新幹線の緊急停止など睡眠障害による事故は記憶に新しい。このような産業事故、工業事故の要因の多くが居眠りによるものだという。意識の無い睡眠中に起こす事故…それを本人の責任と断言できるだろうか?居眠りの原因は何だったのか?それを分析すべきではないか。そもそも、なぜ人は眠らなければならないのか?10時間寝てもすっきりしない場合もあれば、20分の仮眠ですっきりする場合もある。眠っている間、脳ではいったい何が起きているのだろうか?そんな疑問に対する答えを裏出は探していた。 寝つきが悪い、眠れないといった悩みをもつ人が病院に行くと睡眠薬を処方される。そして、睡眠薬を飲んだ人は意識のスイッチを切られたように眠る。では、睡眠薬による眠りは本当に睡眠なのだろうか?睡眠薬を飲ませて金品を盗む昏睡強盗のニュースを耳にされたことがあるだろう。その被害者が冬の野外に放置され凍死した事件があった。通常の睡眠の場合、寒くなればくしゃみをして目が覚める。また、大きな物音がすれば飛び起きる。天敵に襲われる心配のない人間ならまだしも、小動物が睡眠中にすべての感覚を失うと生命の危機に直面する。そして、水中で生活するイルカやアザラシを睡眠薬で眠らせるとおぼれる。人の場合も、通常の睡眠と睡眠薬を服用して眠った場合の脳波は違う。「睡眠薬による眠りは昏睡であって、本当の眠りではない。眠りと昏睡はあきらかに違う」。裏出は重大な事実に気がついた。こうして、彼らの研究が始まった。 |
|