そんな東金市の病院での取り組みに並行して2001年6月、「血糖自己測定データ通信システム(e-SMBG)」のサービスが開始した。3ヵ月後、ある診療所に同システムが採用された。その診療所で力を入れたのは糖尿病の妊婦についての研究だった。
糖尿病で妊娠中の女性は血糖値が上昇しやすく、インシュリンを使った血糖値のコントロールが難しい。このため、赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性がある。きめ細かい血糖管理が求められることからシステムを導入した。患者は1日4回、血糖値を自分で測定。携帯電話を使ってデータを送信する。この研究で得られた成果は2003年5月、日本糖尿病・妊娠学会で発表され、大森賞を受賞した。甲斐は「非常に名誉なこと。学会では反響も多かった」と振り返る。
ただ、課題も多い。システムの利用料は月1,000円だが、患者だけではなく、利用する患者がかかっている医師にもシステムを導入してもらう必要がある。患者と医師の両輪で利用を働きかける必要があるため、利用数自体が伸び悩んでいるという。
「それでも、利用してもらえば便利だということが分かる。何より、患者さんと医師との距離が縮まる。特に島しょ部や山間部などで、なかなか病院に行けないような場所にはぜひ使ってもらいたい。遠隔地で診察してもらいにくくても、このシステムがあれば、日常的に体のことを把握することができ、医師にも見てもらえる。そういう意味で可能性を秘めているんです」(甲斐)。
※ 1型糖尿病・・・すい臓のインシュリンを作る細胞が破壊され、インシュリンの分泌ができなくなる糖尿病。全糖尿病患者の5%前後といわれる。 |
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