その後も、バイトをしながら飛行機のチケット代と滞在費、そして商品の仕入れ代金を貯める生活が続く。ネパール、インド、中国のアジア各国に行っては商品を仕入れ、帰国後にネットで売る。紅茶専門店として通販を始めて1年後、月の売り上げが100万円を超えた。「その頃からやっと紅茶の通販で、海外への渡航費、仕入れ代金、そして自分の生活費までを出せるようになってきた」。
中野の“仕入れ旅行”はこんな風に進む。まずネパールやインド、中国など紅茶の産地がある現地に飛ぶと、卸売りと小売りを行っている茶商の店に行く。バックパッカーのような身なりで行くため、旅行者として紅茶を買いに来たような形になる。そこで、店主とあれこれ世間話をしたり、紅茶の話をしたりする。「その時に、その店主の人物を見るわけです。いい人であれば、必ずいい茶園と契約していい茶葉を仕入れている。そして仲良くなって、少しずつ、そして売れてきたらいっぱい仕入れさせてもらう」。
ネットで仕入れた紅茶を販売するとき、紅茶が売れる秘訣は、中野が書く仕入れ旅行記にある。仕入れでであった茶商や店主、そして茶葉農園の農園主などとの出会いをリアルにそして克明に描くメールマガジンを発行しているのだ。「メルマガの最後に注文書が付いている。メルマガ経由で購入してくれるお客さんが大半を占める。単なる紅茶に旅行記があることで、お客さんにとって付加価値が断然高まるわけです」。これまで紅茶を販売した客数は延べで1万人に迫るほど。売り上げも年間に3,000万円に達するようになってきた。この客のおよそ8割から9割がリピーターだ。
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| ■紅茶が好きになった |
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順調に進んできたように見える中野の紅茶通販事業も、もちろん紆余曲折があった。一番大きな曲がり角は、「事業売り上げが安定してきたからこそ、通販が『こなすべき仕事化』したと感じるようになったこと。3年ほど、マンネリになったのではないかと悩んでいた」。
このマンネリ感から脱却するきっかけとなったのが、紅茶を購入した客から寄せられるメールだった。これまでに考えていなかったような視点から自分が仕入れた紅茶を楽しんでいる様子を伝えてきてくれる。「自分自身もお客さんと同じように紅茶を飲んでみると、お客さんが何を楽しんでいるのかが分かるようになった。事業を始める前は全然紅茶を飲んだこともなかったが、最近は自分も紅茶自体が好きになってきた」。
「これから自分の目の前でできることをきちんとやりつつ少しづつ売り上げを延ばしていきたい。そして一定程度の資金を貯めた上でやりたいことがある。何をやりたいって?それはまだ秘密です」。(敬称略) |
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