSバンクのようなしくみを利用した他家移植となる」といった意見が出されました。

 

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H26シンポジウム開催後記8夕刻からはアトリウムに場所を移し、講師全員と参加者合わせて約130名による交流会が開催され、普段はなかなかお話しできない諸先生方との交流はもちろん、参加者同士の交流も活発に行われました。
 

【日時】 平成26年9月18日(木) 9:20〜18:00 (交流会18:20 〜)
【場所】 京都リサーチパーク
シンポジウム:サイエンスホール(KRP1号館 4F)/交流会:アトリウム(KRP1号館 東隣)
【対象】 再生医療に関心のある企業や組織、研究機関、モノづくり企業など 先着150名
【主催】 京都リサーチパーク株式会社
【後援】 近畿経済産業局、独立行政法人 科学技術振興機構、京都府、京都市
京都商工会議所、公益社団法人 京都工業会、京都産学公連携機構
【申し込み】 平成26年度のシンポジウムは終了いたしました。
多数のご参加ありがとうございました。

【プログラム】
 <午前の部 9:20〜12:00>@サイエンスホール(KRP1号館 4F)

9:20〜9:30

主催者挨拶

9:30〜10:00

オーバービュー

テーマ
モノづくり技術によって再生研究と再生治療は実現する
講演概要はこちら

講師:田畑 泰彦 氏
(京都大学 再生医科学研究所 教授)

座長:司会者

田畑 泰彦 氏田畑 泰彦 氏

10:00〜10:40

基調講演−1

テーマ
細胞から組織・臓器を創る
講演概要はこちら

講師:清水 達也 氏
(東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 教授)

座長:田畑 泰彦 氏
(京都大学 再生医科学研究所 教授)

清水 達也 氏清水 達也 氏

10:40〜11:20

基調講演−2

テーマ
自家細胞を用いた再生医療ビジネスの現状と課題
講演概要はこちら

講師:畠 賢一郎 氏
(株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング
常務取締役 事業開発室長)

座長:田畑 泰彦 氏
(京都大学 再生医科学研究所 教授)

畠 賢一郎 氏畠 賢一郎 氏

11:20〜12:00

特別講演

テーマ
再生医療の実用化に資するiPS/ES細胞用培地の開発について
講演概要はこちら

講師:小林 幹 氏
(味の素株式会社 イノベーション研究所 主席研究員)

座長:田畑 泰彦 氏
(京都大学 再生医科学研究所 教授)

小林 幹 氏小林 幹 氏

 <休憩 12:00〜13:00>

 <午後の部 13:00〜17:40>@サイエンスホール(KRP1号館 4F)

13:00〜14:00

対談

テーマ
難病の克服に向けてモノづくりは何ができるか?
概要はこちら

対談者
<臨床分野>
高橋 淳 氏
(京都大学iPS細胞研究所 臨床応用研究部門 教授)

<材料分野>
田畑 泰彦 氏
(京都大学 再生医科学研究所 教授)

高橋 淳 氏高橋 淳 氏

14:00〜15:40

パネリストによる最新情報の紹介

テーマ
再生医療の制度整備と事業展開
−法制度の見直しを踏まえた関連産業の育成−
講演概要はこちら

講師:江崎 禎英 氏
(経済産業省 製造産業局 生物化学産業課 課長)

江崎 禎英 氏江崎 禎英 氏

テーマ
細胞製造に資する技術の現状
講演概要はこちら

講師:紀ノ岡 正博 氏
(大阪大学大学院 工学研究科 教授)

紀ノ岡 正博 氏紀ノ岡 正博 氏

テーマ
整形外科領域における材料・細胞を用いた再生治療の現状
講演概要はこちら

講師:黒田 良祐 氏
(神戸大学医学部 整形外科 准教授)

黒田 良祐 氏黒田 良祐 氏

テーマ
細胞治療・再生医療における有効性・安全性の評価技術について
講演概要はこちら

講師:梅澤 明弘 氏
((独)国立成育医療研究センター 研究所 副所長)

梅澤 明弘 氏梅澤 明弘 氏

テーマ
再生医療に関連する各種法規制の動向
講演概要はこちら

講師:吉川 典子 氏
(NPO 医工連携推進機構 客員研究員)

吉川 典子 氏吉川 典子 氏

座長:田畑 泰彦 氏(京都大学 再生医科学研究所 教授)

15:40〜16:00

休憩

16:00〜18:00

専門家と参加者との意見交換(パネルディスカッション)

テーマ
ホンネで語る再生医療機器・材料ビジネス −再生研究・治療へのモノづくりの挑戦−

※参加者の方から事前にいただきました質問事項や対談での課題をもとに、再生医療の産業化(幹細胞・再生医療ビジネス)について、パネリストとフロアが自由に意見交換

モデレータ:田畑 泰彦 氏(京都大学 再生医科学研究所 教授)

パネリスト
清水 達也 氏   畠 賢一郎 氏   小林 幹 氏   高橋 淳 氏   江崎 禎英 氏
紀ノ岡 正博 氏   黒田 良祐 氏   梅澤 明弘 氏   吉川 典子 氏

 <交流会 18:20〜19:50>@アトリウム(KRP1号館 東隣)